合コンで恋人同士が鉢合わせ 2
男女は段々互いの話が尽きて来る。
そのタイミングを見計らって唐沢が皆に提案する。
「王様ゲームでもやらないか」
その言葉に信二と仁美はドキッとする。
仁美は唐沢を見遣るが唐沢は笑顔を返す。
「おい、待てよ」
信二は堪らず声をあげる。
「そういうのは嫌な子もいるかも知れないだろ」
唐沢は信二を睨みつける。
「えぇなんでだよ。ただのゲームだろ。なぁ」
唐沢は他の男に賛同を求める。
男達は一斉に野次と避難の目を信二に向ける。
「ユミどうなんだよ。いいだろ」
唐沢が話をユミに振ると。
「いいよ。やろうよ」とユミは俄然乗り気だ。
「ちょっと、ユミ」
仁美がユミに助けを求めるように言う。
「いいじゃん。ただのゲームだって。ねっ、信二君もいいでしょ」
そう言うと、ユミは信二の肩に寄り掛かる。
その瞬間仁美の顔が微かに変わったのを信二は見のがさなかった。
信二は慌ててユミから離れる。
そうこうしている間に、唐沢が割り箸を集めてクジを作る。
「よしやろうぜ、ねっ、仁美ちゃんもいいだろ」
仁美は戸惑いながらも頷く。
「さっ王様はだれだ?」
唐沢が見回す。
向いに座った女の子が控えめに手をあげる。
「さっ、なんでも命令してくれよ」
唐沢が命令を促す。
「えっと、じゃあ。三番が四番にピラフを食べさせてあげる」
その指示を聞いて、信二以外の男は一斉にブーイングをする。
信二は過激な内容になるんじゃないかと思っていたので少しホッとする。
「ま、最初だからな。四番は俺だ、三番は誰?」
唐沢は明らかに不満げな男達をなだめると、自分の割り箸をみんなに見せた。
「あの・・・私です」
仁美が遠慮がちに手を挙げる。
「えっ、仁美ちゃん。ラッキー!」
唐沢は仁美に笑いかける。
仁美も苦笑いを返す。
「早くやっちゃいなよ」
ユミが不満げに言う。
仁美はその言葉に慌てて新しいスプーンでピラフを掬うと唐沢の口元に持っていく。
「仁美ちゃん、自分のスプーンで食べさせてよ」
仁美は一瞬たじろぐが周りの早くという目を見て、自分の使っていたスプーンでピラフを掬い唐沢に食べさせた。
「仁美ちゃん、間接キスだね」
唐沢は口をモゴモゴさせて言った。
仁美は曖昧に頷くと、信二を伺い見る。
信二は何事もなかったように、ユミと会話している。
「よし、じゃあ、また引いてくれ」
みんな、唐沢の手に束ねられたクジを引く。
「おっ、俺が王様だ!」
唐沢は勝ち誇ったように、クジをみんなに見せる。
信二は唐沢の笑顔を見て不安になる。
「じゃあ、女の子は右隣に座っている男の頬にキス」
信二と仁美はえっと唐沢を見る。
男達は喚声をあげ、女の子は「えぇーやだー」と口々に言う。
「頬にキスぐらいなんてことないだろ」
唐沢は仁美を見ずに笑顔で言う。
仁美はユミに助けを求めるように見る。
その瞬間、ユミは信二の頬にキスをした。
信二は驚いてユミを見る。
ユミは少し照れくさそうに信二を見る。
その姿に触発されて、女の子達がキスをしだす。
そして、キスをしていないのは仁美だけになった。
「仁美、早くやりなよ」
仁美は言葉を発したユミを怪訝な様子で見て、続けざまに信二を睨んだ。
信二は仁美からすっと目を逸らす。
仁美はその様子にかっとして、唐沢に身体を寄せると頬に軽いキスをしようとした。
すると唐沢がその瞬間顔を仁美の方に向けたせいでお互いの唇が重なってしまう。
