ずっと隠し続けてきた別の女性との関係が、ついにバレてしまった 1
十年間続いていた彼女との関係が、ついに妻の知るところとなった。それは北京から帰った夜だった。
それから苦悩の日が続いた。それは日記に綴られていた。
十月二十日(日)中国で一週間の用務を終えて、北京空港十四時十六分に離陸した全日空機は大阪空港に十八時八分に着陸。新幹線に乗り継いで二十一時五十一分にH駅に着いた。
H駅には妻が車で迎えに来てくれていた。その妻が帰る車の中で、「・・・話そうか・・・どうしようか・・・」と、口篭って言った。
「なんだい・・・。話してごらん・・・」と云うと、妻は話しにくい様子だったが、おもむろに「あなたが出掛けて三日目の夜、おかしな電話があったのよ・・・」と云った。
「どんな電話だったの・・・」と聞くと、妻は「あなたが、浮気をしている・・・、という電話だった」と云う。
「うそ・・・、そんなことはない・・・。誰かの中傷だろう・・・」
「貴方に限って、そんなことはないと思うけど、でも、気になるの・・・」
「どんな内容の電話だったの・・・」
「貴方が仕事が終わってからバスターミナルで待ち合わせしているとか、本屋で立ち読みして待ち合わせしているとか、たびたび喫茶店や居酒屋で飲んでいるとか、駅裏路地のホテルに入って行くのを見たとか、相手とはかなり親しい間柄に見えたとか、どうも職場の女性のようだったとか・・・、などと云われた。それ、本当・・・?」
電話の内容には、確かに心当たりのことが多かった。
ついに浮気がばれたと思った。妻からの話を聞いて、「それは職場が一緒だから、一緒にお茶を飲んだり、居酒屋で飲むことはあった。しかし、人が噂するような、関係を結んだことはないよ・・・。君を裏切るようなことは、決してしていない・・・。それは信じて欲しい・・・。私を陥れる誰かの中傷なんだ・・・!・・・」と強く否定すると、妻は「あなたに限ってそんなことないでしょう・・・。信じていいのね・・・!」と云い、運転する私の横顔を見つめていた。
「そうだよ、君を裏切るようなことはしていないよ・・・」と云って運転を続けたが、心中穏やかではなかった。とうとう来るべきものが来たか・・・と、頭から血が下がる思いがしたが、努めて平静を保ち運転を続けた。
十月二十一日(月)深夜0:30帰宅し手荷物を整理していると日付が替わった。床に着いたのは十二時を回っていた。
一週間ぶりに抱く妻の柔肌だった。妻の乳房に触れながら愛撫していると妻は「・・・信じていいのね・・・」と云って私に抱きついてきた。
妻は、不審電話にことを話し、その電話の内容が否定されると、不安と胸のつかえが取れ、安心したのか、私に快く体を預けてきた。次第に体をくねらせ、素直に快感を表し、男塊を強く絞り込んできた。
私は、溜まっていた白濁を妻の体内に注ぎ込んで果てた。妻も果て、私の胸に抱かれてそのまま眠りに吸い込まれていった。
十月二十一日(月)22:00一週間ぶりに職場に行った。顔を上げれば彼女が机に向かって真面目に仕事をしている姿が目に映る。
彼女は同じ職場にいる職員で、初めて彼女を女にしたときは彼女が二十八歳の時だった。あれから十年、すでに三十八歳となっていたが、まだ結婚していなかった。
妻にばれた今、どうすればいいのだろうか、思い悩んだ。家庭を捨てる勇気もない。
今の地位名誉も守りたい。彼女との愛を思うと、今ここで彼女を裏切って捨てることも偲び得ない。
かといって、彼女と同じ職場なので、職場に公になれば犯した過ちから、坂道を滑り転がり落ちることは必至。それは食い止めねばならない。
滑り落ちるのを食い止めるには、彼女と手を切って浮気という高い代償を背負うこととなるが、それの他に方法はない・・・と思った。今日一日中、仕事が手に付かなかった。
