俺が教育係になったヒヨリちゃん 2
変な期待は抑えて、ワンルームの部屋に上げて、あ、俺1人暮らしね。
まあ座れば?と座布団出したら、それを横に置いて、土下座!
絵に描いたようなTHE・土下座!何だ?何だ?
「申しワケ、ございませーん!」
「・・!おいおい声デカイよっ。落ち着けって」
「あ、申しワケ、ございませーん!」
何コレすごいな、今度客からクレームあったらコイツつれて謝りに行ってみよ。
「あのー、日余里さん、まずは頭上げて、落ち着いてもらえませんか」
「は、はい・・」
「悪いね、タバコクサイ部屋で。散らかってるし」
あれ、何で俺が謝らなきゃいかんのだ。と思ってたら。
「私おじいちゃん子でした。で、おじいちゃんはよくタバコ吸ってマシタ」
「それが何?」
「だからタバコのニオイは平気です。てゆうか好きデス。てゆうか私もたまに吸います」
何かよくわからなくなってきたが、とにかく話を聞こうじゃないか。
ビールとつまみ出した。二人ともぐびぐび飲んで一息ついた。
歓迎会の時に知ったがコイツは結構酒好き。
いつの間にか静かに酔っ払ってるタイプ。
「電話で彼に言ってたことは何?」
「彼はですネ、ヤキモチ妬きでめんどくさい人デス」
「ふんふんそれで?」
「周りにいる男の人のコトは悪く言っておかないと、めんどクサイことにナルので」
「だから、俺のことをケナしておくことにしたと」
「ホントはサル野さん頼りにしてマス。今日のことで冷たくされたら困りマス・・」
「・・わざわざそれ言うために来たの?」
「不本意ながら聞かれてシマッタけど、アレが建前で、今話してるのが本音デス・・」
「ウソだろ?何でそんなに必死で言い訳すんの?別に俺、人に言うつもりないけど」
「・・!ですよね、ウラオモテがあるって分かったら、ウソにしか聞こえませんヨネ・・」
「・・もういいよ、仕事だけ真面目にやってりゃいいじゃん。ひどい性格でも」
「それデス!」
「・・んー?」
「私、学生の時、バイトなんかでもドンくさくて、社会人になる自信なかったんですケド」
「・・それがどうかしたの?」
「入社してから、サル野さんのおかげでスゴク楽になれて」
「俺何かしたっけ」
「人見知りで、緊張してオドオドしてたらアドバイスくれたので、ウレシカッタのです」
「・・何て?俺覚えてない」
「性格は関係ないからトニカク真面目にやれ、新人はまず挨拶と報告だけちゃんとヤレって。
それさえ出来れば、あとは周りがフォローするから心配スルナって」
「・・ああ、俺が昔生意気だった頃に、所長から言われたことの受け売りだけどな」
「私アレで開き直れたので、サル野さんを悪く思ってるワケないデス。ホントです」
そういうことでしたか。信じるべきか?信じてやりたいけど。
もうどっちがウラかオモテかイマイチわからない。もう一押し欲しいなあ。
冗談まじりに軽く言ってみたよ。
「彼氏と別れて、俺と付き合ってくれるなら信じるよ」
すると・・。
「ホントですか?ホントにホントですか?うれしい!オゥフオゥフ!」
「・・え、ナニナニ?俺のこと男として好きなの?」
「実はですね!最初からカッコイイ先輩だと、思っておりましタ」
やばい、素直にうれしいな。これ嘘だと思いたくないなあ。
100%信じるのはまだだが、不必要に疑うのも一旦保留することにしたよ。
でもさ。
「カッコイイって・・サル顔バカにしてたのは何だ?」
「私サル顔が好きデス。コレ・・・・彼氏の写メです」
「うわ、俺よりまるっきりサルじゃねーか!よくもまあ、俺のことバカにしたもんだな」
「申しワケ、ございませーん!」
「・・だから声デカイって。で、本気?そんな簡単に別れられるもんなの?」
「実はめんどくさいデス。めんどクサイ人です。別れたいけど、どうしていいかワカリマセン。
お互い初めて付き合ったので、どうしていいかワカリマセン」
「うーん、そっか」
「悪い人ではないんですけどネ、性格合わなくて、就職で遠距離になる前から冷めてマシタ。
で、実はあ、離れる時に一度別れ話したんですヨ。でもゴネられてしまいまして。はあ、もう。
冷めてはいたけど、他の人を好きになったワケじゃないノデ、マアいっかと。で、ズルズル・・」
「もう俺のこと関係なく、とっくに終わってんだな、ソレ」
「遠距離になってから、週に3回か4回は電話が来るんデスけども。正直めんどくさいです。
最近はかなりの頻度でテレセになるので憂鬱です。相手したくないデス。
最初は浮気防止になるからいっか、って思いましたケド」
「いや、浮気してくれた方が良かったじゃん。別れるきっかけになるよ」
「ですよネ。全然考えてませんデした。不機嫌になられるとめんどクサクテつい・・」
「優柔不断なんだなあ。で、今日も電話かかって来るんじゃないの」
「はい多分。・・って、オゥフ!8時ごろかけるって言ッテタ!今・・・・もう8時?うわー、ドウシヨ」
ピリリ、ピリリ。見事なタイミングでホントにかかってきた。
「電話出る?」
「とりあえず出まス・・」
何かおもしろい展開になってきたんだぜ!
