妻が目の前で 1
妻の不倫相手は、ごみ収集車の運転手でした。
別段、妻の行動に疑念を抱き、興信所に調べさせたり、携帯を盗み見た訳ではありません。
発覚は、妻自身による告白でした。
私が出張から帰宅した夜、唐突に、妻の口から浮気の事実を切り出されたのです。
話を聞かされても、私にはとても現実のこととは思えず、妻、と、不貞、という言葉を即座に頭の中で結びつけることができませんでした。
元々、妻は家庭的で、浮気などできるタイプの人間ではなかったのです。
色白の、均整のとれた身体つきだけが取り柄の、何処にでもいるような目立たない専業主婦でした。
けっして、美人でもなければ身につけるものや、立ち振る舞いにしても、いっこうに華やいだところがなく、見た目も、性格そのものも、地味な女だったのです。
「離婚するか、しないかは、相手の方と話し合って、貴方が決めて下さい…私は貴方の決断に従います…」
顔面蒼白の妻が、そう言って、土下座をしたとき、私は、初めて事の重大さに気づきました。
見合い結婚をして八年、いつか、こういう日の来ることを予感できない訳でもなかったのです。
夫として不甲斐ないのですが、新婚初夜の無惨な失敗以来、私には、夫婦生活に際して、妻を歓喜の絶頂へ導いたという実感が、一度たりともありませんでした。
病的な早漏を気にするあまり、ベッドの中で、妻の身体を大胆に扱うことができなかったのです。
射精を早めないように、刺激的な体位は避けたとしても、力強いピストン運動など望むべきもありません。
挿入後は、下腹を密着させたまま、ゆるやかな円運動を描き、お互いの恥骨を押しつけ合うばかりの交合でした…
それでいても、大抵、終焉は一分前後でやってくるのです。
亀頭に擦り込む塗り薬、金冷法、根元をくくるドイツ製のリング、寸止めのマスターベーション等々、いずれの処方も、気休めにはなっても、病的な早漏を治癒させるほどの効用はありませんでした。
結合時間の短さを補うための前戯さえ、私の元来の不器用さからか、痛痒感を与えることのほうが多く、いつしか妻も協力的でなくなったのです…出産後も、私が身体を寄せれば、拒絶されることはなかったのですが…妻の歓喜が伴わない交合に、この頃から、私の性癖が熱せられた鉄のように歪み始めたのでした。
愛する妻を他人に抱かせる、しかも、夫である私の眼前で…この世に、これほどの自虐的な快楽があるでしょうか。
ただ、《寝取らせ》などという言葉は、その頃、まだ一般的ではなく、夫のお膳立てした場で、妻を他人に抱かせるなど、私には思いもよらないことでした。
「子供は、どうする気なんだ…」
妻の口から、不貞の事実を告げられても、私には最初から、離婚を言い渡す気持ちなどありませんでした。
「今は、子供のことは言わないで頂戴…私が馬鹿でした…」
娘を引き合いに出すと、妻は以外にも、その場に泣き崩れました。
一度の過ちを種に、妻は男から脅され続けているのではないか?瞬時、そんな懸念が私の頭をよぎりました。
男につきまとわれ、やむ無く不貞の事実を打ち明けざるを得なくなったのかもしれない…
「問題は、お前の意志だ。とっくに、離婚の覚悟はできているんだろ?」
妻は、畳に擦りつけた頭を激しく横に振った。
「許されるなら…離婚はしたくないわ…」
「それなら、その気持ちをそのまま、相手方に伝えたらいいじゃないか…」
妻に離婚の意志のないことを確認した私は、強気な口調で突き放すように言いました。
「貴方が会って、話して下さらないと…私ひとりじゃ…」
「お前ひとりじゃ、情に流されてしまうとでも言うのか…」
本来、私は争い事の苦手な人間です…男の沽券を賭けて、妻の浮気相手と面談し、決着をつけるなど…想像しただけで身のすくむ思いでした。
救いは、法的な理が此方にあるということです…
万が一にも、相手方から金銭を要求されたり、暴力でも振るわれようものなら、弁護士は元より、警察に願い出るという手立てだってあるのですから…
この考えは、私を大いに勇気づけました。
相手は、ごみ収集車の運転手です…