「うわぁ、仁美大胆だね、王様の命令は頬にキスだよ」
ユミがいやらしく瞳を見る。
「いいなぁ!」
「俺にもしてよ!」
男達は一斉に喚声をあげる。
信二は呆然とその様子を見ていた。
胸を拳で叩かれたかのような衝撃を受け、その胸が強く締め付けられる。
仁美の顔をまともに見ることが出来ない。
ただ視界の端に映る仁美の姿が胸をまた締め付ける。
「仁美ちゃんの唇柔らかいね」
唐沢は仁美に囁くように、しかも、周囲に聞こえるように言った。
仁美はその言葉に頬を染め、唐沢を睨む。
しかし、唐沢は意に返さず笑顔を見せる。
仁美が信二の様子を窺うと微かに震えているのが分かる。
「よし、次やろうぜ!さっ、クジを引いてくれ!」
「いぇーい!!」
二人を除く、男女達が目に見えて昂揚していく。
「・・・おい、やっぱ・・・こう言うの止めようぜ」
信二は俯き加減で、苦笑いを浮かべ言った。
「おい、水橋、お前何言ってんの、空気読めよ。みんなやる気満々なんだよ」
皆が同意と非難の声をあげる。
「信二君、ただのゲームじゃん。あたし、楽しいよ」
そう言うとユミは信二に引っ付く。
「・・・でも」
「じゃあ、お前帰れよ」
「・・・ああ」
「えーえ、信二君帰っちゃ、やだ」
立ち上がろうとした信二の袖をユミが引っ張る。
「ユミ、こいつがいたら場の雰囲気が悪くなるだろ。仁美ちゃんもそう思うだろ」
「・・・私もそろそろ帰ろっかな」
「どうして、楽しそうにしてたじゃん」
「やっぱり、王様ゲームは・・・」
「・・・わかった。じゃ王様ゲームはラスト一回にしよう」
唐沢の言葉に男達は一斉に非難の声をあげる。
唐沢は皆をまあまとなだめる。
「仁美ちゃんこれならいいだろ」
仁美は信二を一瞬見て頷いた。
信二も仕方なくその場に座り直す。
「よし、じゃあ、気を取り直して」
全員が一斉にクジを引いた。
「王様誰だ?」
「あっ、また俺だ」
唐沢が頭を掻きながら名乗り出る。
二人はまた不安になる。
「じゃあ次の命令は三番が王様にディープキス」
仁美はその瞬間顔面が蒼白になる。
その様子を見て取った信二も顔が引き攣る。
「三番だれー?」
ユミは明るくみんなに聞く。
「あれ仁美ちゃん三番じゃん」
唐沢が仁美の割り箸を覗き見てニヤニヤ笑って言った。
「さっきは軽いタッチだから、今度はしっかりと確認しあえるね」
仁美はいやいやと首を振る。
「もう、仁美。さっきは自分から唐沢の唇にキスしたくせに」
ユミは他の女の子達にねっと相槌を求め、皆笑いながら「そうだよね」と口々に囃し立てる。
「じゃあ、しよっか」
唐沢は仁美の腕を掴むと身体を引き寄せ背中に手をまわす。
「ちょっと、やだ」
仁美は身体を捻るが、唐沢に抱えられ身動きがとれない。
周の囃し立てる声が徐々に大きくなる。
仁美は助けてと信二を見つめる。
「待てよ!!嫌がってるだろ」
「はあ、お前には関係ないだろ」
信二は深く息を吸い込む。
「関係あるよ、仁美は俺の彼女だ!」
その言葉に、皆が本当かと確認するように顔を見合わせる。
仁美はその言葉を受けて、唐沢の束縛から逃れる。
唐沢は仁美を見つめ、信二を睨み、何度か頷くと顔が怒りで豹変し怒声をあげた。
「そういう事かよ。さっきから可笑しいと思ってたんだよ。お前ら何回も目で確認しあってたしなあ。ふーん。彼氏彼女のいない俺らのことバカにして見てたんだな。あー可哀想な奴らってなぁ」
