鬼姫 3
気がつくと彼女は全身を真っ赤に染め、ぽたぽたと大粒の汗を滴らせ、伏せられた左右の瞼からは涙が溢れていましたが、
しかしそれでもなお俺から唇を離そうとせず、腰の動きを止めようとしませんでした。
それは俺のために尽くしているというより、彼女にとって2年ぶりというセックスを心から味わい尽くし楽しんでいるようでした。
鬼姫様はそれからも俺と唇を重ねたまま、何度も何度も果て続けながら、なおも腰の動きを止めず俺の事を求め続け、そして俺もそんな彼女を求め続けるのでした。
それからどれくらい経った頃でしょう。
なおも狂ったようにお互い求め続ける中、俺自身の限界が迫ってきました。
吸いついたまま離れない彼女の唇を半ば強引に引き離すと俺は言いました。
「イク、イクよ……!」
俺が息も絶え絶えに言うと、鬼姫様は溢れる涙をそのままに俺の事を見つめて、
「うん、うん……!!」
と何度もうなずいてくれました。
「私もイクから……一緒にイこ……!!」
そういうと彼女は再び俺に唇を重ね、腰の動きをさらに激しく濃厚なものにしていきました。
大きく上下させながらさらに気まぐれにぐねぐねと回転させてくるのです。
一緒にイこ、というのはいいですが、このままだと彼女の中に射精することになってしまいます。
この時俺はコンドームをしていませんから、それは危険だと思い、再び唇を引き離すと言いました。
「このままじゃやばい……やばいって!!」
けれど鬼姫様は叫ぶようにして言いました。
「いいの、このまま来て!! 中にいっぱい出して!!」
そして再び唇を重ねようとします。
「ダメだって、それはダメだって!!」
中出しのAVや漫画などだったら彼女の返事をいいことに、勢いよくそのまま彼女の中で射精をしていいかもしれませんが、現実問題そうはいきません。それはあまりにも危険すぎました。
いよいよ限界が迫ろうという中、俺は腰を引き離そうとしました。
なんとか中で射精することは避けようと思ったのです。
しかし彼女はそれを許してはくれませんでした。
器用に俺の事を両脚で締め付けると強引に唇を重ねてきて、なおも腰を激しく動かし続けました。
「んんっ!! んんんんっ!! んんんんんっ!!!!」
彼女自身限界が迫っているのでしょう。
涙を溢れさせながらこぼす声を一際大きくしていきました。
俺はそんな彼女に一種の恐怖を覚えました。
異様という方がいいのでしょうか。
何か恐ろしいものを見てしまったようで、背筋に寒いものを感じました。
しかし、それ以上に彼女の腰の動きが、そして舌の動きが俺のことを一層刺激してきて、いよいよ我慢できないほどになってきました。
(もうどうにでもなれ!)
そう思った俺は彼女をぎゅうと思い切り抱きしめ、舌の動きをさらに激しいものにしながら、自分からも彼女を突き上げました。
「んんん!! んんんんんっ!!!」
俺に腰を突き上げられながら、彼女は一瞬驚いたような表情を見せましたが、それは一瞬のことで、それからは快感を貪るようにして自身の動きを一層艶めかしいものにしながら、いよいよ迫る自身の限界に悦びの声を溢れさせ続けました。
「んんっ!! んんんんっ!! んんんんんんんっっ!!!!」
鬼姫様の声と俺の声が一つに交り合いながら、お互い夢中で身体をぶつけ合います。
と、それまで何度も繰り返されたのと同じように、彼女はぎゅうと身体をこわばらせると俺の事を思い切り締め付けてきました。
いよいよ限界が迫ってきたのでしょう。
そしてその締め付けが今度は俺の限界を招きました。
腰のあたりにびりりと電気が走ると、俺は全身を硬直させて、
そのまま勢いよく何度も彼女を突き上げながら思い切り彼女の中で射精していました。
「んんんんっ!!! ううんんんんんっ!!!」
俺が射精した瞬間、鬼姫様はひときわ高い声を漏らすと、
そのまま身体をこわばらせて全身を大きく震わせました。彼女も絶頂を迎えたようでした。
それからしばらくお互い動きを止めていましたが、いつしか再びお互いを慰めるようにしてゆったりと舌を交らせ続けていました。
「んん……ううん……」