ここは、妻に反省を促す為にも、五十万程度の金なら、手切れ金として呉れてやってもいいかもしれない…
私の寛大さ見せつけることで、よりいっそう、男の心底にある卑しさが、妻の目にも、浮き彫りになるだろう…
忘れもしません。
七月の蒸すような熱い夜でした。
義妹宅へ娘を預けた私達夫婦は、男のアパートへと向かったのです…
昭和の残骸のような安普請のアパートでした。
私は、車のエンジンを止め、助手席にいる妻の様子を窺いました。
義妹宅を出てから、終始、無言だった妻が漸く口を開きました。
「ごめんなさい…こんなことに貴方を巻き込んでしまって…」
「いいよ…済んでしまったことは仕方がない…大事なのは、これから先のことだ」
世間体や、娘の将来を考えると、妻にとっても離婚が得策でないことは明白でした。
妻の性格を考えると、いまの安定した生活を捨て去り、このような小汚ないアパートに身を置いて、この先、暮らしていける筈もないのです。
妻との事前の打ち合わせは二つ、離婚の意志のないことを男にきっぱりと告げる、もう一つは、今後一切、会わないという約束を取り付けること…
「その後の話は、私に任せればいいから…」
相手の出方もあるが、私としては、法的手段をちらつかせるようなことはせず、できるなら穏便に話を終わらせたかったのです。
妻から、不貞の事実を聞かされたのは三日前…
その間、私は朝、夜を問わず、狂ったように妻の身体を求め続けました…
男に汚されたであろう、妻の部分に口づけながら、男との行為の一部始終を不貞の口から吐き出させようとしたのです。
たとえば、出社前の五分間という、寸分の時間さえ惜しみ、キッチンの床に妻を押し倒すと、その豊満な尻に噛みつきながら、男との正確な性交時間を聞き出そうとしたりしました。
屹立した物を自らの手でしごきながら、私との夫婦生活では知り得なかった体位の数々を聞き出し、そのポーズを床の上で取らせたりもしたのです…
そんな時の、下腹から沸き上がる得体の知れない焦燥感は、私にとって新鮮な快感でした。
妻の話によれば、ごみ出しの際に声を掛けられ、親しく挨拶を交わすようになったのが、そもそもの発端だとのことでした。
早朝から始まるごみ収集の仕事は、正午前には終わるらしく、駅に隣接するドラッグストアで、偶然、出会ったその日のうちに妻は男の毒牙に掛けられたようです。私の出張を待つまでもなく、呼び出された昼間にも、何度かは身体を重ねたことがあるようでした。
男と関係ができて一ヶ月半、私の想像に反して、金品を要求されたことはないとのことでした。
「二階の一番、奥の部屋よ…」
妻に案内されながら、錆止めのあらわになった鉄の階段を私は、意を決して上り始めました。
男の部屋の前に立った妻が、ドアノブに手を掛け、私を振り返ります。
そして、小さく微笑みました。
外の気配を察したのか、中から
「オゥ、入れ!」
男の野太い声がしました。
「どうぞ…」
先に部屋に入った妻が私を促がしました…
一瞬、私が躊躇すると…
「おい旦那、もたもたするな!蚊が入るぞ…」
男に機先を制じられた私は、思わず
「はい…家内がお世話になりました…辻野です」
《お世話になりました》過去形で言い放ったのは、妻とそちらの関係は、もう終わりだという私の意思表示でした。
その言葉の意味に男は気づいただろうか…
部屋は以外にも整然と片づけられていました。
しかし男は、派手な英文字を羅列した柄物のトランクスに、ランニングシャツという、とても、客を迎える身なりではありませんでした。
「美佐子、茶を入れろ…」
ちゃんとした私への挨拶もないまま、男は、あろうことか、妻の名前を呼び捨てにしたのです。
私は事態を甘く考えていたのかも知れない…
相手は、一筋縄ではいかない男ではないのか…
硝子の小さなテーブルで男と対峙しながら、私は部屋を見渡しました。
玄関わきに流し台があり、その三畳ほどの板の間には、冷蔵庫と食器棚が置かれています。
その奥の六畳の間に、硝子のテーブル、木製のベッド、テレビ、ビデオ・デッキ、もう一つ奥まった所に、風呂場とトイレがあるようでした。