「・・・そんなことない」
「ふざけんじゃねぇ!!」
唐沢はグラスを壁に投げ付け切れて叫んだ。
「ユミ、お前どういう事だよ」
「あたしも知らなかった。仁美、最初の顔合わせから今までそんなこと口にしなかったし」
そう言うと仁美を睨みつける。
「ユミ、あのね、言おうとしたんだけど・・・」
「仁美あたしのこと笑ってたんだ。信二君が好きって言ったとき、あたしの彼氏なのにこいつバカだって笑ったんだ」
ユミは涙目になっている。
「・・・違う」
「何が違うのよ!!」
「ふっ、もういいよ」
唐沢は気が抜けたように椅子に深く座り込んだ。
「水橋お前もう帰れ」
信二はその言葉を受けて立ち上がる。
仁美も立ち上がろうとすると唐沢が仁美の腕を掴んだ。
「おい、なんだよ」
「お前は帰っていいけど、仁美ちゃんはダメだ」
「なんでだよ、ふざけんな!!」
「ゲームが終わってないだろ。俺らだって、このままバカにされたままじゃ、納得いかないよ」
信二が周りを見回すとみんな冷たい目で見ている。
「今日のことは悪かったよ」
「悪かった。ふざけんな!!」
唐沢の言葉に信二はたじろぐ。
「信二君、知ってる」
突然ユミが信二を見上げ涙を拭いながら話しだす。
「仁美、信二君の知らないところで、色々あそんでるんだよ」
ユミの突然の言葉に仁美は驚き唖然とする。
「嘘よ!!」
「仁美、信二君の前だからって、可愛子ぶるのやめなよ。何度も一緒に合コン行ったじゃない」
「・・・仁美」
信二は驚き仁美を見遣る。
「信二、嘘だから、合コン来たのだってユミに無理に頼まれた今日が初めてだから」
仁美の目から涙が溢れる。
「いいかげんにしなさいよ。先週の土曜なんて、気が合った人とそのままお泊まりしたじゃない」
信二は先週の土曜のことを振り返る。
確かにその日、仁美は友達の家に泊まりに行くと言っていた。
「嘘!!あなたが相談があるからって言うから、一晩中相談にのってあげていたんじゃない」
「でも仁美ちゃん、今日、合コンに来てんじゃん」
唐沢は笑いながら言った。
仁美は言葉に詰まる。
信二をお願い信じてと見つめる。
信二は疑心暗鬼になっていた。
まさか、そんなはずはないと邪念を振払おうとするが、もしかしてと考えてしまう。
「とりあえず、水橋は帰んの?どうすんの?おれたちは合コンの続きするから」
唐沢は仁美の腕を引っ張り座らせる。
「でも、仁美ちゃん、うぶそうに見えて、その日のうちにお持ち帰りされちゃうんだ」
唐沢はにやっと笑う。
仁美は違うと首を何度も振る。
信二は何が本当か分からず、仁美を信じきることもできず、呆然と椅子に座り込んだ。
「じゃあ、続きやろうぜ」
「ま、待ってくれ」
唐沢は信二の言葉を無視して仁美を抱え込むと、躊躇なく仁美の口に自分の口を重ねた。
信二は虚しく響いた自分の声に、自分の彼女が他の男とキスしている事実を突き付けられる。
唐沢は呆然とした信二を横目で見ると、舌で仁美の唇を舐め回し仁美の口の中に舌を入れる。
仁美は目を瞑り早く終わってと唐沢の肩を手で押す。
周りからは次々と囃し立てる声が聞こえる。
信二はその様子を震えながら見ている。
「・・・仁美・・・」
仁美の唇に蠢く唐沢の舌を凝視する。
そして、嫌がる仁美の顔をじっと見つめる。
仁美のいつもの笑顔とは違う歪んだ顔に胸が締め付けられる。
唐沢は仁美とのキスを堪能すると最後に軽く仁美の唇にキスをした。