俺の目の前で彼氏とテレHし始めたら・・・・するワケないか。
「もしモシ。・・あー、うん、えっとっと、うん!今ウチだよ」
ウソつきやがった。いや、一応俺の“ウチ”だから嘘じゃないな。
墓穴掘りそうな気もするけど。
「え、え、もう今・・?だって昨日モ・・。ちょ、チョ、ちょっと待って!あ、あ、アノネ、洗濯物!
洗濯物入れなきゃイケナイから、10分したらまたかけて!ゴメンネ・・!」
さてどうなるのかなー?
「ふー」
「大丈夫なの?」
「今日はダメって言えばヨカッタ・・・・。“臨戦態勢”だったんですよお。もうヤだあ」
「彼やる気まんまんだな(笑)どうする?ここでする?(笑)フリでごまかせばいいだろ」
「フリしかしたことないですヨ?ホントにするわけないじゃナイですか」
「あ、あ、そうなの?」
フリだけか・・・・ちょっと残念なような、ホッとしたような?
「いつも適当に、アンアン言っとけば終わってくれるんですケド。回数が多くて疲れマス・・・・。
・・イヤそういうことじゃなくて!サル野さんの前で出来るワケないデスよ・・!」
「でももう、俺の前でするか、即別れ話するしかないよな」
「別れ話って、まだ心の準備ガ。今日は適当に何とか断ってミマス」
でもここまで来たら、断らないで欲しいよ。
せっかくだからやっぱり見せてもらおう!
「フリでもいいから、日余里のHなとこ見たいなあ・・」
「オゥフ!それはあ・・コマリマス・・」
「日余里が入社した時からずっと、カワイイって思ってたよ。彼氏いるから遠慮してたけど。
でもここまで来たらもう遠慮する理由ないだろ?」
「サル野さぁん、うれしいケド、でも、でもお」
「昼間のことは正直ムカついたけど、日余里の本音、信じるよ。好きだよ」
「私も好き・・です・・。でも、でも、オゥ!・・フんぅ・・ふっ」
キスとはこういう時、言葉をさえぎるためにあるんだぜ。カッコイイなおい!
シャツの上からおっぱいに手のひらをかぶせて、軽く指を這わせる。
ヒヨリの体が一瞬硬直して、すぐに脱力する。
「あッ・・ハ、はうふ」
と、その時。
ピリリ、ピリリ。彼氏からだ。
目を潤ませて俺を見ながら、ケータイを開いたヒヨリに言った。
「彼の声が俺にも聞こえるようにしてみて」
ヒヨリは一瞬とまどったが、受話音量を最大に設定してから電話に出た。
(ハンズフリーはやり方がわからなかったし、俺の気配が向こうに伝わると困る)
「もしモシ・・」
《ハアハア、はあ》
いきなりハアハアかよ、イタ電みたいだな。
ちょっと笑えたが俺は声を出してはいけないのだ!
