泥酔した会社のアイドルと野球拳して… 1
以前同じ会社に勤めていた裕美ちゃんは、ベビーフェイスで背も小さめだけれど、意外とスタイルはよくて、なんというか男心を惹かずにはいられないという感じの魅力的なOLさんでした。、
性格も明るくて会社のアイドル的な存在だったように思います。
まだ学生気分がぬけないのか、会社に来るのにミニスカートだったり、ちょっと派手めの胸元が大きく開いている服を着てきたりと、少し小悪魔的な雰囲気もある女の子で、男性社員にも人気でした。
そんな裕美ちゃんなので若い男性社員から誘われたりすることも少なくなかったようですが、案外、人間関係とかには如才がないようで、男性関係の浮いた噂とかはまったくありませんでした。
飲み会などでも、大人数の場だけを選んで参加しているようで、短大を卒業したばかりの新人で、子供っぽく騙されやすそうな外見なのですが、本当のところは思ったよりしっかりしていたのかもしれません。
会社では、私の部署に所属していて、課のメンバーは裕美ちゃんと私、それに部長と年配のパートさんが一人の四人でした。
他の男性社員から見れば、裕美ちゃんを独占できる職場環境で、羨ましすぎるという感じなのでしょうが、実際には、私も中途で入社したばかりのこともあり、毎日が残業、残業という状態で、そんな余裕はまったくありませんでした。
部長とパートさんは二人ともお酒を飲まない人で、そんなこともあり職場で飲む機会など一度もなく、私の歓迎会も、ちょっと豪華な昼食を一緒にごちそうになった程度でした。
営業などの部署の人たちは酒豪も多く、よく裕美ちゃんを誘いにきていましたので、飲み会などで彼女と親しくふれあう機会は彼らのほうが、私よりもずっと多かったように思います。
そんな感じで、私が転職してから3ヶ月ほどが過ぎました。
仕事のほうでは10歳ほど年上の私を頼りにしているようで、彼女独特の男あしらいなのかもしれませんが
「お兄さんみたい」などと、なついてくるようにもなっていました。
可愛いい裕美ちゃんに頼られれば、満更でもない気分にはなりますが、「男性としては意識していない」という感じは明らかで、まあ楽しくもあり、少し残念でもありという日々でもありました。
そんなある日、夜の10時くらいまで残業して一人、帰宅するべく駅へと急いでいると、なにやら10数人の集団が前方にたむろしているのが見えます。
どうやら飲み屋から出てきて、二次会の相談をしている集団のようでした。
近くまで歩いていくと、見慣れた顔が並んでいて、それは、うちの会社の連中だというのがわかりました。
そして当然のように、その中には裕美ちゃんもいました。
私は彼女と飲んだことがないので、飲んだ時の裕美ちゃんが普段はどんな感じなのかは知りませんが、少なくともその日はかなり酔っぱらっているように私にはみえました。
年配のK課長にしなだれかかるようにして 、ネクタイの胸のあたりに「ちょこん」と頭を軽くふれるような感じで、「酔っぱらっちゃった~」などと言っています。
やっぱりちょっとスキがあるかなあ、この娘は・・・、まあ大人数だし変なことにはならないだろうけど・・・
私は苦笑いしながら、そのまま通りすぎようかとも思いましたが、やはり、ちょっと心配にもなって声をかけました。
(K課長に向かって)「あ、どうも。 こんばんは」
「あれ?裕美ちゃん、大丈夫かい?」
酔っているせいか、私に気づいていない感じの裕美ちゃんでしたが、声をかけられてすぐに気づいたのか
「あっ、先輩(私)だ」、
「先輩~~、裕美ちょっとだけ酔っちゃったので、車で送ってくださ~い」
と言うなり、私の二の腕のあたりつかんで、すぐ先の大通りまで引っ張っていきます。
あっというまに、自分でタクシーをつかまえて、私を押すようにして乗せてしまいました。
あっけにとられている私をよそに、裕美ちゃんは