「よかったよ」
唐沢は仁美に囁きかけた。
<続く>
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「王様ゲームでもやらないか」
その言葉に信二と仁美はドキッとする。
仁美は唐沢を見遣るが唐沢は笑顔を返す。
「おい、待てよ」
信二は堪らず声をあげる。
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「ユミどうなんだよ。いいだろ」
唐沢が話をユミに振ると。
「いいよ。やろうよ」とユミは俄然乗り気だ。
「ちょっと、ユミ」
仁美がユミに助けを求めるように言う。
「いいじゃん。ただのゲームだって。ねっ、信二君もいいでしょ」
そう言うと、ユミは信二の肩に寄り掛かる。
その瞬間仁美の顔が微かに変わったのを信二は見のがさなかった。
信二は慌ててユミから離れる。
そうこうしている間に、唐沢が割り箸を集めてクジを作る。
「よしやろうぜ、ねっ、仁美ちゃんもいいだろ」
仁美は戸惑いながらも頷く。
「さっ王様はだれだ?」
唐沢が見回す。
向いに座った女の子が控えめに手をあげる。
「さっ、なんでも命令してくれよ」
唐沢が命令を促す。
「えっと、じゃあ。三番が四番にピラフを食べさせてあげる」
その指示を聞いて、信二以外の男は一斉にブーイングをする。
信二は過激な内容になるんじゃないかと思っていたので少しホッとする。
「ま、最初だからな。四番は俺だ、三番は誰?」
唐沢は明らかに不満げな男達をなだめると、自分の割り箸をみんなに見せた。
「あの・・・私です」
仁美が遠慮がちに手を挙げる。
「えっ、仁美ちゃん。ラッキー!」
唐沢は仁美に笑いかける。
仁美も苦笑いを返す。
「早くやっちゃいなよ」
ユミが不満げに言う。
仁美はその言葉に慌てて新しいスプーンでピラフを掬うと唐沢の口元に持っていく。
「仁美ちゃん、自分のスプーンで食べさせてよ」
仁美は一瞬たじろぐが周りの早くという目を見て、自分の使っていたスプーンでピラフを掬い唐沢に食べさせた。
「仁美ちゃん、間接キスだね」
唐沢は口をモゴモゴさせて言った。
仁美は曖昧に頷くと、信二を伺い見る。
信二は何事もなかったように、ユミと会話している。
「よし、じゃあ、また引いてくれ」
みんな、唐沢の手に束ねられたクジを引く。
「おっ、俺が王様だ!」
唐沢は勝ち誇ったように、クジをみんなに見せる。
信二は唐沢の笑顔を見て不安になる。
「じゃあ、女の子は右隣に座っている男の頬にキス」
信二と仁美はえっと唐沢を見る。
男達は喚声をあげ、女の子は「えぇーやだー」と口々に言う。
「頬にキスぐらいなんてことないだろ」
唐沢は仁美を見ずに笑顔で言う。
仁美はユミに助けを求めるように見る。
その瞬間、ユミは信二の頬にキスをした。
信二は驚いてユミを見る。
ユミは少し照れくさそうに信二を見る。
その姿に触発されて、女の子達がキスをしだす。
そして、キスをしていないのは仁美だけになった。
「仁美、早くやりなよ」
仁美は言葉を発したユミを怪訝な様子で見て、続けざまに信二を睨んだ。
信二は仁美からすっと目を逸らす。
仁美はその様子にかっとして、唐沢に身体を寄せると頬に軽いキスをしようとした。
すると唐沢がその瞬間顔を仁美の方に向けたせいでお互いの唇が重なってしまう。
「うわぁ、仁美大胆だね、王様の命令は頬にキスだよ」