「あ、あのネ、モンちゃん今日はチョット」
《ヒヨリ、もう、ぬ、脱いでる?ハアハア》
すいぶんせっかちなヤツだな。
これだけでもう、全然思いやりがないのが伝わってくるぜ。
ヒヨリは俺の方をチラチラ気にしてるが、半分キョドって彼氏の勢いに押されてる。
さっきから、話しながら缶ビール2,3本は飲んでたから、酔って少し大胆になってるのかも。
「え、あ、うん、脱いだヨ・・」(ホントは脱いでない)
《入れるよ、はあはあ、足ひらいて》
何だコイツ、何かまちがってないか?
もうちょっと雰囲気作りとか流れとかあるだろうに。
「うん、いいヨ・・」(ホントは足ひらいてない。普通に座ってる)
《ああ、ああ、ヒヨリ、はっはっはっ、はあ、はあ》
男の喘ぎ声なんか聞きたくもないが、ヒヨリがどう反応するか見たいからあえて聞くのだ。
ところがコレがね。
「あん。あー。あん、あん。あはーん」
何だこれ!すげー棒読み!フリだけとは言ってたが、色気もクソもないぞ。
さっき、キスでイイ反応を見せた女かよー、これが。
俺が見てるから抑えてるのかな、でもこんなんで男は納得するわけない。
と思ったら・・ところがどっこい、彼氏の鼻息が荒くなった!
《フーッ、フーッ、あッあッあッ、ヒヨリ、いいよ、気持ちいい》
「ワタシモ、キモチイイヨ。アン。アン」
こりゃひどい、学芸会の方がまだマシだ。
こんなのが延々と何分くらいかな?続いたあと、彼氏は軽く吼えて、イッたようだった。
《はあはあ、気持ちよかった。また電話するよ》
「うん、ワカッタ。またネ」
・・・・ツッコミ所満載だな。
「余韻も何もないな、あれで終わりかよ(笑)」
「いやー恥ずかしかったデスけど、ガンバリました。エヘヘ(笑)」
おお、Hな照れ笑いするとこんな顔になるのか。
まじでカワイイな!でもな。
「全然がんばってねーよ」
「え?」
こりゃアレだ、彼氏がただオナニーしてるだけだ。
それをほんのちょっと、ヒヨリが興奮を味付けしてるってだけのことだなあ。
彼にとっては、ヒヨリがホントに感じてるかとか、キモチ良くしてあげようとかはどうでもいい。
一度は別れを切り出した彼女を、惹きつける努力するつもりないのかな。
これじゃあヒヨリがイヤになるのも無理ないよ。
こんなつまらないテレHをするとは、思わなかったんだぜ。
俺も昔彼女としてたが、言葉と声でもっとイメージをふくらませるものだけどな。
ヒヨリ曰く
「するためだけにかけて来ると、あんな感じデ。本場(?)はあんなもんじゃないんですカ?
でも私も最初の頃はドキドキしましたヨ?えへへ。
え?え?・・あ、ハイ・・私もホントは・・気持ちよくナリタイ・・です・・。
あっでもホントに脱いだり、触ったりしたコトないデス!恥ズカシイですよ!手伝うだけですヨ」
なるほど、ヒヨリにとってはただの「作業」のような感覚。
処女と童貞を捧げ合った相手だが、会ってした10回程度のHも割と一方的だったようだ。
どっちもまだ経験少ないんだな。
それなのに彼氏も・・・・いやそれだからか。とにかくヤリタイだけなんだろうな。
酔っ払ったヒヨリが、ケータイを見せてくれた。
女友達へのメール。彼氏の愚痴多いな(笑)。彼に同情した(笑)。
ムカつく本音だと思ってた昼間の言葉が、実は建前だったってコレでハッキリした。
俺のこと好きって言ってくれたし、もうカワイイ女にしか見えない。
だから正直、さっきのテレHに気持ちが入ってなかったことに、ホッとしてたんだ。
もし本気だったら、擬似とはいえ好きな女が他の男とヤルのを、見ることになるわけだし。
・・とは言えこのシチュエーション、生かさない手はない・・。いじめたい!ウズウズ。
「彼はあんなので満足なの?」
「イエ、1回で終わったコトないでス、あとでまたかかって来マス・・」
「・・・・これは俺が演出するしかないな」
「え?どういうコトデスカ?」
「ヒヨリが気持ちよくなれるように、俺が手伝うよ。彼にバレないように」
「エー!何するんデスカ?恥ずかしいことですカ?」
「いいからいいから」
「・・?えー、あー、うー?わかりマシタ・・・・ガンバッてミマス・・」
<続く>
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「あのー、日余里さん、まずは頭上げて、落ち着いてもらえませんか」
「は、はい・・」
「悪いね、タバコクサイ部屋で。散らかってるし」
