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計られた障子ゲーム 1

若い性欲を、勃起を障子に突き刺すことで表現した芥川賞の話を聞いたことがある。
俺とAはそれをゲームにしていた。

5対5の飲み会を、マンションの1室にてセットする。
お酒を飲んで、エッチ話でも王様ゲームでもいいが、スケベOKなノリになってきたら…

男と女、それぞれのキャプテンをアミダクジで決める。
キャプテンは全員を後ろ手に縛る。
男には猿ぐつわも噛ませる。
キャプテンは全員に番号を書いた割り箸クジを引かせ、番号を決める。

外した障子戸を2つ立て、陣地を仕切り、男女に分かれる。
立ち位置をセットしたら、男はチンポを障子に突き刺す。

女は目隠しをされて、座ってそれを待ち、差し出されたチンポを咥えてフェラする。
行為を終えた者は、他のペアの行為を観察することが出来る。

そんなゲームだ。

手を縛るのは、乱交や無理矢理なことは決してしないという、俺とAが決めた約束だからである。
飽くまで、同意に基づいたラインまでと線を引いた「ゲーム」なのだ。
予め、「フェラチオまでならOK」の者しか呼ばない。

けれど、そこにカップルがまじり参加すると、かなり微妙な雰囲気になりもする。




先に終え、まだ行為中の彼氏や彼女の姿を見ると、見せられた者は誰もが「嫉妬萌え」する。
自分じゃないチンポを舐めしゃぶる姿…
自分じゃない女の口でイカされている姿…

嫉妬が2人の関係をより濃密にさせることもあれば、「寝盗られ」ならぬ「舐め盗られ」するカップルもある。

男が女のフェラテクにのめり込む場合もあるし、女が男の逞しいチンポの虜にされることもあった。

俺の場合は、後者だった。

「どうしても人がいねーんだよ。な、頼む、アキラ。真奈美ちゃんを連れて来てくれ」
「イヤだね。俺は絶対に嫌だ。真奈美はそんなとこに連れてけねーよ」

「俺だってさ、お前の頼み、何度も聞いてやったじゃん」
「こういう頼みはムリだって」

「わぁーった!じゃぁさ、お前と真奈美ちゃんは絶対にペアにするから!それならいいだろ。お前が真奈美ちゃんにフェラされてるとこは誰かに見られるかもしれねーけど、お前がチンポを見られるだけで、真奈美ちゃんは無傷だ。これで頼む!」

俺はためらった。
「うーん…でもなぁ…」
唸る。

「駐禁の身代わりで、お前の免停まぬがれたじゃん。無実の浮気で真奈美ちゃんが別れ話切り出した時も、お前に加勢して説明してやったべ」
「うん…」

そう、俺はAには何度も助けてもらっている。
大学の1年生からずっと、悪いことも良いこともつるんできた親友だ。

「今回、ドタキャン続いちまってさ。今回だけでいいから、俺に免じて頼む」
「……わかったよ。連れてくよ」

「さんきゅっ!助かるぜ」
「その代わり、俺と真奈美は絶対にペアだからな」

「任せろ。このゲームを考えたのも、主催するのも、俺とお前だぜ。ぬかりはないさ」
「頼むな」

そして俺は、『障子ゲーム』へ真奈美を連れて行くことになった。


いつもの会場(日借りのパーティー用マンションの1室だ)へ着く前に、その階下のコンビニで俺たちとAは待ち合わせた。

「Aさん、こんばんは♪」
真奈美とAとは当然、知り合いだ。

「真奈美ちゃん、ゴメンね。今日は無理なお願いしちゃって。恩に着るよ」

「でも、アキラとペアにさせてくれるんでしょ。なら問題ないよ。ちょっとね、他の人のそういうとこ見て、刺激味わおうかなって(笑)それより、今日の協力と引き換えに、もうアキラは誘わないって約束してね」

真奈美と付き合って以来、もう1年、Aと2人で考えたこの会にも、俺は参加していなかった。
真奈美が一途な女の子で、俺の浮気を心配しているからだ。

けれど、それをあまり見せずに、
「マンネリ打破(笑)」
なんてとぼけるところが真奈美らしく、俺には愛おしい。

ふいに根拠のない不安がよぎり、俺はAにそっと耳打ちした。
「ところで、今日のメンツって誰?」

「あれ、言ってなかったっけか。男はサークルのヤツばっかり。BにCにD、あとお前と俺。女の子たちはな、○ェリスよ○ェリス。○ェリスが3人。真奈美ちゃんと、もう1人はサークルの美穂な。美穂もドタキャンの割り食ったクチで参加だから。でも○ェリスの女にも全員に、お前と真奈美ちゃんは必ずペアにすることは、伝えてあっから」