《妻が眼前で…》のタイトル通り、この間取りは、覚えて置いて頂いたほうがいいと思います…
台所から戻った妻は、私の目の前へ麦茶を置くと、テーブルとベッドの間をすり抜け、ためらいがちに男の横に座ったのでした…
この妻の行動は、予想外でした。
この談判は、妻と私が、男と対峙して行うべきことだと、自分勝手に思い込んでいたのです。
この一ヶ月半、妻が、何度この部屋を訪れ、男とどのような時間を過ごしたのかは想像に難くありません…
勿論、男はこのアパートの部屋では主人です。
短期間にせよ、夫婦の真似事のようなことをしていた二人なのですから、この部屋において、私を客として迎え入れようとするのは、妻にとって自然な流れなのかもしれません…
これは、妻がどちら側につくという話ではなく、習慣の問題なのだと、私は、判断しました。
第一、妻が男を怖れている様子も見受けられません…
妻が男の横に座った理由…
これから男にに対して離別の話を切り出すのですから、多少の気遣いを見せておいたほうがよいと、妻なりに機転もあったのでしょう…
喉に渇きを覚えていた私は、麦茶に口をつけると
「結論を言います…妻とは離婚しません…このことは、妻も同意しています…」
男は、唇を歪めて片笑いしました。
「そうかい、俺にしたって、離婚までされると後味が悪いしな…美佐子、よかったな…」
「ごめんなさい…順さん…」
正座した妻が俯き加減に言いました
「なにも、謝ることはないぜ…夫婦、二人での話し合いがついているんなら、あとは、俺と美佐子で、話し合う番だな…今夜はじっくり話し合おうぜ、泊まっていくだろ…」
私は男の言葉に耳を疑いました。
妻も、この成り行きには驚いた様子です。
「そんな…泊まるなんてことできないわ…娘をよそに預けてきてるのよ…」
「亭主に迎えに行かせればいいだろ…なぁ旦那…そのくらいのことをしても罰は当たらないぜ」
「いったい、何を話し合うのですか?妻とは、すでに離婚しない結論に達しているのですから…」
「旦那さんよ、奥さんが本気で俺と別れたがってるのか、知りたくないのかい?」
「妻の意志は確認済みです…そう言われるなら、今、この場で聞いてみて下さい。」
「旦那はこう言ってるが、美佐子、どうなんだ…」
妻が柱時計に目をやりました。時間は九時を過ぎています…
「貴方…今夜は、先に帰って…私、はっきりと気持ちを伝えますから…」
このアパートを訪ねる前に、妻と打ち合わせたことは二つ。
夫婦に離婚の意志のないことをきっぱりと伝えること。
この意志は、すでに伝えました。
もう一つは、二度と会わない約束を男から取り付けること…
会う、会わないは、妻と男の意志の問題です。
妻は悲壮な決意をもって男に約束を取り付けるつもりなのでしょう。
その決意を無駄にする訳にはいきません。
それに、男から約束を取り付ける機会は、今夜をおいてないように思われました。
「承知しました…妻と存分に話し合って下さい。私は表の車の中で待つことにします…」
私は強い口調で、男らしく言い放つと、さっと立ち上がり、いったんは部屋を出たのでした。
車に戻った私は、それでも、気が気ではありません…
男が、妻を抱こうとしているのは見え見えでした。
会わない約束と引き換えに、妻はいやいやながらも、抱かれる覚悟でいるのかもしれないのです。
義妹宅へ電話を入れ、今夜は都合で、娘を迎えに行けなくなったことを伝えました。
私はアパートの部屋へ戻る決心をしました…
しかし、部屋を出てから十五分、戻る理由が思い浮かびません…
そうだ、手切れ金がある…
この五十万円を差し出せば、妻を連れ戻すことは無理にしても、板の間くらいには、私も泊めて貰えるかもしれません…
これは小説ではありません。
私はそういう才能を持ち合わせていませんから…
かと言って、百パーセント、真実という訳でもありません。
しかしながら、妻と、妻の浮気相手と、私、三者で話し合った夜、男のアパートの一室で、一夜を明かしたことは本当なんです…
妻は、私の眼前で、男に抱かれました。
結婚して八年、当時、妻は三十六歳、今から十二年も前の話です。