あれ、何で俺が謝らなきゃいかんのだ。と思ってたら。
「私おじいちゃん子でした。で、おじいちゃんはよくタバコ吸ってマシタ」
「それが何?」
「だからタバコのニオイは平気です。てゆうか好きデス。てゆうか私もたまに吸います」
何かよくわからなくなってきたが、とにかく話を聞こうじゃないか。
ビールとつまみ出した。二人ともぐびぐび飲んで一息ついた。
歓迎会の時に知ったがコイツは結構酒好き。
いつの間にか静かに酔っ払ってるタイプ。
「電話で彼に言ってたことは何?」
「彼はですネ、ヤキモチ妬きでめんどくさい人デス」
「ふんふんそれで?」
「周りにいる男の人のコトは悪く言っておかないと、めんどクサイことにナルので」
「だから、俺のことをケナしておくことにしたと」
「ホントはサル野さん頼りにしてマス。今日のことで冷たくされたら困りマス・・」
「・・わざわざそれ言うために来たの?」
「不本意ながら聞かれてシマッタけど、アレが建前で、今話してるのが本音デス・・」
「ウソだろ?何でそんなに必死で言い訳すんの?別に俺、人に言うつもりないけど」
「・・!ですよね、ウラオモテがあるって分かったら、ウソにしか聞こえませんヨネ・・」
「・・もういいよ、仕事だけ真面目にやってりゃいいじゃん。ひどい性格でも」
「それデス!」
「・・んー?」
「私、学生の時、バイトなんかでもドンくさくて、社会人になる自信なかったんですケド」
「・・それがどうかしたの?」
「入社してから、サル野さんのおかげでスゴク楽になれて」
「俺何かしたっけ」
「人見知りで、緊張してオドオドしてたらアドバイスくれたので、ウレシカッタのです」
「・・何て?俺覚えてない」
「性格は関係ないからトニカク真面目にやれ、新人はまず挨拶と報告だけちゃんとヤレって。
それさえ出来れば、あとは周りがフォローするから心配スルナって」
「・・ああ、俺が昔生意気だった頃に、所長から言われたことの受け売りだけどな」
「私アレで開き直れたので、サル野さんを悪く思ってるワケないデス。ホントです」
そういうことでしたか。信じるべきか?信じてやりたいけど。
もうどっちがウラかオモテかイマイチわからない。もう一押し欲しいなあ。
冗談まじりに軽く言ってみたよ。
「彼氏と別れて、俺と付き合ってくれるなら信じるよ」
すると・・。
「ホントですか?ホントにホントですか?うれしい!オゥフオゥフ!」
「・・え、ナニナニ?俺のこと男として好きなの?」
「実はですね!最初からカッコイイ先輩だと、思っておりましタ」
やばい、素直にうれしいな。これ嘘だと思いたくないなあ。
100%信じるのはまだだが、不必要に疑うのも一旦保留することにしたよ。
でもさ。
「カッコイイって・・サル顔バカにしてたのは何だ?」
「私サル顔が好きデス。コレ・・・・彼氏の写メです」
「うわ、俺よりまるっきりサルじゃねーか!よくもまあ、俺のことバカにしたもんだな」
「申しワケ、ございませーん!」
「・・だから声デカイって。で、本気?そんな簡単に別れられるもんなの?」
「実はめんどくさいデス。めんどクサイ人です。別れたいけど、どうしていいかワカリマセン。
お互い初めて付き合ったので、どうしていいかワカリマセン」
「うーん、そっか」
「悪い人ではないんですけどネ、性格合わなくて、就職で遠距離になる前から冷めてマシタ。
で、実はあ、離れる時に一度別れ話したんですヨ。でもゴネられてしまいまして。はあ、もう。
冷めてはいたけど、他の人を好きになったワケじゃないノデ、マアいっかと。で、ズルズル・・」
「もう俺のこと関係なく、とっくに終わってんだな、ソレ」
「遠距離になってから、週に3回か4回は電話が来るんデスけども。正直めんどくさいです。
最近はかなりの頻度でテレセになるので憂鬱です。相手したくないデス。
最初は浮気防止になるからいっか、って思いましたケド」
「いや、浮気してくれた方が良かったじゃん。別れるきっかけになるよ」
「ですよネ。全然考えてませんデした。不機嫌になられるとめんどクサクテつい・・」
「優柔不断なんだなあ。で、今日も電話かかって来るんじゃないの」
「はい多分。・・って、オゥフ!8時ごろかけるって言ッテタ!今・・・・もう8時?うわー、ドウシヨ」
ピリリ、ピリリ。見事なタイミングでホントにかかってきた。
「電話出る?」
「とりあえず出まス・・」
何かおもしろい展開になってきたんだぜ!