十月二十二日(火)自分が犯した責めに苦しんだ。深刻な難題に悩まされて仕事も手につかなかった。
何で、同じ職場の女の子に手を出したのだろうか。何故、こんな事をしたのだろうか。
彼女が未だ結婚していないのは自分のせいなのだ。と自分を責めるばかりだった。
また一方、妻が私の浮気に疑念を持つようになったのには、思い当たることがあった。それは夏の暑い日、病院に友達の見舞いに行った妻がその帰りに、妻の職場の上司と出会って一緒にお茶を飲んだという。
その時、その上司が妻に「あなたの主人が浮気しているという噂が流れているよ・・・注意しなさいよ・・・」と、忠告されたと云ったことがあった。「主人に限って・・・」と云う、夫の対する信頼感がこの忠告を無視していたようだった。
十月二十三日(水)もう一つ妻が疑いを持ったことに思い当たることがあった。それは中国に出張する少し前、彼女が私に難題を投げかけてきた。
彼女は私に「これまでの私の人生は何だったのでしょう・・・。私は貴方の何だったのですか・・・。貴方はこれからの私をどうしようと考えているのですか・・・。奥さんと私のどちらを取るのですか・・・。それをはっきりさせて欲しいの・・・。ここらで、けじめを付けるのも一つの考えです・・・。貴方が奥さんと別れて私を取るのか、それとも、それ相当の償いをして決別するのか・・・、貴方の考えを聞かせて欲しい・・・」と迫ってきた。
このことは彼女も誰かに相談した結果の要求だと思った。また彼女も私と別れる時期を模索していたのだろう・・・とも思った。
それを告げられた私は、手痛い衝撃を受けた。私は思い余ってその夜、妻に向かって「クラブの女性につきまとわれている。けじめを付けなければならないが、それには金がかかる・・・」と暗に金が必要なことを仄めかした。
このことが妻に決定的な疑いを持たせるようになったのは当然のことであると思った。十月二十四日(木)今日も彼女が真面目に机に向かって仕事をしている姿が瞼に焼き付く。
どうすればいいのだ。“身から出た錆“とは、このことなのだ。
誰にも相談できない事で一人思い悩んだ。この処理を誤れば、家庭を失い、職場を失い、これまで築き上げた地位も名誉も失い、世間の荒波にさらされて、世間のどん底に落ち込んでいく。
危険な岐路に、今、立たされていると思った。何とか円満に解決せねばならない。
それには、すべて彼女の言い分を呑み込むしかない・・・と思った。そうする傍ら、妻とは円満に家庭生活を守っていくことだった。
それには、妻への愛情を示すことだと思った。十月二十五日(金)私は、彼女と妻の両方に、手痛い難題と代償を背負わされた。
快楽の裏には厳しい恐怖と苦難と大きな落とし穴が待っていたのだ。私は、悩み悩んだあげく、高い償いだが、彼女の要求のすべてを呑み込むしかないと思った。
妻に対しては、心からの愛情を示すことだという結論だった。それは、浮気した男のずるい卑怯な考えだとはわかっていた。
こんな嫌な思いから一日も早く脱却し、新しく出発をしたいという気持ちで一杯だった。妻も同じだったと思う。
その夜、床に横たわった妻が、「明日の土曜日、午後から紅葉を見に行かない・・・。一泊して温泉に浸かり気分を新しくしたいの・・・」と言い出した。
私としても、一日も早い解決を願って忘却を誓いたい願いから、それに快く応じた。十月二十六日(土)深夜一時三十分・・・。
深夜に私はふと目が覚めた。まだ一時半だった。
私は、横で軽い寝息をかいて眠る妻を見つめ、妻に背信行為したことを反省し、過ぎし思いを断ち切り、妻のみを愛していることを態度で示そうと思った。妻を抱きよせた。
妻は、寝込みにも関わらず、私の誘いを拒まず、抵抗することもなく、からだの全てを素直に委ね、拡げてくれた。私は妻の温もりのある壷の中に入り、女の温もりに包まれた。
<続く>