浮気相手を悪役に仕立て上げて話さないと、自分自身が惨めに思えて…
不評のレスが多くて完結まで至れるかどうか…心が折れそうです。
私は再び鉄の階段を上がり、男の部屋の前に立ちました。
遠慮がちにノックをすると、静かにドアを開けたのは妻でした。
「迎えに行けないからって、電話を入れといたよ」
妻は、娘のことを気にする様子もなく
「あの人、入浴中なの…まだ、話はついてないわよ」
肩までの長い髪をアップにして、後ろに束ねています…
どうやら妻も、これから入浴する様子でした。
「お前も賛成してくれていた、手切れ金のことだけど…話し合う前に提示して置いたほうがいいんじゃないかと思って…」
妻は、安普請のアパートの部屋に似つかわしくない、シルクのガウンの胸元を隠すようにして
「そうなの、じゃあ、ちょっと待ってね…あの人に聞いてみるわ…」
そう言って、私を廊下にとどめたまま、ドアを閉めました。
五十万円という金額が、妥当なものなのかは見当もつきません。
ただ、私の稚拙なセックスをもって、男から妻を奪還するには、このような方法しか、思いつかなかったのです。
対抗手段として、男らしくないと言われれば、それまでですが…
暫くしてドアが開き、今度、出てきたのは男でした。
「美佐子の予感が当たったな…旦那は直ぐに戻ってくるって言ってたからさ…」
男の口元が弛んでいます。
私は、すでにセカンドバックから取り出してあった茶封筒を、わざと男に見えるようにちらつかせながら
「短い間でも、妻がお世話を掛けたんですから、最初にお礼を言うべきでした…」
「突っ立っていないで、まぁ入んなよ…」
部屋へ入ると、妻の姿がありません。
男と入れ替わりに、入浴中のようです。
私は、再び硝子テーブルの前に座りました。
男の着ているガウンは、妻と揃いの物でした。
「旦那、足を崩しなよ…」
正座している私にそう言いながら、男はガウンの前をはだけたまま、堂々と胡座をかきました。
その瞬時、男の股間が私の目に飛び込んできたのです…
<続く>
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別段、妻の行動に疑念を抱き、興信所に調べさせたり、携帯を盗み見た訳ではありません。
発覚は、妻自身による告白でした。
私が出張から帰宅した夜、唐突に、妻の口から浮気の事実を切り出されたのです。
話を聞かされても、私にはとても現実のこととは思えず、妻、と、不貞、という言葉を即座に頭の中で結びつけることができませんでした。
元々、妻は家庭的で、浮気などできるタイプの人間ではなかったのです。
色白の、均整のとれた身体つきだけが取り柄の、何処にでもいるような目立たない専業主婦でした。
けっして、美人でもなければ身につけるものや、立ち振る舞いにしても、いっこうに華やいだところがなく、見た目も、性格そのものも、地味な女だったのです。
「離婚するか、しないかは、相手の方と話し合って、貴方が決めて下さい…私は貴方の決断に従います…」
顔面蒼白の妻が、そう言って、土下座をしたとき、私は、初めて事の重大さに気づきました。
見合い結婚をして八年、いつか、こういう日の来ることを予感できない訳でもなかったのです。
夫として不甲斐ないのですが、新婚初夜の無惨な失敗以来、私には、夫婦生活に際して、妻を歓喜の絶頂へ導いたという実感が、一度たりともありませんでした。
病的な早漏を気にするあまり、ベッドの中で、妻の身体を大胆に扱うことができなかったのです。
射精を早めないように、刺激的な体位は避けたとしても、力強いピストン運動など望むべきもありません。
挿入後は、下腹を密着させたまま、ゆるやかな円運動を描き、お互いの恥骨を押しつけ合うばかりの交合でした…
それでいても、大抵、終焉は一分前後でやってくるのです。
亀頭に擦り込む塗り薬、金冷法、根元をくくるドイツ製のリング、寸止めのマスターベーション等々、いずれの処方も、気休めにはなっても、病的な早漏を治癒させるほどの効用はありませんでした。