俺の目の前で彼氏とテレHし始めたら・・・・するワケないか。
「もしモシ。・・あー、うん、えっとっと、うん!今ウチだよ」
ウソつきやがった。いや、一応俺の“ウチ”だから嘘じゃないな。
墓穴掘りそうな気もするけど。
「え、え、もう今・・?だって昨日モ・・。ちょ、チョ、ちょっと待って!あ、あ、アノネ、洗濯物!
洗濯物入れなきゃイケナイから、10分したらまたかけて!ゴメンネ・・!」
さてどうなるのかなー?
「ふー」
「大丈夫なの?」
「今日はダメって言えばヨカッタ・・・・。“臨戦態勢”だったんですよお。もうヤだあ」
「彼やる気まんまんだな(笑)どうする?ここでする?(笑)フリでごまかせばいいだろ」
「フリしかしたことないですヨ?ホントにするわけないじゃナイですか」
「あ、あ、そうなの?」
フリだけか・・・・ちょっと残念なような、ホッとしたような?
「いつも適当に、アンアン言っとけば終わってくれるんですケド。回数が多くて疲れマス・・・・。
・・イヤそういうことじゃなくて!サル野さんの前で出来るワケないデスよ・・!」
「でももう、俺の前でするか、即別れ話するしかないよな」
「別れ話って、まだ心の準備ガ。今日は適当に何とか断ってミマス」
でもここまで来たら、断らないで欲しいよ。
せっかくだからやっぱり見せてもらおう!
「フリでもいいから、日余里のHなとこ見たいなあ・・」
「オゥフ!それはあ・・コマリマス・・」
「日余里が入社した時からずっと、カワイイって思ってたよ。彼氏いるから遠慮してたけど。
でもここまで来たらもう遠慮する理由ないだろ?」
「サル野さぁん、うれしいケド、でも、でもお」
「昼間のことは正直ムカついたけど、日余里の本音、信じるよ。好きだよ」
「私も好き・・です・・。でも、でも、オゥ!・・フんぅ・・ふっ」
キスとはこういう時、言葉をさえぎるためにあるんだぜ。カッコイイなおい!
シャツの上からおっぱいに手のひらをかぶせて、軽く指を這わせる。
ヒヨリの体が一瞬硬直して、すぐに脱力する。
「あッ・・ハ、はうふ」
と、その時。
ピリリ、ピリリ。彼氏からだ。
目を潤ませて俺を見ながら、ケータイを開いたヒヨリに言った。
「彼の声が俺にも聞こえるようにしてみて」
ヒヨリは一瞬とまどったが、受話音量を最大に設定してから電話に出た。
(ハンズフリーはやり方がわからなかったし、俺の気配が向こうに伝わると困る)
「もしモシ・・」
《ハアハア、はあ》
いきなりハアハアかよ、イタ電みたいだな。
ちょっと笑えたが俺は声を出してはいけないのだ!
「あ、あのネ、モンちゃん今日はチョット」
《ヒヨリ、もう、ぬ、脱いでる?ハアハア》
すいぶんせっかちなヤツだな。
これだけでもう、全然思いやりがないのが伝わってくるぜ。
ヒヨリは俺の方をチラチラ気にしてるが、半分キョドって彼氏の勢いに押されてる。
さっきから、話しながら缶ビール2,3本は飲んでたから、酔って少し大胆になってるのかも。
「え、あ、うん、脱いだヨ・・」(ホントは脱いでない)
《入れるよ、はあはあ、足ひらいて》
何だコイツ、何かまちがってないか?