ユミがいやらしく瞳を見る。
「いいなぁ!」
「俺にもしてよ!」
男達は一斉に喚声をあげる。
信二は呆然とその様子を見ていた。
胸を拳で叩かれたかのような衝撃を受け、その胸が強く締め付けられる。
仁美の顔をまともに見ることが出来ない。
ただ視界の端に映る仁美の姿が胸をまた締め付ける。
「仁美ちゃんの唇柔らかいね」
唐沢は仁美に囁くように、しかも、周囲に聞こえるように言った。
仁美はその言葉に頬を染め、唐沢を睨む。
しかし、唐沢は意に返さず笑顔を見せる。
仁美が信二の様子を窺うと微かに震えているのが分かる。
「よし、次やろうぜ!さっ、クジを引いてくれ!」
「いぇーい!!」
二人を除く、男女達が目に見えて昂揚していく。
「・・・おい、やっぱ・・・こう言うの止めようぜ」
信二は俯き加減で、苦笑いを浮かべ言った。
「おい、水橋、お前何言ってんの、空気読めよ。みんなやる気満々なんだよ」
皆が同意と非難の声をあげる。
「信二君、ただのゲームじゃん。あたし、楽しいよ」
そう言うとユミは信二に引っ付く。
「・・・でも」
「じゃあ、お前帰れよ」
「・・・ああ」
「えーえ、信二君帰っちゃ、やだ」
立ち上がろうとした信二の袖をユミが引っ張る。
「ユミ、こいつがいたら場の雰囲気が悪くなるだろ。仁美ちゃんもそう思うだろ」
「・・・私もそろそろ帰ろっかな」
「どうして、楽しそうにしてたじゃん」
「やっぱり、王様ゲームは・・・」
「・・・わかった。じゃ王様ゲームはラスト一回にしよう」
唐沢の言葉に男達は一斉に非難の声をあげる。
唐沢は皆をまあまとなだめる。
「仁美ちゃんこれならいいだろ」
仁美は信二を一瞬見て頷いた。
信二も仕方なくその場に座り直す。
「よし、じゃあ、気を取り直して」
全員が一斉にクジを引いた。
「王様誰だ?」
「あっ、また俺だ」
唐沢が頭を掻きながら名乗り出る。
二人はまた不安になる。
「じゃあ次の命令は三番が王様にディープキス」
仁美はその瞬間顔面が蒼白になる。
その様子を見て取った信二も顔が引き攣る。
「三番だれー?」
ユミは明るくみんなに聞く。
「あれ仁美ちゃん三番じゃん」
唐沢が仁美の割り箸を覗き見てニヤニヤ笑って言った。
「さっきは軽いタッチだから、今度はしっかりと確認しあえるね」
仁美はいやいやと首を振る。
「もう、仁美。さっきは自分から唐沢の唇にキスしたくせに」
ユミは他の女の子達にねっと相槌を求め、皆笑いながら「そうだよね」と口々に囃し立てる。
「じゃあ、しよっか」
唐沢は仁美の腕を掴むと身体を引き寄せ背中に手をまわす。
「ちょっと、やだ」
仁美は身体を捻るが、唐沢に抱えられ身動きがとれない。
周の囃し立てる声が徐々に大きくなる。
仁美は助けてと信二を見つめる。
「待てよ!!嫌がってるだろ」
「はあ、お前には関係ないだろ」
信二は深く息を吸い込む。
「関係あるよ、仁美は俺の彼女だ!」
その言葉に、皆が本当かと確認するように顔を見合わせる。
仁美はその言葉を受けて、唐沢の束縛から逃れる。
唐沢は仁美を見つめ、信二を睨み、何度か頷くと顔が怒りで豹変し怒声をあげた。
「そういう事かよ。さっきから可笑しいと思ってたんだよ。お前ら何回も目で確認しあってたしなあ。ふーん。彼氏彼女のいない俺らのことバカにして見てたんだな。あー可哀想な奴らってなぁ」
「・・・そんなことない」
「ふざけんじゃねぇ!!」