「わかった」
そのメンツなら、大丈夫だ。

サークルの仲間は、俺と真奈美が付き合っていることを知ってる奴ばかりだ。
無理を強いるような奴はいない。
俺はようやく安心できた。

マンションの部屋へ入ると、もう顔ぶれが揃っていた。
真奈美は○ェリスの女の子たちに美穂から紹介され、俺も女の子たちに軽く挨拶する。

昔なら、今日はこの中の誰がしゃぶってくれるのか、その後持ち帰れそうなコはいるか、と品定めしたところだが、今はもうすっかり落ち着いたものだ。
誰よりも、掛け値なしに、真奈美が一番可愛いと思ってみていると真奈美と目が合い、俺たちはアイコンタクトをかわす。

「大丈夫か?」
「うん、平気だよ♪^^v」

などと至近距離で携帯メールまでかわし、俺は随分とリラックスしていた。

「あれ?Cどした?」
「まだなんだよ」

「タコ野郎だな、相変わらず。まぁいいや、飲み始めてようか」
「そだな。そうしよ」

「じゃ、今日はどうも、この『障子会』にお集まり頂き、ありがとうございまっす!今日の趣旨はみなさん、先刻ご承知、了承のもとですから、ゲーム開始まで、話して知り合って打ち解けて、最後にお楽しみタイム、と参りましょう。乾杯!」

「かんぱーい!」

飲み会は進み、俺も真奈美も適当に話しを合わせながら、Cの到着を待つこと、30分ほどが経過していた。

「A先輩!不肖、木下慎平!C先輩の代打でやってきましたぁ!お邪魔しまーす」

とやってきたのは、サークルの後輩である木下だった。
俺はAに近寄って言った。

「おい、木下なんて聞いてねーぞ」
「いや、俺だって…」

というAとの会話が、

「わ、カッコいい♪いいじゃん、いいじゃん!これで5-5揃ったね」
という○ェリスの女子どもの声に遮られる。

「どーもー、木下でっす。よろしこ、よろしこ、よろしこ…」
と木下は、次々に女の子たちと乾杯し、一気にグラスを空けていく。

「お、美穂センパイも乾杯っ!真奈美センパイもいるじゃないっすか!かんぱーい、フォーっ♪」
と真奈美にも強引に一気飲みを強要し、その眼前でHGばりに腰を振る。
(おいっ、てめぇ木下!)
俺ははらわたが煮えくり返る思いだったが、もはや木下の参戦は決定だった。

俺と真奈美、そしてAや美穂のサークル仲間は大学の4年生。
もう就職が決まっている。
木下は2年生だ。

なぜ俺が木下を嫌うかというと、コイツはサークルに入部当初から、真奈美にちょっかいを出してきたからである。

幸い、真奈美は貞操の固い一途なコだから、木下の誘いがどうこうということは決してなかったが、真奈美を大事に思う俺は、ヤキモチやら怒気やらで、気が気でない時期を過ごしてもきた。

もっとも、今の真奈美と俺には、1年かけて築いてきた強い愛情と絆がある。
けれど、よりによってなぜこの夜にコイツが来たのかと、俺は嫌な感じを覚えた。

そして、運命のゲーム開始時間が訪れた。

「さ、まずはキャプテン決めのアミダクジをします」

主催であるAの声だ。
男と女にわかれ、アミダクジ選びが始まる。

俺はAに、木下はタネ明かしを知っているのかと確認した。
俺と真奈美はペアになる、という不文律のことだ。
答えは否である。

木下はCからそれを聞いて参加しているのだろうか?
俺は俄かに不安と焦燥に駆られた。

果たして、アミダクジの結果が出た。
男のキャプテンは木下だった。

木下が嬉々として、早々に俺たちを後ろ手にしばる。
猿ぐつわも噛まされた。
もう身動きは取れない。
俺は声も出せないのだ。
俺は顔面が蒼白になる。
最悪だった。

「女子のキャプテンは誰ですかーっ?」

木下が見回すと、「はーい」と美穂が手をあげた。
(ラッキー!救われた!)

美穂は俺たちの事情を知っている。
○ェリスの子がキャプテンであるなら心もとないが、美穂なら木下をコントロールできるだろう。
(助かったぁ)
俺は命拾いをした。
女の子も、美穂により全員が後ろ手に縛られ、俺たちは番号クジを引かされた。

後ろ手で引くから、当然、俺たちは番号がわからない。
知るのはキャプテンたちだけだ。
そして、キャプテン同士は番号を確認する。
同じ番号同士が、今夜のフェラチオメイトとなるのだ。
その番号を確認できる楽しみが、キャプテンの特権である。