「新宿までお願いします」 と案外しっかりとした口調で運転手に告げていました。
彼女がかなり酔っ払っているのではないかと心配していた私にしてみれば、ちょっと拍子抜けした感じでもあり。
裕美ちゃんに軽く抗議するように言いました。
「なんだ、そんなに酔ってないじゃない。それなら一人でも帰れたんじゃないの?」
裕美ちゃんはクスッと小さく微笑むような感じで答えました。
「なんだか二次会断りづらい感じだったし、女の子が少なくて、せまられたりとかしたら面倒じゃないですか・・」
「それに一回、先輩と飲んでみたかったんだ、本当に一回も誘ってもくれないんだから、ちょっと寂しいですよ」
どうやら、心配はまったく無用だったようです。
どうせ、一緒に呑んでみたかったというのは社交辞令で、都合よくタクシー代おごらせる気なんだろうなあと思いましたが、まあ可愛いい妹分みたいなものです、仕方なく、どこでタクシーを降ろしたものかと聞きました。
「家は新宿から電車だっけ?」
すると、裕美ちゃんは
「まだ飲みたりないんです。雰囲気のいいショットバーがあるんで、つきあってくださいよう~」
と予想外のことを言います。
本当に私と飲むつもりのようです、それにどうやら、行きつけの店もけっこうな数ありそうな感じです。
私も苦笑しながら同意しつつからかっていました。
「え~、まだ飲むの? 大丈夫? それに僕もせまったりするかもしれないよ?」
そんな、からかうような脅し文句に少しでもひるむような裕美ちゃんではありませんでした。
「3ヶ月も一緒に仕事して、一度もお酒にも誘ってくれないなんて狼さんはいませんよ~」
「今までのぶんまで、たかっちゃいますよ~、先輩の奢りでGO、GO」
笑顔でそう言われては、さすがにこれ以上、心配するのは野暮というものでしょう。
結局はショットバーへ行って、けっこう強めのカクテルなどを飲みながら話していました。。
それでも、その程度では裕美ちゃんのパワーは全く収まらず、さらにもう一軒、居酒屋で飲むことになりました。
裕美ちゃんは酒処の県の出身で、外見とは違って、かなりお酒は強いようでしたが、さすがに最初の飲み会から三軒目ともなると、だいぶ酔いもまわってきたような感じに見えました。
彼女のお酒は酔うとハイになるというか、ますます陽気で元気になるのがくせのようでした。
三軒目の居酒屋では、とりとめもない話ばかりしていたのですが、酔いもあったのでしょう、なにかのひょうしに話題がへんな方向へと行ってしまいました。
彼女の飲み会での武勇伝?などを聞きながら、職場の同僚である年長者として一応はたしなめるように言いました。
「飲み会もいいけど、女の子なんだから、あんまりハメをはずしすぎないように、気をつけなきゃだめだよ 」
裕美ちゃんは、そんな小言は少しも意に介していないようで、陽気な感じでこたえます。
「は~い、お兄たま~。」
「でもストレスたまりますよう。先輩もたまには、少しくらいはハメはずしたほうがいいんじゃないですか~」
たわいもない言い合いですが、これがそれから会話が脱線していくはじまりでした。
「こう見えても君よりは人生経験長いからね、男だし、これでも学生時代とかはけっこうハメもはずしたもんだよ」
「ちょっと言えないようなことだって結構あったかなあ、もう30過ぎだからね、さすがに最近はないけどね」
裕美ちゃんは、それを聞いてますます陽気に?からんできます。
「え~見えないです~、先輩、いつも仕事しか興味ないみたいだから」
「例えば、どんなふうにハメはずしちゃったんですかあ。 聞きたい聞きたい。」
私は、あまり体格がいいほうではないので、パッと見はそうは見えないのですが、学生時代は体育会系で、先輩の命令でけっこう過酷な宴会なども数をこなしてきたものです、その手の話には事欠きません。
