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妻が社員研修の帰りに… 1

「ねえ…これ行ったほうがいいのかな…」

バックに入っていたチラシを手にした未央は
TVの野球中継を見ながらビールを飲んでいる夫の正志の前に座って言った。

「…あそこの工場って付き合いがあるんだろ…」

正志はチラリと目を通すと未央の前に差し返した。

「それに…未央は工場の人たちとうまくやっていかないと困るだろう…」
「うーん…」未央は浮かない顔つきでチラシを開いた。
「平成○年度エムエス工業社員研修」

そうタイトルが打たれた案内には内容や日時が明記されていた。

「でも…ビール工場見学なんて研修になるの?」

気が乗らない未央は何とか行かなくていい方法を考えていた。

「まぁ…内容はともかくとして…行ってきたほうが良いんじゃないの…」
「社員になってから新しいんだから、参加して好印象与えてこいよ…山本さんは気さくでいい人だろう?」
「……。」

(人ごとだと思って…)未央は頬を膨らまして正志の顔を見ていた。

「どうせ、その日、俺はゴルフに行くことになっているから…お前も暇つぶししてこいよ」
「……じゃぁ…行ってくる」
「ああ…頑張れよ…」




不機嫌そうな顔をしている未央をそのままに、正志はTVの野球に夢中だ。

広崎未央は27歳で夫の正志は32歳。未央は今年の1月に夫の務めるエムエス株式会社の系列のエムエス工業に事務職で途中入社した。新人で作業職と事務職の人間関係など分からない未央は、断ることができず、嫌々ながらの参加となった。

やがて研修会の当日、未央は集合場所に指定されていた工場の駐車場に立っていた。

「やぁ広崎君の奥さん…おはようございます…」

主任の山本が未央に挨拶しながら近づいてきた。

「あっ…おはようございます…今日はよろしくお願いいたします」

未央は笑顔をつくって挨拶を返した。
山本は3年前に60歳でエムエス株式会社を退職し、エムエス工業に再就職した。山本は未央の夫の元の上司だった。未央の途中入社には山本の口添えもあったようだ。

「どうも…おはようございます…暑いですねえ…」

木陰のベンチに座っていた立花と渡辺が笑顔のまま手を振ってきた。彼らはアルバイトや新人の工員を指導する立場で30代後半の独身だが、はきはきした言葉づかいで男性女性を問わず評判が良い。工場では事務職員の未央にも挨拶してくれるので好印象なふたりだ。

そこに小型車がゆっくりと近づいてきた。中年の男女4人が乗っている。運転している女性が工員の田中で助手席の水谷とは近所の主婦仲間だ。そのふたりの夫が後部座席に見える。彼らは夫婦で未央の工場で働いているのだ。

「後は…ビールの苦手な田野上君か…おお来た…来た…」やがて「下戸」の田野上が運転するミニバンが4人の前に止まった。未央は山本たちと一緒の車にのることになるようだ。

・・・ええっ…結局研修会ってこの9人だけなの…・・・。

「はいはい…どうぞ…」

運転席の窓から田野上の声が聞こえ山本は助手席のドアを開けて乗り込んだ。

「じゃぁ…我々も…」そう言って立花が後部座席に乗り込んだ。2列シートのミニバンは新車の臭いがする。

「どうぞ…お先に…」

未央は男達に挟まれるのを嫌い渡辺にさりげなく心使いを見せた。

「嫌々…広崎さんが真ん中じゃないと窮屈で…さぁどうぞ、どうぞ…」
「…は…はい」

背の高いバンの後部座席は奥行きと高さはあるのだが、座席に座ると両脇のごつい男達と脚を密着させる状態になっていた。身長150?の未央はシートにもたれず前席のシートの肩に手を置いている。

「すいませんね…広崎さん身体がきついでしょ…」
「い…いいえ大丈夫です…新車なんですね。」

未央は作り笑顔で運転席の田野上に向かって言い返した。

「そう。…先月買ったんです…」

30歳の田野上は総務部で山本の下で働いているので未央とは顔なじみだ。人が良く酒が飲めないので、運転手をかってでた。190センチはある大男だ。

「じゃぁ…行きましょうか…」

山本の声にミニバンと小型車は団地を出発した。

「今日は…ありがとうございます。週末は何かと用事が入っているのでしょう?」

走り出してすぐ立花が未央にお礼を述べてきた。

「いいえ…そんなお礼なんて…」

未央は手を振ってかぶりを振った。
新車の中に未央の体から発する甘い香りが漂っていた。ショートヘアからのぞく耳たぶは白く産毛が初々しい。
(うーん…いい匂いだ…)