もうちょっと雰囲気作りとか流れとかあるだろうに。
「うん、いいヨ・・」(ホントは足ひらいてない。普通に座ってる)
《ああ、ああ、ヒヨリ、はっはっはっ、はあ、はあ》
男の喘ぎ声なんか聞きたくもないが、ヒヨリがどう反応するか見たいからあえて聞くのだ。
ところがコレがね。
「あん。あー。あん、あん。あはーん」
何だこれ!すげー棒読み!フリだけとは言ってたが、色気もクソもないぞ。
さっき、キスでイイ反応を見せた女かよー、これが。
俺が見てるから抑えてるのかな、でもこんなんで男は納得するわけない。
と思ったら・・ところがどっこい、彼氏の鼻息が荒くなった!
《フーッ、フーッ、あッあッあッ、ヒヨリ、いいよ、気持ちいい》
「ワタシモ、キモチイイヨ。アン。アン」
こりゃひどい、学芸会の方がまだマシだ。
こんなのが延々と何分くらいかな?続いたあと、彼氏は軽く吼えて、イッたようだった。
《はあはあ、気持ちよかった。また電話するよ》
「うん、ワカッタ。またネ」
・・・・ツッコミ所満載だな。
「余韻も何もないな、あれで終わりかよ(笑)」
「いやー恥ずかしかったデスけど、ガンバリました。エヘヘ(笑)」
おお、Hな照れ笑いするとこんな顔になるのか。
まじでカワイイな!でもな。
「全然がんばってねーよ」
「え?」
こりゃアレだ、彼氏がただオナニーしてるだけだ。
それをほんのちょっと、ヒヨリが興奮を味付けしてるってだけのことだなあ。
彼にとっては、ヒヨリがホントに感じてるかとか、キモチ良くしてあげようとかはどうでもいい。
一度は別れを切り出した彼女を、惹きつける努力するつもりないのかな。
これじゃあヒヨリがイヤになるのも無理ないよ。
こんなつまらないテレHをするとは、思わなかったんだぜ。
俺も昔彼女としてたが、言葉と声でもっとイメージをふくらませるものだけどな。
ヒヨリ曰く
「するためだけにかけて来ると、あんな感じデ。本場(?)はあんなもんじゃないんですカ?
でも私も最初の頃はドキドキしましたヨ?えへへ。
え?え?・・あ、ハイ・・私もホントは・・気持ちよくナリタイ・・です・・。
あっでもホントに脱いだり、触ったりしたコトないデス!恥ズカシイですよ!手伝うだけですヨ」
なるほど、ヒヨリにとってはただの「作業」のような感覚。
処女と童貞を捧げ合った相手だが、会ってした10回程度のHも割と一方的だったようだ。
どっちもまだ経験少ないんだな。
それなのに彼氏も・・・・いやそれだからか。とにかくヤリタイだけなんだろうな。
酔っ払ったヒヨリが、ケータイを見せてくれた。
女友達へのメール。彼氏の愚痴多いな(笑)。彼に同情した(笑)。
ムカつく本音だと思ってた昼間の言葉が、実は建前だったってコレでハッキリした。
俺のこと好きって言ってくれたし、もうカワイイ女にしか見えない。
だから正直、さっきのテレHに気持ちが入ってなかったことに、ホッとしてたんだ。
もし本気だったら、擬似とはいえ好きな女が他の男とヤルのを、見ることになるわけだし。
・・とは言えこのシチュエーション、生かさない手はない・・。いじめたい!ウズウズ。
「彼はあんなので満足なの?」
「イエ、1回で終わったコトないでス、あとでまたかかって来マス・・」
「・・・・これは俺が演出するしかないな」
「え?どういうコトデスカ?」
「ヒヨリが気持ちよくなれるように、俺が手伝うよ。彼にバレないように」
「エー!何するんデスカ?恥ずかしいことですカ?」
「いいからいいから」
「・・?えー、あー、うー?わかりマシタ・・・・ガンバッてミマス・・」
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