「けっこう色々だよ、宴会で、男同士で野球拳やって、負けてパンツ一丁になって表通り走ったりとか」
苦笑まじりに、軽い下ネタというか、そういう感じで何気なく口にしたのですが、まさかこのセリフに裕美ちゃんが食いつこうとは思いもしませんでした。
「え~野球拳ですか~」
「やってみた~い!! 「ちゃらららら~」っていうやつでしょ、裕美も一回やってみたいなあ」
「面白そう」
思わぬ反応に、ちょっと驚きながらも、まあ無邪気というか、ある意味この娘らしいなと思わず笑ってしまいました。
「ふつう女の子が野球拳やりたいって言うかな~、わかってる? 負けたら服脱ぐんだよ」
しかし裕美ちゃんも、それは知っていたようです。
「え~だって面白そうじゃないですか、心開いてる相手なら、ちょっとくらいまでならOKだしドキドキですよ~、面白そう、やってみた~い」
やれやれ、小悪魔的というか、どこまで本気なのか、大人をからかっているのか。
それでもまあ、話の流れで、けっこう酔ってるみたいだから、セクハラだとか言われはしないだろうと、からかうつもりでふざけて言ってみました。
「それじゃあ、これから二人でやってみる?」
裕美ちゃんは間髪をいれず答えました。
「え~、やりたい!やりたい!、野球拳やろう~!!」
嘘だろ~~!! 野球拳だぞ~!! こんな可愛いい女の子が「やろう!」っていうかあ!!
まったく予想外の反応です。
その瞬間まで本当になんの下心も全くなかったのですが、この瞬間に自制心というかプチッと私の心のなかで何かが切れました。
それは、こんな可愛いい顔をして、いつも若い男性社員を手玉にとっている(だろう)裕美ちゃんを場合によっては本当になんとかしてやろうという・・・まあごく普通の魂胆です。
それから先の私のセリフは先ほどまでとは違って、今度は下心があるだけにドキドキものでした。
「う~ん、でも、さすがにここじゃ上着の一枚も脱げないなあ、どこか行こうか、二人きりになれるところじゃないと、できそうもないよ・・」
裕美ちゃんは、子供のように可愛いらしい顔つきはしているけれど、それはそれ、さすがに今時の女の子ですから
「二人きりになれるところ」の意味は十分よくわかっているようです。
それでも全くひるみません。 私は人畜無害と思われていたんだろうなあ。
「いいですよ~、でもよくある言葉だけのじゃなくて、本当の本当に絶対なんにもしないっていう約束ならですけどね、」
本当の本当に、というところにかなり力をこめてそう言うと、続けます。
「へんな期待しても無駄ですよ~、本当に野球拳がしてみたいだけですからね、そこんとこよろしく」
口調はしっかりしていますが、人畜無害と思っているとはいえ、男と二人でラブホに行こうということ自体、普通ではありえません。
裕美ちゃん本人は気づいていませんが、やはりかなり酔っているのでしょう。
今考えれば、アルコールで思考がルーズになっていたとしか思いようがないのです。
でも私にとってはラッキーなことでした。
うまくすれば会社のマドンナ裕美ちゃんの下着姿くらいは拝めるかもしれないのですから。
「野球拳だけで十分すごいけどなあ、わかった、それ以外は絶対になんにもしないって約束するよ」
「でも、野球拳は容赦しないからね」
そんなやりとりの末、居酒屋を後にすると、コンビニでさらに酒(ウイスキーとウォッカ!!)を買い込み、怪しげな歌舞伎町を抜けて、さらに怪しげな新大久保方面のラブホ街に向かい、その一軒にはいりました。
裕美ちゃんといえば、ラブホにはいるというのに、まったく躊躇するところもなくて、
「絶対、恋人同士だと思われてるよね」とか
「不倫カツプルとか思われてたりして」などと、はしゃぎながらエレベーターに乗ります。
3階で下りて、ちょっと重そうなドアを閉めるなり、私は振り向いて裕美ちゃんを抱きしめました。