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それから苦悩の日が続いた。それは日記に綴られていた。
十月二十日(日)中国で一週間の用務を終えて、北京空港十四時十六分に離陸した全日空機は大阪空港に十八時八分に着陸。新幹線に乗り継いで二十一時五十一分にH駅に着いた。
H駅には妻が車で迎えに来てくれていた。その妻が帰る車の中で、「・・・話そうか・・・どうしようか・・・」と、口篭って言った。
「なんだい・・・。話してごらん・・・」と云うと、妻は話しにくい様子だったが、おもむろに「あなたが出掛けて三日目の夜、おかしな電話があったのよ・・・」と云った。
「どんな電話だったの・・・」と聞くと、妻は「あなたが、浮気をしている・・・、という電話だった」と云う。
「うそ・・・、そんなことはない・・・。誰かの中傷だろう・・・」
「貴方に限って、そんなことはないと思うけど、でも、気になるの・・・」
「どんな内容の電話だったの・・・」
「貴方が仕事が終わってからバスターミナルで待ち合わせしているとか、本屋で立ち読みして待ち合わせしているとか、たびたび喫茶店や居酒屋で飲んでいるとか、駅裏路地のホテルに入って行くのを見たとか、相手とはかなり親しい間柄に見えたとか、どうも職場の女性のようだったとか・・・、などと云われた。それ、本当・・・?」
電話の内容には、確かに心当たりのことが多かった。
ついに浮気がばれたと思った。妻からの話を聞いて、「それは職場が一緒だから、一緒にお茶を飲んだり、居酒屋で飲むことはあった。しかし、人が噂するような、関係を結んだことはないよ・・・。君を裏切るようなことは、決してしていない・・・。それは信じて欲しい・・・。私を陥れる誰かの中傷なんだ・・・!・・・」と強く否定すると、妻は「あなたに限ってそんなことないでしょう・・・。信じていいのね・・・!」と云い、運転する私の横顔を見つめていた。
「そうだよ、君を裏切るようなことはしていないよ・・・」と云って運転を続けたが、心中穏やかではなかった。とうとう来るべきものが来たか・・・と、頭から血が下がる思いがしたが、努めて平静を保ち運転を続けた。
十月二十一日(月)深夜0:30帰宅し手荷物を整理していると日付が替わった。床に着いたのは十二時を回っていた。
一週間ぶりに抱く妻の柔肌だった。妻の乳房に触れながら愛撫していると妻は「・・・信じていいのね・・・」と云って私に抱きついてきた。
妻は、不審電話にことを話し、その電話の内容が否定されると、不安と胸のつかえが取れ、安心したのか、私に快く体を預けてきた。次第に体をくねらせ、素直に快感を表し、男塊を強く絞り込んできた。
私は、溜まっていた白濁を妻の体内に注ぎ込んで果てた。妻も果て、私の胸に抱かれてそのまま眠りに吸い込まれていった。
十月二十一日(月)22:00一週間ぶりに職場に行った。顔を上げれば彼女が机に向かって真面目に仕事をしている姿が目に映る。
彼女は同じ職場にいる職員で、初めて彼女を女にしたときは彼女が二十八歳の時だった。あれから十年、すでに三十八歳となっていたが、まだ結婚していなかった。
妻にばれた今、どうすればいいのだろうか、思い悩んだ。家庭を捨てる勇気もない。
今の地位名誉も守りたい。彼女との愛を思うと、今ここで彼女を裏切って捨てることも偲び得ない。
かといって、彼女と同じ職場なので、職場に公になれば犯した過ちから、坂道を滑り転がり落ちることは必至。それは食い止めねばならない。
滑り落ちるのを食い止めるには、彼女と手を切って浮気という高い代償を背負うこととなるが、それの他に方法はない・・・と思った。今日一日中、仕事が手に付かなかった。
十月二十二日(火)自分が犯した責めに苦しんだ。深刻な難題に悩まされて仕事も手につかなかった。
