スケバン「凶子」【体験談】
俺の高校はスケバンに支配されてたんだよね。
最近の子はスケバンなんて言ってもわかんないか。
ようするに女番長のことだよ。
髪の毛を染めてデーモン小暮みたいな頭にして、スカートは異常に長く、チェーンや鉄のヨーヨーを振り回す。
やたらと濃い化粧。フーセンガム。それがスケバン。
そのスケバンは馬場今日子って名前だった。
けど本人は「凶子」と名乗ってたな。
「凶子」にしようか「狂子」にしようか迷ったらしい。馬鹿だろ?
苗字で呼ぶとすぐキレて、呼んだ奴を半殺しにしてたね。
ある日の授業中。例によって学級崩壊状態になって、凶子は取り巻きと一緒にタバコ吸ってゲラゲラ笑ってたよ。
カツアゲで大金をGETしたようで、いつになく上機嫌だった。
で、上機嫌な分、いつもより余計に五月蝿かったな。
もちろん俺達は慣れっこだよ。スケバン連中は見て見ぬフリ。
中年教師が黒板に無言で書く内容をノートに書くだけ。
いつも通りだよ。情けないけど、それが現実なんだよね。
けど、そこでちょっとしたアクシデントが起こった。
凶子が遊びで投げたダーツが先生の尻にささった。
先生は「ヒイィ」と叫び声をあげ、凶子たちは爆笑。
笑われた先生は「ハヒッ?」と呼吸を整えながら凶子を指差す。
先生 「こ、このクラスの委員長は誰だね! そいつらを注意しろ!」
凶子 「おぃ先公よぉ… 『そいつら』 って言い方はねえよなァ?」
先生 「わ、私は保健室へ行ってくるから!」
先生はもの凄い速さで逃げた。まあ、これもいつものことだ。
しかしここで、廊下側にいたガリ勉野郎が凶子に声をかけた。
山田 「馬場さん、後で話があるから放課後残ってくれない?」
教室の空気が凍りついた。
声をかけたのはクラス委員長の山田ハジメだった。
成績は良いが体育は全然駄目というありがちな優等生の山田。
なんて馬鹿な奴だ…俺は頭の中で山田の冥福を祈った。
凶子 「あぁ? ざけんなよ包茎野郎! 誰が残るかボケが!」
山田 「先生に注意しとけって言われたから。逃げないでね」
凶子 「上等だゴルァ…テメェ明日の太陽は拝めねえぞ…。」
無常にも時間は過ぎ、放課後。
凶子と山田はどこかへ行ってしまった。
俺には凶子の殺戮シーンを覗き見する度胸はない。
万が一覗き見していることがばれたら俺も殺される。
凶子は恐ろしくケンカ慣れしている。1対1でも勝ち目はない。
今頃山田は死の恐怖を味わっている頃だろう…。
俺は山田の机を見た。明日あの席に花瓶が置かれるかもな。
次の日、学校へ行くと、なんと山田は五体満足だった。
顔中傷だらけアザだらけで、服の下も多分ボロボロだろうが、命に別状はなかったようだ。腕は吊ってないし松葉杖もない。
よかったな山田、半殺しで済ませてもらえたんだな。
お前は良くやったよ。勇気があったよ。俺は心の中で誉めた。
本当に誉めると凶子の一派に目を付けられるから。
ガラガラ…
教室のドアを開けて、見慣れない女生徒が入ってきた。
背中の半ほどにまで届く黒髪。細く引き締まったスタイル。
淡い化粧。儚げな表情。 誰だ?このカワイ子ちゃんは。
転入生じゃないな…え? ま、まさか! 凶子? 馬場凶子!?
その美少女に、クラス中が唖然としていた。
信じられなかった。昨日までヘビメタルックだったあの凶子が、
今日はまるでお嬢様ルックじゃないか。何があったんだよ!?
俺 「山田、お、お前、凶子に何を言ったんだよ…?」
山田 「別に何も言ってないよ」
何も言ってないって、おい! そんなわけないだろ!
何だよあの変わりっぷりは! 人格が入れ替わってるだろ!