結合時間の短さを補うための前戯さえ、私の元来の不器用さからか、痛痒感を与えることのほうが多く、いつしか妻も協力的でなくなったのです…出産後も、私が身体を寄せれば、拒絶されることはなかったのですが…妻の歓喜が伴わない交合に、この頃から、私の性癖が熱せられた鉄のように歪み始めたのでした。
愛する妻を他人に抱かせる、しかも、夫である私の眼前で…この世に、これほどの自虐的な快楽があるでしょうか。
ただ、《寝取らせ》などという言葉は、その頃、まだ一般的ではなく、夫のお膳立てした場で、妻を他人に抱かせるなど、私には思いもよらないことでした。
「子供は、どうする気なんだ…」
妻の口から、不貞の事実を告げられても、私には最初から、離婚を言い渡す気持ちなどありませんでした。
「今は、子供のことは言わないで頂戴…私が馬鹿でした…」
娘を引き合いに出すと、妻は以外にも、その場に泣き崩れました。
一度の過ちを種に、妻は男から脅され続けているのではないか?瞬時、そんな懸念が私の頭をよぎりました。
男につきまとわれ、やむ無く不貞の事実を打ち明けざるを得なくなったのかもしれない…
「問題は、お前の意志だ。とっくに、離婚の覚悟はできているんだろ?」
妻は、畳に擦りつけた頭を激しく横に振った。
「許されるなら…離婚はしたくないわ…」
「それなら、その気持ちをそのまま、相手方に伝えたらいいじゃないか…」
妻に離婚の意志のないことを確認した私は、強気な口調で突き放すように言いました。
「貴方が会って、話して下さらないと…私ひとりじゃ…」
「お前ひとりじゃ、情に流されてしまうとでも言うのか…」
本来、私は争い事の苦手な人間です…男の沽券を賭けて、妻の浮気相手と面談し、決着をつけるなど…想像しただけで身のすくむ思いでした。
救いは、法的な理が此方にあるということです…
万が一にも、相手方から金銭を要求されたり、暴力でも振るわれようものなら、弁護士は元より、警察に願い出るという手立てだってあるのですから…
この考えは、私を大いに勇気づけました。
相手は、ごみ収集車の運転手です…
ここは、妻に反省を促す為にも、五十万程度の金なら、手切れ金として呉れてやってもいいかもしれない…
私の寛大さ見せつけることで、よりいっそう、男の心底にある卑しさが、妻の目にも、浮き彫りになるだろう…
忘れもしません。
七月の蒸すような熱い夜でした。
義妹宅へ娘を預けた私達夫婦は、男のアパートへと向かったのです…
昭和の残骸のような安普請のアパートでした。
私は、車のエンジンを止め、助手席にいる妻の様子を窺いました。
義妹宅を出てから、終始、無言だった妻が漸く口を開きました。
「ごめんなさい…こんなことに貴方を巻き込んでしまって…」
「いいよ…済んでしまったことは仕方がない…大事なのは、これから先のことだ」
世間体や、娘の将来を考えると、妻にとっても離婚が得策でないことは明白でした。
妻の性格を考えると、いまの安定した生活を捨て去り、このような小汚ないアパートに身を置いて、この先、暮らしていける筈もないのです。
妻との事前の打ち合わせは二つ、離婚の意志のないことを男にきっぱりと告げる、もう一つは、今後一切、会わないという約束を取り付けること…
「その後の話は、私に任せればいいから…」
相手の出方もあるが、私としては、法的手段をちらつかせるようなことはせず、できるなら穏便に話を終わらせたかったのです。
妻から、不貞の事実を聞かされたのは三日前…
その間、私は朝、夜を問わず、狂ったように妻の身体を求め続けました…
男に汚されたであろう、妻の部分に口づけながら、男との行為の一部始終を不貞の口から吐き出させようとしたのです。
たとえば、出社前の五分間という、寸分の時間さえ惜しみ、キッチンの床に妻を押し倒すと、その豊満な尻に噛みつきながら、男との正確な性交時間を聞き出そうとしたりしました。
屹立した物を自らの手でしごきながら、私との夫婦生活では知り得なかった体位の数々を聞き出し、そのポーズを床の上で取らせたりもしたのです…
そんな時の、下腹から沸き上がる得体の知れない焦燥感は、私にとって新鮮な快感でした。