うっとりと心地よさ気に声を漏らしながら彼女は舌を絡め、そしてまるで俺のものをすべて絞りだそうとするように湯っくる地腰を上下にうごめかせていました。
俺はこの時ぐったりしていて、けだるげに舌を絡めながら、あとは彼女のされるがままにされていました。
唇を離したのはそれから大分の時間が経ってからの事です。
その瞬間、
「ぷはあ」
とお互い思わず声を漏らしました。
ふと見ると、お互いの唾液が溢れたせいでしょう。
彼女の唇からあごにかけてがドロドロに濡れていました。
そっと指先で触れてみると、自分のあごもドロドロに濡れていました。
それからもお互い抱き合って大きく吐息を乱れさせたまま、じっと見つめ合っていました。
この時まだなお俺のものは彼女の中にありました。
と、先に口を開いたのは彼女の方でした。
「いっぱいイっちゃった……」
そうこぼすと彼女はふふふと嬉しそうに笑いました。
すごく満足だったのでしょう、それは心から嬉しそうな笑顔でした。
けれど俺の方は気持ちよかったのはもちろんですが、
それ以上に不安の方が強くて、内心ドキドキしていました。
なにしろ彼女の中に思い切り射精してしまったからです。
だから俺は少しイラついたような調子で言いました。
「これ……大丈夫か……? やばくない……?」
俺の言葉に彼女は一瞬きょとんと首を傾けていましたが、すぐに意味を理解したのでしょう。そっとうつむいたあと小さく微笑みました。
「大丈夫だよ。私、子供出来ない身体だから」
突然の彼女の言葉の意味が理解できませんでした。
何を言ってるんだ、そう思いました。
そんな俺に彼女は優しく、けれどどこか寂しげに微笑みを浮かべながら言いました。
「私、子供出来ないんだよ。前の旦那と別れたのもそこれが原因だったし……」
それは初めて聞く告白でした。
俺はどう返事をしていいかわからず言葉を失ってしまっていました。
「いろいろ治療も受けてみたんだけど、ダメでね……もう諦めてるんだよ……」
鬼姫様はそういうとそっとうつむきました。
「……」
子供が出来ない。
それが女性にとってどれほど大きな障害であるか……。
俺は彼女に声をかけることが出来ず、一緒にうつむくことしかできませんでした。
と、彼女はそれまでとは一転、ぱっと明るい声で言いました。
「だからさ、私おなかの中にいくら出されても平気なの!
それに病気もないから何の心配もないよ! 平気平気!!」
そういうと彼女はケラケラと声を上げて笑っていました。
そんな鬼姫様の笑顔はどこか痛々しくて……。
俺がどうしていいかわからずにいると、彼女は俺の耳元でそっと囁きました。
「私は大丈夫だから……。君は余計なこと考えなくていいんだよ……」
それはどこまでも優しく、そしてどこまでも切なげな囁き。
と、鬼姫様は再び俺の事を見つめると首を傾げて言いました。
「子供の出来ない女……嫌……?」
鬼姫様ほど怖い女性はいませんでした。
カルテの用意が遅いと怒鳴られ、診察室の用意がなってないと事務部長ともども叱られ、プライベートでも何度喧嘩をしたことかわかりません。
しかしそれ以上に優しい人でした。
酔い潰れた俺に肩を貸してくれるような人。
喧嘩をしたら必ず先に謝ってくる人。
それが彼女でした。
そんな彼女を誰が嫌いと言えるでしょうか。
だから俺は言いました。
「ううん、全然。大好きだよ」
「ありがと……」
俺の言葉に彼女は小さくつぶやくと、再び唇を重ねてきました。
それは優しく甘いキスでした。
それからもしばらくお互い抱き合ったままでいました。
と、鬼姫様が言いました。
「ねえ、そろそろ出ない? のぼせてきたよ……」
彼女の言葉に俺もうなずき返しました。
正直俺もこの時かなりのぼせてきていて、溢れる汗を止めることができませんでした。
ここでようやく俺は彼女の中から自分自身を引き抜き、お互いの身体を離しました。
と、鬼姫様は自分の濡れた花びらにそっと手をあてがったままじっとしていました。
「どうしたの?」
俺が聞くと、
「このまま君のものを出しちゃったらもったいないじゃない」
そう言って鬼姫様は笑うだけでした。
それからしばらくして俺たちは露天風呂を出ました。
そして軽くシャワーを浴びて汗を流すと、室内で全裸のままぐったりと横たわっていました。気まぐれに口づけあいながら……。
