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面接した人妻 1【職場不倫体験談】

私の勤めている職場は、10人ほどの小さな営業所。
昨今の費用対効果を重視してか、必要最小限の人員で頑張っている。

その少ない職員が、急に辞めることになった。
所長は、一人でも職員が減らせて経費が浮くとでも思っているのか、一向に後補充をする気配がない。
このままでは、他の職員にもしわ寄せが来て大変だ。


たまりかねて、所長に「新しい人の採用とかは、どうなんでしょう。」と訊いた。

「ああ、職安に頼んでいるんだよ。いま一人応募があるんだが、もう少し集まってから一度に面接をしようと思っていたんだが、集まりそうもないので、明日取り敢えず、その人だけでも面接しようと思ってるんだ。」

そうか、やはり所長だけある。手は打っているんだと思った。

「面接は君がやってくれないか。」
「はい、わかりました。」
「これが、履歴書だ、目をとおしてくれたまえ。」

そう言って、所長から手渡された履歴書の写真は、髪が長い目の大きな女性だった。
すこし暗い表情だった。




翌日10時に本人は、やってきた。
所長に言われたように、面接は私が行った。
別段問題もなさそうなので、採用の意向を所長に伝えた。
所長も「君に任す。」と言って採用が決まった。
それが山中ルミとの出会いだった。

面接と履歴書で、36歳で高一の男の子がいることはわかっていた。
ご主人は単身赴任で週末に帰ってくるとのことであった。
山中ルミ自身は小柄な女性だった。
面接がすんで、翌週から勤務についもらった。
仕事は営業事務で、ほとんどワードとかエクセルで処理をするものだ。

私が仕事をする机の斜め前のあたりに山中ルミの机があって、その仕事ぶりを観ることが出来る。
時々、隣の先輩にわからないことを聴きながら、仕事をこなしている。

男性社員はほとんど営業で、顧客への対応等で日中は事務所にはおらず、普段は5人いるだけの事務所になる。
それでも来客者や、発注やらで、忙しく一日が過ぎて行く。

所長から「山中さんの歓迎会はどうする?」と相談されたので「暑気払いを兼ねて、やりましょうか」と応えた。

「それでは、日時と場所とかは、任すから、セットしてくれるかい。」と言うことになり、他の職員の都合を調整して、金曜の勤務終了後に近くの中華店で行うことになった。


所長の企画した歓迎会は、仕事が終わってからと言うことで、午後7時からだった。
職場から歩いて5分ほどの、なじみの小さな中華店で、ささやかながら顔つなぎというか、職員の懇親も兼ねて、和やかに過ごすことが出来て、職員が和気藹々と楽しい時間を共有できた。

私はもともと酒類は弱く、その日は都合があって自動車で出社していたので、ウーロン茶とジュースでとおした。
宴もたけなわとなり、みんなすっかり満足して、先輩格の音頭の挨拶でおひらきになった。

気のあった者は、2次会に繰り出す者や、早々に引き上げる者などそれぞれに解散した。
私はタクシーの手配をして、飲んだ者を送り出した。

みんなが去った後、職場の駐車場に置いてある自動車まで歩いていると、山中さんもついてくる。

「じつは、わたしも今日は自動車で来たんです。」と言う。

確かに彼女は白い軽自動車で通勤している。
きょうは飲み会と言うことで電車できたものとばかり思っていた。

「それじゃ、さっきのタクシーでいけばよかったなぁ。」
「いえ、いいんです。そんなに飲んでいませんし、車の中で、少し休んでいきますから。」

確かに山中ルミは、そんなに飲んではいなかったようだ。
みんなに注いで、挨拶をして回っていたが、自ら飲んでいるようにはなかった。

「いまからでも、タクシーをよんであげようか。」
「いえ、ほんとにいいんです。」
そんなことを話しながら、駐車場に歩いていく。

「今日は単身赴任のご主人が帰られる日と違うんですか。早く帰ってあげないと。」
「いえ、先週戻ったので、今週は帰らないんです。」

毎週の週末には帰らないと言うことだ。
車の中で酔いを覚まさせておいて、自分一人が帰るのも悪い気がした。

「そうなんですか。車の中で待つというのも何なんですから、少しお茶でも飲んで覚ましますか。」と気を遣う。
「でもわるいですから。」
「いやいいんだよ、ここにはいろう。」

ちょうど、喫茶店の前に来たのでそこに入ろうとしたが、あいにく閉店した後だった。

「しかたがないねぇ。」

ふたりは、あきらめて駐車場まで来た。
駐車場には私の車と、中山ルミの車が停まっている。
彼女だけをこんな暗い駐車場においたまま、一人だけが帰ってしまうのは、上司の立場からも気が引けた。