彼女の首のあたり手を回してキスをしようとすると、予想に反してすごい力で突き放されました。
「ちょっと~、だめですよ~、そんなことするなら本当に帰りますよ!」
「本当に絶対なんにもなしだって、あんなに言ったのにまったく」
さっきまでのほのぼのとした口調から一転して、本当に怒気をふくんだ喋り方になっています。
トホホ本当かよ~
それでもここまできたら、へこたれていても仕方ありません、私も何事もなかったように聞きます。
「シャワー先にする?」
きっ!という感じで裕美ちゃんに睨まれてしまいました。
「なに考えてるんですか~、本当に野球拳だけですよ。 一回でいいからやってみたかったんだ」
内心がっかりしつつも、帰ってしまわれるなどの徹底的な拒否にあわなかったことに、ほっとしてもいました。
まあそれに、もしかしたらではありますが、野球拳の先にあるかもしれないことを想像すれば、それはそれで心が高鳴るというものです。
「ごめん、ごめん、悪気はないんだ。 あんまり裕美ちゃんが可愛いいから、ちょっとだけ試してみようか?とか思っちゃってね」
「やっぱり一応こういうところだから、もしかしたらそういう気持ちもありかなとか・・」
「本当に野球拳したいだけって、よ~くわかったから、もう絶対しないよ、安心して」
帰ってしまわれないように私は必死でとりつくろっていました。
裕美ちゃんのほうはそれほど本気に怒っているようではありませんでした。
私は、相手の気がかわらないうちにと思い、なにごともなかったかのように話をつづけます。
「それじゃあ、負けたら、このコップにウォッカをここまでついで、一気飲みしてから、一枚脱ぐっていうルールでどう?」
野球拳だけではなくて、一気飲みのオプションルールをつける提案です。
「私はいいですけど、先輩大丈夫ですかあ、これ (ウォッカ) 強いですよ~」
お酒には自信があるらしい裕美ちゃんは、ちょっといたずらっぽく笑いながらOKしました。
でも実は、私は超がつくくらい酒は強いのです。 体育会じこみです。
裕美ちゃんもかなり強いのでしょう。自信満々ですが、私より早くからかなり飲んできたはずですし、ショットバーでも居酒屋でもかなり飲んでいたので、ちょっとロレツも怪しくなりかけているような感じです。
ウォッカの一気飲みをさせれば、酔って判断ができなくなるかもしれないし、そうすれば下着姿はおろか、場合によっては、生おっぱいくらいまで拝める可能性もないとはいえません。
裕美ちゃんは本当に自分の酒の強さにはかなりの自信があるのでしょう、あからさまな私の下心など知ってか知らずか、一気飲みオプションをかえって面白がっているようです。
私はネクタイを少し緩めると、喉がかわいたので冷蔵庫からビールを出して2つのグラスに注ぎました。
「それじゃあ、これから第一回、野球拳大会を始めます、ルールは負けたら一気飲みアンド一枚脱ぎです」
「音楽と振り付けは知っているね?」
裕美ちゃんもノリノリで答えます。
「知ってますよ~、ちゃららら~、アウト!セーフ!でしょ」
と昔なつかしい、あの野球拳の振りつけをしながら答えます。
しかし、若い女の子がラブホテルに男と二人で、これから野球拳だっていって楽しみにしてるかなあ。
やっぱり裕美ちゃんは、ちょっと変わっています。
私 「それでは、選手二人の健闘を祈って、乾杯!!!」
二人でグッとグラスのビールを飲み干しました。
さあ、いよいよ、生唾ものの、会社のアイドル裕美ちゃんとの野球拳のはじまりです。
大人2人が歌いながら例のポーズで踊ります、はたから見ていたら、ちょっと笑える眺めかもしれません。
「やあきゅうう~、す~るならあ~、こういう具合にしやしゃんせ」
「アウト」 「セーフ」 「よよいのよい!!」
注目のじゃんけんの結果は
私は パー !
彼女は!! チョキ!!!
負けた~!!!