<続く>
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それは俺のために尽くしているというより、彼女にとって2年ぶりというセックスを心から味わい尽くし楽しんでいるようでした。
鬼姫様はそれからも俺と唇を重ねたまま、何度も何度も果て続けながら、なおも腰の動きを止めず俺の事を求め続け、そして俺もそんな彼女を求め続けるのでした。
それからどれくらい経った頃でしょう。
なおも狂ったようにお互い求め続ける中、俺自身の限界が迫ってきました。
吸いついたまま離れない彼女の唇を半ば強引に引き離すと俺は言いました。
「イク、イクよ……!」
俺が息も絶え絶えに言うと、鬼姫様は溢れる涙をそのままに俺の事を見つめて、
「うん、うん……!!」
と何度もうなずいてくれました。
「私もイクから……一緒にイこ……!!」
そういうと彼女は再び俺に唇を重ね、腰の動きをさらに激しく濃厚なものにしていきました。
大きく上下させながらさらに気まぐれにぐねぐねと回転させてくるのです。
一緒にイこ、というのはいいですが、このままだと彼女の中に射精することになってしまいます。
この時俺はコンドームをしていませんから、それは危険だと思い、再び唇を引き離すと言いました。
「このままじゃやばい……やばいって!!」
けれど鬼姫様は叫ぶようにして言いました。
「いいの、このまま来て!! 中にいっぱい出して!!」
そして再び唇を重ねようとします。
「ダメだって、それはダメだって!!」
中出しのAVや漫画などだったら彼女の返事をいいことに、勢いよくそのまま彼女の中で射精をしていいかもしれませんが、現実問題そうはいきません。それはあまりにも危険すぎました。
いよいよ限界が迫ろうという中、俺は腰を引き離そうとしました。
なんとか中で射精することは避けようと思ったのです。
しかし彼女はそれを許してはくれませんでした。
器用に俺の事を両脚で締め付けると強引に唇を重ねてきて、なおも腰を激しく動かし続けました。
「んんっ!! んんんんっ!! んんんんんっ!!!!」
彼女自身限界が迫っているのでしょう。
涙を溢れさせながらこぼす声を一際大きくしていきました。
俺はそんな彼女に一種の恐怖を覚えました。
異様という方がいいのでしょうか。
何か恐ろしいものを見てしまったようで、背筋に寒いものを感じました。
しかし、それ以上に彼女の腰の動きが、そして舌の動きが俺のことを一層刺激してきて、いよいよ我慢できないほどになってきました。
(もうどうにでもなれ!)
そう思った俺は彼女をぎゅうと思い切り抱きしめ、舌の動きをさらに激しいものにしながら、自分からも彼女を突き上げました。
「んんん!! んんんんんっ!!!」
俺に腰を突き上げられながら、彼女は一瞬驚いたような表情を見せましたが、それは一瞬のことで、それからは快感を貪るようにして自身の動きを一層艶めかしいものにしながら、いよいよ迫る自身の限界に悦びの声を溢れさせ続けました。
「んんっ!! んんんんっ!! んんんんんんんっっ!!!!」
鬼姫様の声と俺の声が一つに交り合いながら、お互い夢中で身体をぶつけ合います。
と、それまで何度も繰り返されたのと同じように、彼女はぎゅうと身体をこわばらせると俺の事を思い切り締め付けてきました。
いよいよ限界が迫ってきたのでしょう。
そしてその締め付けが今度は俺の限界を招きました。
腰のあたりにびりりと電気が走ると、俺は全身を硬直させて、
そのまま勢いよく何度も彼女を突き上げながら思い切り彼女の中で射精していました。
「んんんんっ!!! ううんんんんんっ!!!」
俺が射精した瞬間、鬼姫様はひときわ高い声を漏らすと、
そのまま身体をこわばらせて全身を大きく震わせました。彼女も絶頂を迎えたようでした。
それからしばらくお互い動きを止めていましたが、いつしか再びお互いを慰めるようにしてゆったりと舌を交らせ続けていました。
「んん……ううん……」
うっとりと心地よさ気に声を漏らしながら彼女は舌を絡め、そしてまるで俺のものをすべて絞りだそうとするように湯っくる地腰を上下にうごめかせていました。