少し思案したが「どうだろう、酔いが醒めるまで、すこしぼくの車で走ってみないかい。」と誘ってみる。

正直言ってその時まで、まだ彼女を女性としての対象ではなかった。
業務が忙しく、事務所でもそう言う気分には至っていなかった。
辞めた人の後が埋まってよかった。
早く仕事を憶えて欲しい。
そんな気持が優先して、彼女に食指が向かう対象とするには、余裕がなかったのだ。

しかし男女の関係はふとしたきっかけで、新しい展開を見せることがある。

「そうね。少しの時間なら。」
「そうしましょう。その方が良い。飲酒運転は罰金もすごいし、会社の名前にもね。」そう言いながら助手席のドアを開けて乗せる。
「良い車ですね。」と山中さんが言う。

ポケットからガムを差し出して「これを噛むと良い。」と勧めた。
酒気の臭いだけでも消去した方が良い。

助手席に乗せて走っていると、48歳の妻、最近知り合った47歳の女性とは違った30代半ばの若さを感じる。
36歳と言うと、もしかすれば、女性の一番良いときかも知れない。

そのときまで女性と言う対象でなく、同じ職場の社員とだけしか思っていなかったのだが、自分の中の男の本能というか、欲望を感じた。
しかし職場に来て一週間あまりだ。
性急にことを進めるのは良くないと言う自制の気持も一方で働く。

私の車に乗せて国道に出て、港のある街まで走らせた。
窓を少しだけ開けて外気を入れながらエアコンを回すと、ちょうど心地よい室内温度が保たれる。

「山中さんとは、面接の時お聞きしましたけど、高校生のお子さんがいらっしゃるんですね。」
「はい。学校と塾で大変です。」
「そうですね、今は学校だけでは・・みなさん塾へ行ってるようですね。」
「そうなんです。」
「ご主人は、今日は帰らなかったそうですけど、来週はもどられるのですか。」
「はい、多分。単身で転勤したときは、毎週必ず帰ってきてたのですけど、半年くらいすぎてからは、月に3回になり、一週間おきになり、先月は一回だけでした。」
と少し笑いながら言う。

そのことに不満があるとか、寂しがっているとかは、感じていない雰囲気である。
確かに毎週帰ってくるのも大変だろうと思った。
自分なら、ほとんど帰らないだろうと思った。

「それは、お寂しいですね。でもご主人も大変ですよね。」
「ええ、確かに大変だと思います。4時間かけて帰って、日曜の午後にはまた出かけるんですから。」
「そうですか、もう長いんですか。」
「はい3年になります。」
「ではもうそろそろこちらに戻れるんじゃないですか。」
「そうだと良いんですけど。」

別にそう期待しているふうには思えない答え方だった。
車は港に着き、岸壁に停めて停泊している船を眺めながら、そんなとりとめのない話をしてから、ふたたび車をもとの会社の駐車場に向かった。

「そろそろ酔いも醒めたみたいだし、運転も大丈夫でしょ。」
「ええ、ほんとにすみませんでした。たすかりましたわ。」
「いえいえ、入ったばかりの職員さんを放っぽりだしては帰れませんから。」笑いながら、そう言う。

駐車場に着いて自分の車に乗り換えた後も、窓を開けて、「本当にどうもありがとうございました。仕事のほうも頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。」と言って、会釈をする。

「ええ、月曜からもお願いしますよ。お互い頑張りましょう。」そう言って、私も軽く頭を下げて笑顔を返す。
山中さんは、軽自動車特有の高い音を出して駐車場を出ていった。


休みが開けて月曜になり新たな週が始まった。
週末の「歓迎会」を話題にしたりしながらも、忙しい業務の再開である。

給湯室でお茶を飲んでいると、山中さんが来て「金曜はありがとうございました。酔い覚ましにつき合ってもらって。」

会社に制服はないので、私服のピンクのスーツ着ていて、それがよく似合っている。

「いえいえ、無事に帰れましたか。」
「おかげさまで。ほんとにありがとうございました。」
「あのとき喫茶店でも開いていたらゆっくり出来たんですが、しまっていたからね。」
「いいえ、とんでもないですわ。運転させてしまって。」
「また機会がれば、美味しいコーヒーでも飲みましょう。」
「ええ、お礼にごちそうさせてください。」

笑いながらその場を離れ仕事に戻った。
それまでと違って、大分うち解けた関係になったと思った。

<続く>

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