しかたがありません。
ウォッカを一気飲みして(うへ~、マジ効く、この酒強すぎじゃないか?)、つまらなそうに両方の靴下を脱ぎます。
ちくしょう~、このまま終わらせてたまるものか。
次は必ず勝ってやる。!!
さすがに一回でやめるとは彼女も言いません。
<続く>
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そんな裕美ちゃんなので若い男性社員から誘われたりすることも少なくなかったようですが、案外、人間関係とかには如才がないようで、男性関係の浮いた噂とかはまったくありませんでした。
飲み会などでも、大人数の場だけを選んで参加しているようで、短大を卒業したばかりの新人で、子供っぽく騙されやすそうな外見なのですが、本当のところは思ったよりしっかりしていたのかもしれません。
会社では、私の部署に所属していて、課のメンバーは裕美ちゃんと私、それに部長と年配のパートさんが一人の四人でした。
他の男性社員から見れば、裕美ちゃんを独占できる職場環境で、羨ましすぎるという感じなのでしょうが、実際には、私も中途で入社したばかりのこともあり、毎日が残業、残業という状態で、そんな余裕はまったくありませんでした。
部長とパートさんは二人ともお酒を飲まない人で、そんなこともあり職場で飲む機会など一度もなく、私の歓迎会も、ちょっと豪華な昼食を一緒にごちそうになった程度でした。
営業などの部署の人たちは酒豪も多く、よく裕美ちゃんを誘いにきていましたので、飲み会などで彼女と親しくふれあう機会は彼らのほうが、私よりもずっと多かったように思います。
そんな感じで、私が転職してから3ヶ月ほどが過ぎました。
仕事のほうでは10歳ほど年上の私を頼りにしているようで、彼女独特の男あしらいなのかもしれませんが
「お兄さんみたい」などと、なついてくるようにもなっていました。
可愛いい裕美ちゃんに頼られれば、満更でもない気分にはなりますが、「男性としては意識していない」という感じは明らかで、まあ楽しくもあり、少し残念でもありという日々でもありました。
そんなある日、夜の10時くらいまで残業して一人、帰宅するべく駅へと急いでいると、なにやら10数人の集団が前方にたむろしているのが見えます。
どうやら飲み屋から出てきて、二次会の相談をしている集団のようでした。
近くまで歩いていくと、見慣れた顔が並んでいて、それは、うちの会社の連中だというのがわかりました。
そして当然のように、その中には裕美ちゃんもいました。
私は彼女と飲んだことがないので、飲んだ時の裕美ちゃんが普段はどんな感じなのかは知りませんが、少なくともその日はかなり酔っぱらっているように私にはみえました。
年配のK課長にしなだれかかるようにして 、ネクタイの胸のあたりに「ちょこん」と頭を軽くふれるような感じで、「酔っぱらっちゃった~」などと言っています。
やっぱりちょっとスキがあるかなあ、この娘は・・・、まあ大人数だし変なことにはならないだろうけど・・・
私は苦笑いしながら、そのまま通りすぎようかとも思いましたが、やはり、ちょっと心配にもなって声をかけました。
(K課長に向かって)「あ、どうも。 こんばんは」
「あれ?裕美ちゃん、大丈夫かい?」
酔っているせいか、私に気づいていない感じの裕美ちゃんでしたが、声をかけられてすぐに気づいたのか
「あっ、先輩(私)だ」、
「先輩~~、裕美ちょっとだけ酔っちゃったので、車で送ってくださ~い」
と言うなり、私の二の腕のあたりつかんで、すぐ先の大通りまで引っ張っていきます。
あっというまに、自分でタクシーをつかまえて、私を押すようにして乗せてしまいました。
あっけにとられている私をよそに、裕美ちゃんは
「新宿までお願いします」 と案外しっかりとした口調で運転手に告げていました。
彼女がかなり酔っ払っているのではないかと心配していた私にしてみれば、ちょっと拍子抜けした感じでもあり。
裕美ちゃんに軽く抗議するように言いました。
「なんだ、そんなに酔ってないじゃない。それなら一人でも帰れたんじゃないの?」
裕美ちゃんはクスッと小さく微笑むような感じで答えました。
「なんだか二次会断りづらい感じだったし、女の子が少なくて、せまられたりとかしたら面倒じゃないですか・・」
「それに一回、先輩と飲んでみたかったんだ、本当に一回も誘ってもくれないんだから、ちょっと寂しいですよ」
どうやら、心配はまったく無用だったようです。