俺はこの時ぐったりしていて、けだるげに舌を絡めながら、あとは彼女のされるがままにされていました。
唇を離したのはそれから大分の時間が経ってからの事です。
その瞬間、
「ぷはあ」
とお互い思わず声を漏らしました。
ふと見ると、お互いの唾液が溢れたせいでしょう。
彼女の唇からあごにかけてがドロドロに濡れていました。
そっと指先で触れてみると、自分のあごもドロドロに濡れていました。
それからもお互い抱き合って大きく吐息を乱れさせたまま、じっと見つめ合っていました。
この時まだなお俺のものは彼女の中にありました。
と、先に口を開いたのは彼女の方でした。
「いっぱいイっちゃった……」
そうこぼすと彼女はふふふと嬉しそうに笑いました。
すごく満足だったのでしょう、それは心から嬉しそうな笑顔でした。
けれど俺の方は気持ちよかったのはもちろんですが、
それ以上に不安の方が強くて、内心ドキドキしていました。
なにしろ彼女の中に思い切り射精してしまったからです。
だから俺は少しイラついたような調子で言いました。
「これ……大丈夫か……? やばくない……?」
俺の言葉に彼女は一瞬きょとんと首を傾けていましたが、すぐに意味を理解したのでしょう。そっとうつむいたあと小さく微笑みました。
「大丈夫だよ。私、子供出来ない身体だから」
突然の彼女の言葉の意味が理解できませんでした。
何を言ってるんだ、そう思いました。
そんな俺に彼女は優しく、けれどどこか寂しげに微笑みを浮かべながら言いました。
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俺はどう返事をしていいかわからず言葉を失ってしまっていました。
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鬼姫様はそういうとそっとうつむきました。
「……」
子供が出来ない。
それが女性にとってどれほど大きな障害であるか……。
俺は彼女に声をかけることが出来ず、一緒にうつむくことしかできませんでした。
と、彼女はそれまでとは一転、ぱっと明るい声で言いました。
「だからさ、私おなかの中にいくら出されても平気なの!
それに病気もないから何の心配もないよ! 平気平気!!」
そういうと彼女はケラケラと声を上げて笑っていました。
そんな鬼姫様の笑顔はどこか痛々しくて……。
俺がどうしていいかわからずにいると、彼女は俺の耳元でそっと囁きました。
「私は大丈夫だから……。君は余計なこと考えなくていいんだよ……」
それはどこまでも優しく、そしてどこまでも切なげな囁き。
と、鬼姫様は再び俺の事を見つめると首を傾げて言いました。
「子供の出来ない女……嫌……?」
鬼姫様ほど怖い女性はいませんでした。
カルテの用意が遅いと怒鳴られ、診察室の用意がなってないと事務部長ともども叱られ、プライベートでも何度喧嘩をしたことかわかりません。
しかしそれ以上に優しい人でした。
酔い潰れた俺に肩を貸してくれるような人。
喧嘩をしたら必ず先に謝ってくる人。
それが彼女でした。
そんな彼女を誰が嫌いと言えるでしょうか。
だから俺は言いました。
「ううん、全然。大好きだよ」
「ありがと……」
俺の言葉に彼女は小さくつぶやくと、再び唇を重ねてきました。
それは優しく甘いキスでした。
それからもしばらくお互い抱き合ったままでいました。
と、鬼姫様が言いました。
「ねえ、そろそろ出ない? のぼせてきたよ……」
彼女の言葉に俺もうなずき返しました。
正直俺もこの時かなりのぼせてきていて、溢れる汗を止めることができませんでした。
ここでようやく俺は彼女の中から自分自身を引き抜き、お互いの身体を離しました。
と、鬼姫様は自分の濡れた花びらにそっと手をあてがったままじっとしていました。
「どうしたの?」
俺が聞くと、
「このまま君のものを出しちゃったらもったいないじゃない」
そう言って鬼姫様は笑うだけでした。
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