俺は真奈美に向かって、(心配するな)との目線を送った。
真奈美は軽く頷く。
大丈夫、真奈美にも余裕がある。

次に美穂を、強く念力を込めて俺は見つめた。
(頼むぞ、美穂)
美穂は笑みを返してくれた。
オッケーだ。

会場へと、部屋を移動する。
俺と真奈美は、障子の仕切りのこちらとあちらに別れた。
俺の心臓が高鳴った。

ここで、少しだけ部屋の配置を紹介する。
障子戸の仕切りを立てるのは8畳の洋室である。
洋室はサンルームになったベランダへ繋がっている。

サンルームへの出入り口を縦半分に等分する形で、障子戸は固定されている。
その障子戸により、8畳間も2つに仕切られるのだ。
サンルームへの出入り口であるガラス戸は開放しておく。
ちなみに、部屋の電気は消され、8畳間は暗密室になる。

サンルームの床には、懐中電灯を2つ、電話帳に載せて上向き加減にして、仕切られたそれぞれの側のみを照らすように置く。
これで、暗闇の中でもキャプテンは、順番と立ち位置をセッティングすることが可能になる。

けれど、障子の向こうの姿は影絵にもならず、全く不明なままなのだ。
ゲームは、男が放出してフェラを終えたペアからサンルームへと出てよいことになっている。

8畳間には壁づたいに紐を渡してあるので、目隠しされた女の子も、後ろ手にそろそろと、それを伝って出ることは簡単だ。
女の子の目隠しは、男が後ろ手でどうにか外してやる。
サンルームからは、懐中電灯で照らされた残りのペアのフェラチオ行為が拝める、というわけだった。

「始めたいと思いまっすフォーッ!」

木下のアホみたいな声が、俺を無性に苛立たせる。
(イカレポンチめ。調子に乗るんじゃねぇ。後輩のくせに、なんて図々しいヤツなん…あっ!)
電気が消えた。
暗闇だった。
何も見えない。

「電気、消しましたフォーっ!」

木下が懐中電灯をつけ、ベランダに出る。

「美穂センパイ、どうっすか?うん、オッケー!ではでは」

俺たちの側を照らす懐中電灯の光が、ひと筋の光線となり照らす。
目を凝らしてみたが、障子の先は真っ暗闇だ。
何も見えない。
見えるわけがないのだ。

俺は木下に誘導され、自分の立ち位置を知らされた。

4番目だ。
「こっち、目隠しするよー」
美穂の声だった。

真奈美も今、目隠しをされて座り位置を示されているのだ。
(頼むぞ、美穂。4番目だ…真奈美、4番目であってくれよ…)

男のチンポを剥き出すのは、キャプテンの役目だった。
木下が1人ずつ、ジーンズやチノパン、そしてトランクスを下ろし、俺たちのチンポを晒していく。

木下が、俺のズボンと下着を下ろした。
俺は、そこで初めて気付いた。
(俺、めっちゃ勃起してる…)

この異常な状況、緊迫感、追い詰められた精神状態の中で、俺のチンポは、下腹にくっつくほどそそり立ち、痛々しいくらいに先端をふくらませ、これまでにないくらい勃起していた。
おまけに、今にも放出しそうなほどのガマン汁を垂れ流している。

「ぷっ。ちっちゃ」
しかし木下は、俺の耳にそう囁いた。
(お前のは、もっととてつもなくデカいっていうのか?)

浮かんだその想念が頭から離れず、俺は果てしなく混乱した。
少しでも思考すると、嫌な予感と見たくもない映像が、脳裏をかけめぐりそうになる。

全員のチンポを剥き出しにしすると、木下は、俺たち一人ずつのそのチンポに手をあてがい水平に固定して、障子紙へ突き刺すよう促した。

ビリ…ビリリっ…
それぞれ、ガマン汁も出ているから、障子紙はすんなりと破かれていく。
暗闇に4回、突き刺しの儀式の音が響いた。
(あっ、あうぅ…)

障子に突き刺すだけで、俺は思わず射精しそうだった。
なぜこんなにも興奮しているのか、自分でも不思議でたまらない。
木下の立ち位置は、1番目だった。
最後に、木下がズブリと障子にチンポを差し込む。

いや、それは捻じ込むと言って良いように感じられた。
太く逞しい木下の勃起は、俺の1・5倍はありそうに見えた。
(マ、マジかよ…)

俺は、フェラチオを放棄して向こう側へ、真奈美を救いに行きたくなった。
なのに、声すら出せない。
切なく苦しい。
猿ぐつわを外して欲しくてたまらない。
俺の足が震えだした。

「こっちオッケーっす、美穂センパイ」
「了解!」

短く美穂が答える。
男がスタンバイしたら、女の子を1人ずつ、障子から突き出たチンポを口に含ませていくのが、女子のキャプテンの務めである。

「フェラチオ祭り、スタートふぉーーーっ!!」
木下の奇声が響いた。

<続く>

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