渡辺は鼻先に触れる未央の香りを感じながら立花と話す未央の姿を見つめていた。明るいピンク色の半そでのポロシャツにジーンズ姿の未央は、可愛らしい笑顔を見せながら立花の話しに頷いていた。
(…良い女だ…)渡辺は白いうなじと細いきれいな指先を見つめていた。

「広崎さんは…お酒いけるの?」

渡辺は未央の顔を覗きこみながら聞いた。

「いえ…あんまり…」

未央は渡辺にも笑顔を見せながら言った。

「全然飲めないって訳じゃないんでしょ…」
「ええ…まぁ…でもあまり強くないから…」
「そうか…良かった…良かった…飲めないんじゃないんだね…」
「え…ええ」

立花は渡辺と未央が会話を始めたのでじっくりと体を未央に密着させていった。脚と脚が触れ合いジーンズ越しに伝わる未央の太腿の肉感を味わっていた。立花は窓に顔を向けながら未央の柔らかい太腿の感触を楽しんでいた。やがて車は市街地を抜け高速に入っていった。

「広崎君はゴルフを始めたんだ…いいなあゴルフ…」

山本はうらやましそうに話す。

「広崎さんは何が趣味なんだい」

田野上はハンドルを握りながらバックミラー越しに未央に質問した。
未央は次から次に男達に話し掛けられ続け休む暇が無かった。

2時間ほど高速を走りインターを降りた未央達は曇り空の中、地ビール製造工場へと向かっていった。
「ああーやっと着いた」山本が助手席から降りて大きく伸びをした。
(ふぅぅぅ…)未央も男達からの質問責めから解放されるのでほっと息を吐いた。

地ビール工場では醸造の工程を担当者が案内してくれた。今にもひと雨きそうな空で蒸し暑かったが館内は涼しく快適だ。

「さーて…やっとビール…ビール」

最後に見学者用の試飲コーナーを案内された彼らは、グラスに注ぎ放題のビールを注いでグイグイッとあおっていった。ドライバーの田野上と田中は違うラインで作られた清涼飲料を手に、にこにこしながらながめている。

「ぷはー…美味い」

男達は白い泡を鼻の下につけながら感嘆の声を轟かせた。水谷の妻も2杯目を手にした。

「さぁ…広崎さんも…」
「は…はい」

男達の飲みっぷりにあっ気にとられていた未央は目の前のグラスに口をつけた。
(あっ…美味しい…)苦味が少なく爽やかな口当たりに未央は目を丸くした。

「美味しいでしょ…ビンに詰めたのとは違うんだよ…ほら…ドンドンいきましょう…」
「は…はい…とっても美味しいです」

未央は心からの笑顔を初めて男達に見せてビールを口に運んだ。

「そうでしょ…それにこれはいくら飲んでもタダですから…ははははっ」

山本が大きな声で笑った。

「ふふふっ…」

未央も「タダ」を強調する山本の仕草が可笑しくて笑っていた。

「ほら…もっと…もっと…せっかくきたんだし…」

立花や渡辺らも未央の周りを囲んで次々にグラスにビールを注ぎ満たしていった。酔いが少し回ってきた未央は警戒心を解き楽しくビールを味わっていた。

「ははははははっ…」

ビール工場に隣接するレストランでの昼食も美味しく、みんなビール工場でレジ袋にいっぱい土産までもらって大満足だった。帰りの車内では下戸の田野上が話す「下ネタ話」に男達の笑いが沸きあがっていた。

少し顔を紅潮させた未央も笑い声を漏らしていた。未央も疲れから帰りはシートに深く腰をおろした。腕ができるだけ左右の男の邪魔にならないよう手を膝の上のバッグにかさねて置いている。身体がほてるのでポロシャツのボタンはふたつとも外した。