どうせ、一緒に呑んでみたかったというのは社交辞令で、都合よくタクシー代おごらせる気なんだろうなあと思いましたが、まあ可愛いい妹分みたいなものです、仕方なく、どこでタクシーを降ろしたものかと聞きました。
「家は新宿から電車だっけ?」
すると、裕美ちゃんは
「まだ飲みたりないんです。雰囲気のいいショットバーがあるんで、つきあってくださいよう~」
と予想外のことを言います。
本当に私と飲むつもりのようです、それにどうやら、行きつけの店もけっこうな数ありそうな感じです。
私も苦笑しながら同意しつつからかっていました。
「え~、まだ飲むの? 大丈夫? それに僕もせまったりするかもしれないよ?」
そんな、からかうような脅し文句に少しでもひるむような裕美ちゃんではありませんでした。
「3ヶ月も一緒に仕事して、一度もお酒にも誘ってくれないなんて狼さんはいませんよ~」
「今までのぶんまで、たかっちゃいますよ~、先輩の奢りでGO、GO」
笑顔でそう言われては、さすがにこれ以上、心配するのは野暮というものでしょう。
結局はショットバーへ行って、けっこう強めのカクテルなどを飲みながら話していました。。
それでも、その程度では裕美ちゃんのパワーは全く収まらず、さらにもう一軒、居酒屋で飲むことになりました。
裕美ちゃんは酒処の県の出身で、外見とは違って、かなりお酒は強いようでしたが、さすがに最初の飲み会から三軒目ともなると、だいぶ酔いもまわってきたような感じに見えました。
彼女のお酒は酔うとハイになるというか、ますます陽気で元気になるのがくせのようでした。
三軒目の居酒屋では、とりとめもない話ばかりしていたのですが、酔いもあったのでしょう、なにかのひょうしに話題がへんな方向へと行ってしまいました。
彼女の飲み会での武勇伝?などを聞きながら、職場の同僚である年長者として一応はたしなめるように言いました。
「飲み会もいいけど、女の子なんだから、あんまりハメをはずしすぎないように、気をつけなきゃだめだよ 」
裕美ちゃんは、そんな小言は少しも意に介していないようで、陽気な感じでこたえます。
「は~い、お兄たま~。」
「でもストレスたまりますよう。先輩もたまには、少しくらいはハメはずしたほうがいいんじゃないですか~」
たわいもない言い合いですが、これがそれから会話が脱線していくはじまりでした。
「こう見えても君よりは人生経験長いからね、男だし、これでも学生時代とかはけっこうハメもはずしたもんだよ」
「ちょっと言えないようなことだって結構あったかなあ、もう30過ぎだからね、さすがに最近はないけどね」
裕美ちゃんは、それを聞いてますます陽気に?からんできます。
「え~見えないです~、先輩、いつも仕事しか興味ないみたいだから」
「例えば、どんなふうにハメはずしちゃったんですかあ。 聞きたい聞きたい。」
私は、あまり体格がいいほうではないので、パッと見はそうは見えないのですが、学生時代は体育会系で、先輩の命令でけっこう過酷な宴会なども数をこなしてきたものです、その手の話には事欠きません。
「けっこう色々だよ、宴会で、男同士で野球拳やって、負けてパンツ一丁になって表通り走ったりとか」
苦笑まじりに、軽い下ネタというか、そういう感じで何気なく口にしたのですが、まさかこのセリフに裕美ちゃんが食いつこうとは思いもしませんでした。
「え~野球拳ですか~」
「やってみた~い!! 「ちゃらららら~」っていうやつでしょ、裕美も一回やってみたいなあ」
「面白そう」
思わぬ反応に、ちょっと驚きながらも、まあ無邪気というか、ある意味この娘らしいなと思わず笑ってしまいました。
「ふつう女の子が野球拳やりたいって言うかな~、わかってる? 負けたら服脱ぐんだよ」
しかし裕美ちゃんも、それは知っていたようです。
「え~だって面白そうじゃないですか、心開いてる相手なら、ちょっとくらいまでならOKだしドキドキですよ~、面白そう、やってみた~い」
やれやれ、小悪魔的というか、どこまで本気なのか、大人をからかっているのか。
それでもまあ、話の流れで、けっこう酔ってるみたいだから、セクハラだとか言われはしないだろうと、からかうつもりでふざけて言ってみました。
「それじゃあ、これから二人でやってみる?」
裕美ちゃんは間髪をいれず答えました。
「え~、やりたい!やりたい!、野球拳やろう~!!」
嘘だろ~~!! 野球拳だぞ~!! こんな可愛いい女の子が「やろう!」っていうかあ!!