妻の話によれば、ごみ出しの際に声を掛けられ、親しく挨拶を交わすようになったのが、そもそもの発端だとのことでした。
早朝から始まるごみ収集の仕事は、正午前には終わるらしく、駅に隣接するドラッグストアで、偶然、出会ったその日のうちに妻は男の毒牙に掛けられたようです。私の出張を待つまでもなく、呼び出された昼間にも、何度かは身体を重ねたことがあるようでした。
男と関係ができて一ヶ月半、私の想像に反して、金品を要求されたことはないとのことでした。
「二階の一番、奥の部屋よ…」
妻に案内されながら、錆止めのあらわになった鉄の階段を私は、意を決して上り始めました。
男の部屋の前に立った妻が、ドアノブに手を掛け、私を振り返ります。
そして、小さく微笑みました。
外の気配を察したのか、中から
「オゥ、入れ!」
男の野太い声がしました。
「どうぞ…」
先に部屋に入った妻が私を促がしました…
一瞬、私が躊躇すると…
「おい旦那、もたもたするな!蚊が入るぞ…」
男に機先を制じられた私は、思わず
「はい…家内がお世話になりました…辻野です」
《お世話になりました》過去形で言い放ったのは、妻とそちらの関係は、もう終わりだという私の意思表示でした。
その言葉の意味に男は気づいただろうか…
部屋は以外にも整然と片づけられていました。
しかし男は、派手な英文字を羅列した柄物のトランクスに、ランニングシャツという、とても、客を迎える身なりではありませんでした。
「美佐子、茶を入れろ…」
ちゃんとした私への挨拶もないまま、男は、あろうことか、妻の名前を呼び捨てにしたのです。
私は事態を甘く考えていたのかも知れない…
相手は、一筋縄ではいかない男ではないのか…
硝子の小さなテーブルで男と対峙しながら、私は部屋を見渡しました。
玄関わきに流し台があり、その三畳ほどの板の間には、冷蔵庫と食器棚が置かれています。
その奥の六畳の間に、硝子のテーブル、木製のベッド、テレビ、ビデオ・デッキ、もう一つ奥まった所に、風呂場とトイレがあるようでした。
《妻が眼前で…》のタイトル通り、この間取りは、覚えて置いて頂いたほうがいいと思います…
台所から戻った妻は、私の目の前へ麦茶を置くと、テーブルとベッドの間をすり抜け、ためらいがちに男の横に座ったのでした…
この妻の行動は、予想外でした。
この談判は、妻と私が、男と対峙して行うべきことだと、自分勝手に思い込んでいたのです。
この一ヶ月半、妻が、何度この部屋を訪れ、男とどのような時間を過ごしたのかは想像に難くありません…
勿論、男はこのアパートの部屋では主人です。
短期間にせよ、夫婦の真似事のようなことをしていた二人なのですから、この部屋において、私を客として迎え入れようとするのは、妻にとって自然な流れなのかもしれません…
これは、妻がどちら側につくという話ではなく、習慣の問題なのだと、私は、判断しました。
第一、妻が男を怖れている様子も見受けられません…
妻が男の横に座った理由…
これから男にに対して離別の話を切り出すのですから、多少の気遣いを見せておいたほうがよいと、妻なりに機転もあったのでしょう…
喉に渇きを覚えていた私は、麦茶に口をつけると
「結論を言います…妻とは離婚しません…このことは、妻も同意しています…」
男は、唇を歪めて片笑いしました。
「そうかい、俺にしたって、離婚までされると後味が悪いしな…美佐子、よかったな…」
「ごめんなさい…順さん…」
正座した妻が俯き加減に言いました
「なにも、謝ることはないぜ…夫婦、二人での話し合いがついているんなら、あとは、俺と美佐子で、話し合う番だな…今夜はじっくり話し合おうぜ、泊まっていくだろ…」
私は男の言葉に耳を疑いました。
妻も、この成り行きには驚いた様子です。
「そんな…泊まるなんてことできないわ…娘をよそに預けてきてるのよ…」
「亭主に迎えに行かせればいいだろ…なぁ旦那…そのくらいのことをしても罰は当たらないぜ」
「いったい、何を話し合うのですか?妻とは、すでに離婚しない結論に達しているのですから…」
「旦那さんよ、奥さんが本気で俺と別れたがってるのか、知りたくないのかい?」