「広崎さんも笑ったね…意味が分かったんだ…ははははっ…」

すっかり上機嫌の山本が赤ら顔を覗かせて笑った。
未央は少し恥ずかしい顔をしながら笑みを浮かべていた。

「広崎さんは綺麗だから…毎晩求められて大変だろ…はははははっ…」
「広崎さんは…上?下?それとも…後ろからが好きなの?」

立花が酒臭い息を漏らしながら聞いてきた。

「嫌です…そんな恥ずかしい。」

未央は顔を赤くさせた。

「広崎さんはMなの…?」

渡辺も調子に乗って質問していた。

「旦那ので…満足してるの?」
「俺のは…気持ちいいよう…」

田野上が巨体をねじって振り向きながら言った。

「試してみるかい広崎さん…ヒィヒィ言っちゃうよ…はははははっ…」
「田野上。ちゃんと前見て運転しろよ…」

男達の下ネタの内容が濃くなってくるのを未央は恥ずかしくなって聞いていた。

「おいおい……セクハラで訴えられるぞ…広崎さんの耳が真っ赤だぜ」

山本が立花と渡辺をたしなめた。

「はいはい…広崎さんごめんなさい…」

立花と渡辺は腕を組んで目を閉じた。

「い…いいえ」

未央はうつむいて返事を返した。
未央は腕組みした両者の肘が自分の乳房に当たるのを感じたが、眠っているようなのでそのまま黙っていた。車のタイヤが路面の段差を拾うたびに揺れ、その動きに合わせて両者の肘が未央の乳房を揺さぶっていた。

立花と渡辺は目を閉じ眠った振りを装いながら、柔らかい未央の乳房の感触を味わっていた。ビール工場を出発し快調に飛ばしていた車はやがて渋滞に捕まりその動きを止めた。

「あららら…」

田野上は小さく声を発すると窓を開けてタバコに火を点けた。

「渋滞…ですか?」

未央は田野上に声を掛けた。

「ああ…事故かな…こりゃ長いかもな…」
「え…ええ次のパーキングまではどれくらいですか…?」
「うーん…30分…いや表示が見える…○○まで90分ということは1時間かな…」
「田中さん達が正解だったな。あんなに早くトイレ休憩するなんてと思っていたが…」

田中の車ははるか後方にいるはずだ。

「そ…そうですか」
「大丈夫?」
「ええ…大丈夫です」

未央は笑みを作って返事をした。

(1時間か…我慢できるかな…)さきほどから未央は強い尿意を覚えていた。レストランを出発するときにトイレを済ませていたのだがここに来て再びもよおしていた。さっきパーキングの表示板があったので安心していたので余計に辛くなっていた。考えないようにしてもこみ上げてくる尿意に未央は耐え続けていた。
(………。)

「何だ…渋滞かい」

立花と渡辺も目を開けて起きてきた。
山本だけは助手席で鼾をかいていた。未央はうつむきながら内腿を擦り合わせて必死に尿意をこらえていた。

「ちょっと小便してくるわ…」
「俺も…」
「俺も…」

田野上と未央を残して山本達は路肩に向かうと恥ずかしくもなく放尿を始めた。男達は大勢の車が並ぶなか堂々と用を足すと、少し前方に移動した車に戻ってきた。

「そういや…広崎さんトイレ平気か?」
「え…ええ…ちょっと行きたいです」
「でも…俺達みたいにその辺でって訳には行かないよな」
「皆の前で尻丸出しにして小便はできないだろ…」
「俺が壁になってやろうか」
「いえ…もう…何を言うんですか!」
「ハハハ…もうちょっと我慢できるかい」
「……はい」
「わかった。次の出口で降りてガソリンスタンドに寄ってあげるから…」
「頑張ってこらえてみて…」
「は…はい」

しかし未央は限界が近かった。
何度も車を停めてもらおうかと考えたが、大勢の行楽客の前で恥ずかしい姿を晒してしまう事に躊躇して尿道口まで来ている小便を我慢していた。車はノロノロと進み暫く止まるといった動作を繰り返し、我慢できなくなった子供を連れた母親が小便をさせている。

(あああ…が…我慢できない)未央はぴったりと内腿を合わせ、膝の上のバッグを握りしめていた。

「おお…出口が見えたぞ…ナビに出ているか…ガソリンスタンドはどの辺だった?」

渡辺は未央のバッグに手をのせ体重をかけて身を乗り出した。

「あっ、いやっ…だめ…」

未央は膝にかかる重さに思わず叫んだ。
(あああああああああああ…)
未央は腰を浮かせて溜まりに溜まった小水が放出されていく感触に体を震わせていた。熱い液体が下着を濡らし内腿に染み出す。

「あ…ああ…ごめんなさい…ごめんなさい…」

未央は止まらないでいる小水を放ちながら顔を手で覆い叫んでいた。立花と渡辺は両側のドアに貼りついた態勢のまま未央の姿を驚いた顔で見ている。

「ごめんなさい…ごめんなさい…私…私…」

中腰になって謝り続ける未央の周りから尿臭が立ち上ってきていた。

<続く>

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