山田 「…ちょっと、調教しただけ (くすっ) 」
世の中に悪魔は実在する。
先生 「ば、馬場さん?」
凶子 「は、ハイ…何でしょうか (びくびく) 」
先生 「その、きゅ、急に雰囲気が、か、変わったよね」
凶子 「…(涙目) 」
その弱々しさに思わず萌えた。
その後、凶子は看護婦になったらしい。
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最近の子はスケバンなんて言ってもわかんないか。
ようするに女番長のことだよ。
髪の毛を染めてデーモン小暮みたいな頭にして、スカートは異常に長く、チェーンや鉄のヨーヨーを振り回す。
やたらと濃い化粧。フーセンガム。それがスケバン。
そのスケバンは馬場今日子って名前だった。
けど本人は「凶子」と名乗ってたな。
「凶子」にしようか「狂子」にしようか迷ったらしい。馬鹿だろ?
苗字で呼ぶとすぐキレて、呼んだ奴を半殺しにしてたね。
ある日の授業中。例によって学級崩壊状態になって、凶子は取り巻きと一緒にタバコ吸ってゲラゲラ笑ってたよ。
カツアゲで大金をGETしたようで、いつになく上機嫌だった。
で、上機嫌な分、いつもより余計に五月蝿かったな。
もちろん俺達は慣れっこだよ。スケバン連中は見て見ぬフリ。
中年教師が黒板に無言で書く内容をノートに書くだけ。
いつも通りだよ。情けないけど、それが現実なんだよね。
けど、そこでちょっとしたアクシデントが起こった。
凶子が遊びで投げたダーツが先生の尻にささった。
先生は「ヒイィ」と叫び声をあげ、凶子たちは爆笑。
笑われた先生は「ハヒッ?」と呼吸を整えながら凶子を指差す。
先生 「こ、このクラスの委員長は誰だね! そいつらを注意しろ!」
凶子 「おぃ先公よぉ… 『そいつら』 って言い方はねえよなァ?」
先生 「わ、私は保健室へ行ってくるから!」
先生はもの凄い速さで逃げた。まあ、これもいつものことだ。
しかしここで、廊下側にいたガリ勉野郎が凶子に声をかけた。
山田 「馬場さん、後で話があるから放課後残ってくれない?」
教室の空気が凍りついた。
声をかけたのはクラス委員長の山田ハジメだった。
成績は良いが体育は全然駄目というありがちな優等生の山田。
なんて馬鹿な奴だ…俺は頭の中で山田の冥福を祈った。
凶子 「あぁ? ざけんなよ包茎野郎! 誰が残るかボケが!」
山田 「先生に注意しとけって言われたから。逃げないでね」
凶子 「上等だゴルァ…テメェ明日の太陽は拝めねえぞ…。」
無常にも時間は過ぎ、放課後。
凶子と山田はどこかへ行ってしまった。
俺には凶子の殺戮シーンを覗き見する度胸はない。
万が一覗き見していることがばれたら俺も殺される。
凶子は恐ろしくケンカ慣れしている。1対1でも勝ち目はない。
今頃山田は死の恐怖を味わっている頃だろう…。
俺は山田の机を見た。明日あの席に花瓶が置かれるかもな。
次の日、学校へ行くと、なんと山田は五体満足だった。
顔中傷だらけアザだらけで、服の下も多分ボロボロだろうが、命に別状はなかったようだ。腕は吊ってないし松葉杖もない。
よかったな山田、半殺しで済ませてもらえたんだな。
お前は良くやったよ。勇気があったよ。俺は心の中で誉めた。
本当に誉めると凶子の一派に目を付けられるから。
ガラガラ…
教室のドアを開けて、見慣れない女生徒が入ってきた。
背中の半ほどにまで届く黒髪。細く引き締まったスタイル。
淡い化粧。儚げな表情。 誰だ?このカワイ子ちゃんは。
転入生じゃないな…え? ま、まさか! 凶子? 馬場凶子!?
その美少女に、クラス中が唖然としていた。
信じられなかった。昨日までヘビメタルックだったあの凶子が、
今日はまるでお嬢様ルックじゃないか。何があったんだよ!?
俺 「山田、お、お前、凶子に何を言ったんだよ…?」
山田 「別に何も言ってないよ」
何も言ってないって、おい! そんなわけないだろ!
何だよあの変わりっぷりは! 人格が入れ替わってるだろ!
山田 「…ちょっと、調教しただけ (くすっ) 」
世の中に悪魔は実在する。
先生 「ば、馬場さん?」
凶子 「は、ハイ…何でしょうか (びくびく) 」
先生 「その、きゅ、急に雰囲気が、か、変わったよね」
凶子 「…(涙目) 」
その弱々しさに思わず萌えた。
その後、凶子は看護婦になったらしい。
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