「妻の意志は確認済みです…そう言われるなら、今、この場で聞いてみて下さい。」
「旦那はこう言ってるが、美佐子、どうなんだ…」
妻が柱時計に目をやりました。時間は九時を過ぎています…
「貴方…今夜は、先に帰って…私、はっきりと気持ちを伝えますから…」
このアパートを訪ねる前に、妻と打ち合わせたことは二つ。
夫婦に離婚の意志のないことをきっぱりと伝えること。
この意志は、すでに伝えました。
もう一つは、二度と会わない約束を男から取り付けること…
会う、会わないは、妻と男の意志の問題です。
妻は悲壮な決意をもって男に約束を取り付けるつもりなのでしょう。
その決意を無駄にする訳にはいきません。
それに、男から約束を取り付ける機会は、今夜をおいてないように思われました。
「承知しました…妻と存分に話し合って下さい。私は表の車の中で待つことにします…」
私は強い口調で、男らしく言い放つと、さっと立ち上がり、いったんは部屋を出たのでした。
車に戻った私は、それでも、気が気ではありません…
男が、妻を抱こうとしているのは見え見えでした。
会わない約束と引き換えに、妻はいやいやながらも、抱かれる覚悟でいるのかもしれないのです。
義妹宅へ電話を入れ、今夜は都合で、娘を迎えに行けなくなったことを伝えました。
私はアパートの部屋へ戻る決心をしました…
しかし、部屋を出てから十五分、戻る理由が思い浮かびません…
そうだ、手切れ金がある…
この五十万円を差し出せば、妻を連れ戻すことは無理にしても、板の間くらいには、私も泊めて貰えるかもしれません…
これは小説ではありません。
私はそういう才能を持ち合わせていませんから…
かと言って、百パーセント、真実という訳でもありません。
しかしながら、妻と、妻の浮気相手と、私、三者で話し合った夜、男のアパートの一室で、一夜を明かしたことは本当なんです…
妻は、私の眼前で、男に抱かれました。
結婚して八年、当時、妻は三十六歳、今から十二年も前の話です。
浮気相手を悪役に仕立て上げて話さないと、自分自身が惨めに思えて…
不評のレスが多くて完結まで至れるかどうか…心が折れそうです。
私は再び鉄の階段を上がり、男の部屋の前に立ちました。
遠慮がちにノックをすると、静かにドアを開けたのは妻でした。
「迎えに行けないからって、電話を入れといたよ」
妻は、娘のことを気にする様子もなく
「あの人、入浴中なの…まだ、話はついてないわよ」
肩までの長い髪をアップにして、後ろに束ねています…
どうやら妻も、これから入浴する様子でした。
「お前も賛成してくれていた、手切れ金のことだけど…話し合う前に提示して置いたほうがいいんじゃないかと思って…」
妻は、安普請のアパートの部屋に似つかわしくない、シルクのガウンの胸元を隠すようにして
「そうなの、じゃあ、ちょっと待ってね…あの人に聞いてみるわ…」
そう言って、私を廊下にとどめたまま、ドアを閉めました。
五十万円という金額が、妥当なものなのかは見当もつきません。
ただ、私の稚拙なセックスをもって、男から妻を奪還するには、このような方法しか、思いつかなかったのです。
対抗手段として、男らしくないと言われれば、それまでですが…
暫くしてドアが開き、今度、出てきたのは男でした。
「美佐子の予感が当たったな…旦那は直ぐに戻ってくるって言ってたからさ…」
男の口元が弛んでいます。
私は、すでにセカンドバックから取り出してあった茶封筒を、わざと男に見えるようにちらつかせながら
「短い間でも、妻がお世話を掛けたんですから、最初にお礼を言うべきでした…」
「突っ立っていないで、まぁ入んなよ…」
部屋へ入ると、妻の姿がありません。
男と入れ替わりに、入浴中のようです。
私は、再び硝子テーブルの前に座りました。
男の着ているガウンは、妻と揃いの物でした。
「旦那、足を崩しなよ…」
正座している私にそう言いながら、男はガウンの前をはだけたまま、堂々と胡座をかきました。
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