何で、同じ職場の女の子に手を出したのだろうか。何故、こんな事をしたのだろうか。
彼女が未だ結婚していないのは自分のせいなのだ。と自分を責めるばかりだった。
また一方、妻が私の浮気に疑念を持つようになったのには、思い当たることがあった。それは夏の暑い日、病院に友達の見舞いに行った妻がその帰りに、妻の職場の上司と出会って一緒にお茶を飲んだという。
その時、その上司が妻に「あなたの主人が浮気しているという噂が流れているよ・・・注意しなさいよ・・・」と、忠告されたと云ったことがあった。「主人に限って・・・」と云う、夫の対する信頼感がこの忠告を無視していたようだった。
十月二十三日(水)もう一つ妻が疑いを持ったことに思い当たることがあった。それは中国に出張する少し前、彼女が私に難題を投げかけてきた。
彼女は私に「これまでの私の人生は何だったのでしょう・・・。私は貴方の何だったのですか・・・。貴方はこれからの私をどうしようと考えているのですか・・・。奥さんと私のどちらを取るのですか・・・。それをはっきりさせて欲しいの・・・。ここらで、けじめを付けるのも一つの考えです・・・。貴方が奥さんと別れて私を取るのか、それとも、それ相当の償いをして決別するのか・・・、貴方の考えを聞かせて欲しい・・・」と迫ってきた。
このことは彼女も誰かに相談した結果の要求だと思った。また彼女も私と別れる時期を模索していたのだろう・・・とも思った。
それを告げられた私は、手痛い衝撃を受けた。私は思い余ってその夜、妻に向かって「クラブの女性につきまとわれている。けじめを付けなければならないが、それには金がかかる・・・」と暗に金が必要なことを仄めかした。
このことが妻に決定的な疑いを持たせるようになったのは当然のことであると思った。十月二十四日(木)今日も彼女が真面目に机に向かって仕事をしている姿が瞼に焼き付く。
どうすればいいのだ。“身から出た錆“とは、このことなのだ。
誰にも相談できない事で一人思い悩んだ。この処理を誤れば、家庭を失い、職場を失い、これまで築き上げた地位も名誉も失い、世間の荒波にさらされて、世間のどん底に落ち込んでいく。
危険な岐路に、今、立たされていると思った。何とか円満に解決せねばならない。
それには、すべて彼女の言い分を呑み込むしかない・・・と思った。そうする傍ら、妻とは円満に家庭生活を守っていくことだった。
それには、妻への愛情を示すことだと思った。十月二十五日(金)私は、彼女と妻の両方に、手痛い難題と代償を背負わされた。
快楽の裏には厳しい恐怖と苦難と大きな落とし穴が待っていたのだ。私は、悩み悩んだあげく、高い償いだが、彼女の要求のすべてを呑み込むしかないと思った。
妻に対しては、心からの愛情を示すことだという結論だった。それは、浮気した男のずるい卑怯な考えだとはわかっていた。
こんな嫌な思いから一日も早く脱却し、新しく出発をしたいという気持ちで一杯だった。妻も同じだったと思う。
その夜、床に横たわった妻が、「明日の土曜日、午後から紅葉を見に行かない・・・。一泊して温泉に浸かり気分を新しくしたいの・・・」と言い出した。
私としても、一日も早い解決を願って忘却を誓いたい願いから、それに快く応じた。十月二十六日(土)深夜一時三十分・・・。
深夜に私はふと目が覚めた。まだ一時半だった。
私は、横で軽い寝息をかいて眠る妻を見つめ、妻に背信行為したことを反省し、過ぎし思いを断ち切り、妻のみを愛していることを態度で示そうと思った。妻を抱きよせた。
妻は、寝込みにも関わらず、私の誘いを拒まず、抵抗することもなく、からだの全てを素直に委ね、拡げてくれた。私は妻の温もりのある壷の中に入り、女の温もりに包まれた。
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