唐沢はグラスを壁に投げ付け切れて叫んだ。
「ユミ、お前どういう事だよ」
「あたしも知らなかった。仁美、最初の顔合わせから今までそんなこと口にしなかったし」
そう言うと仁美を睨みつける。
「ユミ、あのね、言おうとしたんだけど・・・」
「仁美あたしのこと笑ってたんだ。信二君が好きって言ったとき、あたしの彼氏なのにこいつバカだって笑ったんだ」
ユミは涙目になっている。
「・・・違う」
「何が違うのよ!!」
「ふっ、もういいよ」
唐沢は気が抜けたように椅子に深く座り込んだ。
「水橋お前もう帰れ」
信二はその言葉を受けて立ち上がる。
仁美も立ち上がろうとすると唐沢が仁美の腕を掴んだ。
「おい、なんだよ」
「お前は帰っていいけど、仁美ちゃんはダメだ」
「なんでだよ、ふざけんな!!」
「ゲームが終わってないだろ。俺らだって、このままバカにされたままじゃ、納得いかないよ」
信二が周りを見回すとみんな冷たい目で見ている。
「今日のことは悪かったよ」
「悪かった。ふざけんな!!」
唐沢の言葉に信二はたじろぐ。
「信二君、知ってる」
突然ユミが信二を見上げ涙を拭いながら話しだす。
「仁美、信二君の知らないところで、色々あそんでるんだよ」
ユミの突然の言葉に仁美は驚き唖然とする。
「嘘よ!!」
「仁美、信二君の前だからって、可愛子ぶるのやめなよ。何度も一緒に合コン行ったじゃない」
「・・・仁美」
信二は驚き仁美を見遣る。
「信二、嘘だから、合コン来たのだってユミに無理に頼まれた今日が初めてだから」
仁美の目から涙が溢れる。
「いいかげんにしなさいよ。先週の土曜なんて、気が合った人とそのままお泊まりしたじゃない」
信二は先週の土曜のことを振り返る。
確かにその日、仁美は友達の家に泊まりに行くと言っていた。
「嘘!!あなたが相談があるからって言うから、一晩中相談にのってあげていたんじゃない」
「でも仁美ちゃん、今日、合コンに来てんじゃん」
唐沢は笑いながら言った。
仁美は言葉に詰まる。
信二をお願い信じてと見つめる。
信二は疑心暗鬼になっていた。
まさか、そんなはずはないと邪念を振払おうとするが、もしかしてと考えてしまう。
「とりあえず、水橋は帰んの?どうすんの?おれたちは合コンの続きするから」
唐沢は仁美の腕を引っ張り座らせる。
「でも、仁美ちゃん、うぶそうに見えて、その日のうちにお持ち帰りされちゃうんだ」
唐沢はにやっと笑う。
仁美は違うと首を何度も振る。
信二は何が本当か分からず、仁美を信じきることもできず、呆然と椅子に座り込んだ。
「じゃあ、続きやろうぜ」
「ま、待ってくれ」
唐沢は信二の言葉を無視して仁美を抱え込むと、躊躇なく仁美の口に自分の口を重ねた。
信二は虚しく響いた自分の声に、自分の彼女が他の男とキスしている事実を突き付けられる。
唐沢は呆然とした信二を横目で見ると、舌で仁美の唇を舐め回し仁美の口の中に舌を入れる。
仁美は目を瞑り早く終わってと唐沢の肩を手で押す。
周りからは次々と囃し立てる声が聞こえる。
信二はその様子を震えながら見ている。
「・・・仁美・・・」
仁美の唇に蠢く唐沢の舌を凝視する。
そして、嫌がる仁美の顔をじっと見つめる。
仁美のいつもの笑顔とは違う歪んだ顔に胸が締め付けられる。
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