まったく予想外の反応です。
その瞬間まで本当になんの下心も全くなかったのですが、この瞬間に自制心というかプチッと私の心のなかで何かが切れました。
それは、こんな可愛いい顔をして、いつも若い男性社員を手玉にとっている(だろう)裕美ちゃんを場合によっては本当になんとかしてやろうという・・・まあごく普通の魂胆です。
それから先の私のセリフは先ほどまでとは違って、今度は下心があるだけにドキドキものでした。
「う~ん、でも、さすがにここじゃ上着の一枚も脱げないなあ、どこか行こうか、二人きりになれるところじゃないと、できそうもないよ・・」
裕美ちゃんは、子供のように可愛いらしい顔つきはしているけれど、それはそれ、さすがに今時の女の子ですから
「二人きりになれるところ」の意味は十分よくわかっているようです。
それでも全くひるみません。 私は人畜無害と思われていたんだろうなあ。
「いいですよ~、でもよくある言葉だけのじゃなくて、本当の本当に絶対なんにもしないっていう約束ならですけどね、」
本当の本当に、というところにかなり力をこめてそう言うと、続けます。
「へんな期待しても無駄ですよ~、本当に野球拳がしてみたいだけですからね、そこんとこよろしく」
口調はしっかりしていますが、人畜無害と思っているとはいえ、男と二人でラブホに行こうということ自体、普通ではありえません。
裕美ちゃん本人は気づいていませんが、やはりかなり酔っているのでしょう。
今考えれば、アルコールで思考がルーズになっていたとしか思いようがないのです。
でも私にとってはラッキーなことでした。
うまくすれば会社のマドンナ裕美ちゃんの下着姿くらいは拝めるかもしれないのですから。
「野球拳だけで十分すごいけどなあ、わかった、それ以外は絶対になんにもしないって約束するよ」
「でも、野球拳は容赦しないからね」
そんなやりとりの末、居酒屋を後にすると、コンビニでさらに酒(ウイスキーとウォッカ!!)を買い込み、怪しげな歌舞伎町を抜けて、さらに怪しげな新大久保方面のラブホ街に向かい、その一軒にはいりました。
裕美ちゃんといえば、ラブホにはいるというのに、まったく躊躇するところもなくて、
「絶対、恋人同士だと思われてるよね」とか
「不倫カツプルとか思われてたりして」などと、はしゃぎながらエレベーターに乗ります。
3階で下りて、ちょっと重そうなドアを閉めるなり、私は振り向いて裕美ちゃんを抱きしめました。
彼女の首のあたり手を回してキスをしようとすると、予想に反してすごい力で突き放されました。
「ちょっと~、だめですよ~、そんなことするなら本当に帰りますよ!」
「本当に絶対なんにもなしだって、あんなに言ったのにまったく」
さっきまでのほのぼのとした口調から一転して、本当に怒気をふくんだ喋り方になっています。
トホホ本当かよ~
それでもここまできたら、へこたれていても仕方ありません、私も何事もなかったように聞きます。
「シャワー先にする?」
きっ!という感じで裕美ちゃんに睨まれてしまいました。
「なに考えてるんですか~、本当に野球拳だけですよ。 一回でいいからやってみたかったんだ」
内心がっかりしつつも、帰ってしまわれるなどの徹底的な拒否にあわなかったことに、ほっとしてもいました。
まあそれに、もしかしたらではありますが、野球拳の先にあるかもしれないことを想像すれば、それはそれで心が高鳴るというものです。
「ごめん、ごめん、悪気はないんだ。 あんまり裕美ちゃんが可愛いいから、ちょっとだけ試してみようか?とか思っちゃってね」
「やっぱり一応こういうところだから、もしかしたらそういう気持ちもありかなとか・・」
「本当に野球拳したいだけって、よ~くわかったから、もう絶対しないよ、安心して」
帰ってしまわれないように私は必死でとりつくろっていました。
裕美ちゃんのほうはそれほど本気に怒っているようではありませんでした。
私は、相手の気がかわらないうちにと思い、なにごともなかったかのように話をつづけます。
「それじゃあ、負けたら、このコップにウォッカをここまでついで、一気飲みしてから、一枚脱ぐっていうルールでどう?」
野球拳だけではなくて、一気飲みのオプションルールをつける提案です。
「私はいいですけど、先輩大丈夫ですかあ、これ (ウォッカ) 強いですよ~」
お酒には自信があるらしい裕美ちゃんは、ちょっといたずらっぽく笑いながらOKしました。
でも実は、私は超がつくくらい酒は強いのです。 体育会じこみです。
裕美ちゃんもかなり強いのでしょう。自信満々ですが、私より早くからかなり飲んできたはずですし、ショットバーでも居酒屋でもかなり飲んでいたので、ちょっとロレツも怪しくなりかけているような感じです。
ウォッカの一気飲みをさせれば、酔って判断ができなくなるかもしれないし、そうすれば下着姿はおろか、場合によっては、生おっぱいくらいまで拝める可能性もないとはいえません。
裕美ちゃんは本当に自分の酒の強さにはかなりの自信があるのでしょう、あからさまな私の下心など知ってか知らずか、一気飲みオプションをかえって面白がっているようです。
私はネクタイを少し緩めると、喉がかわいたので冷蔵庫からビールを出して2つのグラスに注ぎました。
「それじゃあ、これから第一回、野球拳大会を始めます、ルールは負けたら一気飲みアンド一枚脱ぎです」
「音楽と振り付けは知っているね?」
裕美ちゃんもノリノリで答えます。
「知ってますよ~、ちゃららら~、アウト!セーフ!でしょ」
と昔なつかしい、あの野球拳の振りつけをしながら答えます。
しかし、若い女の子がラブホテルに男と二人で、これから野球拳だっていって楽しみにしてるかなあ。
やっぱり裕美ちゃんは、ちょっと変わっています。
私 「それでは、選手二人の健闘を祈って、乾杯!!!」
二人でグッとグラスのビールを飲み干しました。
さあ、いよいよ、生唾ものの、会社のアイドル裕美ちゃんとの野球拳のはじまりです。
大人2人が歌いながら例のポーズで踊ります、はたから見ていたら、ちょっと笑える眺めかもしれません。
「やあきゅうう~、す~るならあ~、こういう具合にしやしゃんせ」
「アウト」 「セーフ」 「よよいのよい!!」
注目のじゃんけんの結果は
私は パー !
彼女は!! チョキ!!!
負けた~!!!
しかたがありません。
ウォッカを一気飲みして(うへ~、マジ効く、この酒強すぎじゃないか?)、つまらなそうに両方の靴下を脱ぎます。
ちくしょう~、このまま終わらせてたまるものか。
次は必ず勝ってやる。!!
さすがに一回でやめるとは彼女も言いません。
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