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知りたくなくて失踪した 2

俺はずっと西村ってのが気になってて。でも、住んでる場所は知ってても、どんな人かも知らないし、誰に聞けばいいのか分からなくて。彼女にも聞けなくて、ただ黙ってた、我慢していた。

でも、やっぱり知りたくて、まずお袋に聞いたんだとげね、西村って知ってる?って…聞くなよ俺。
知らない、誰それ?って、知りませんでした、お袋。当然です、俺が知らないんだから。

その週末、彼女の家に行った。彼女とは普通に話せた。俺は演技派かも知れない。
彼女が浮気してるかも知れないって時に、でも、もしかして西村ってのは女の子で、実は大親友…とか、そんなオチだとしたら、うっかり追求して恥をかくかも…なんて恐怖もあって。

あの日から、って、確か火曜日の事だったんだけど、それから3~4日もすると、もうあれは女友達の家だったんじゃないか、俺の嫉妬深さが被害妄想を招いているんじゃないか、なんて、そこまで考えてて。
少し楽になりたかったのかも知れない。



彼女は、ちょっと待ってて、買い物に行って来る…って、父親の車で行ってしまった。
家には、俺と母親。未来のお母様…。二人だけになると、何か気まずい、とまではいかないけど、落ち着かない。俺は元々人見知りするタイプなんです。

で、彼女の母親も俺のそう言う所を知ってるから、いつも話し掛けてくれる、先に。一緒に行けば良かったのに…って、お母さん、俺は邪魔ですか…。




俺は、彼女の母親に、極力、動揺している自分を知られたくなくて、普通に聞こうとしたんです。
西村さんって知ってます?って。

『あー…西村君?』 

おー…知ってるよこの人。俺は『どんな人ですか?』って聞くと、同級生じゃない?お母さんと友達なのよー、と。…男でした。小学校3年・4年の同級生。
でも、幼稚園の時も同じ組だと。わざわざ卒業アルバムまで持って来て。この子この子ー…とか。
子供の写真見せられてもね、今現在のイメージなんて湧かない。


間違いない、コイツと浮気してる…俺はもうグダグダです。
キスしてる現場とか、Hしてる現場とか、いや、コイツの顔すらガキの写真でしか見てないけど、心臓を鷲掴みにされた様な…今、心電図取ったら間違いなく不整脈出るよ、みたいな感じ。

もうね、問い詰める勇気もなくて。彼女が帰って来るまでの間、帰ろうかとも思ったんだけど、二階の彼女の部屋に行ってウロウロしてました。座ってられない。別に何かを探す訳じゃない。

でも、押入れの引き戸を開けたりして、中を覗いて…最低ですね、俺。人の部屋に何やってんだか。
暇…と言うか、人間、奇行に走る瞬間ってあると思う。心神喪失。で、ティファニーの袋があって。
思い出しました。あの時の、中身はどこだろう、と。探しました…。



ありませんでした。人の部屋で探し物は疲れます。しかも、バレない様に気を使いながらってのが。
そんな馬鹿な事をしてる内に帰って来ちゃって。車の音にビクつく俺。もう気分は空き巣です。

帰って来た彼女は買い物袋をぶら下げていて、父親もだけど。俺にも持てと言う。渡された瞬間、彼女の指の指輪が…俺のじゃなくて。つまり、ダイヤ付いてなくて。あ、ティファニー…って直感しました。

その後、バタバタしてたんだけど、俺は指輪の事をさりげなく聞いてみました。その指輪、ティファニー?って。

あ、うん!少し慌ててました。いつも俺の指輪だったからかな。可愛いね!高くなかった?とか聞くと、ちょっと嬉しそう。

自分で買ったの?…俺は無意識に誘導尋問していたと思う。
違う違う、友達…って。

何か変な空気を察知したのか、彼女は話題を替えて来て。指輪の話はそれっきり。飯を食べて夜帰りました。


それからしばらくして、俺は姿を消しました。
正確に言うと、家出、失踪。会社の郵便受けに退職願を突っ込んで、実家の部屋の俺の家具・荷物はこっそりコツコツと処分してて。
彼女の前から、姿を消しました。4年前の事です。


問い詰める勇気もなくて、何も知りたくなくて。考えると気が狂いそうになって。誰も知らない所に行こう…。

人間不思議な物で、一旦決意すると、不思議と体が動いて。ちょっとルンルンしちゃったり。
とにかく荷造りやら、処分してる時は、妙な充実感に浸ってました。
もしかしたら、樹海に行ってたかも。

幸い俺は千葉で寮付きの特別養護老人ホームの介護職員になれて。資格なくてもOKだと。
面接は冷や冷やしました。履歴書の住所は千葉の親戚の住所。職歴も適当。
もう、バレるんじゃないかって。月給の手取り14万円はキツかったけど、体が慣れるとオムツ交換もてきぱき出来て。一年間そんな事をしてました。

親には最初、ひたすら謝りまくって、嘘を付いて、捜索願を出すなとか何とか…警察沙汰にされそうになって危なかったけど。


理事長先生から源泉徴収だか何だか、とにかく税務で困る事があるから、住民票を持って来て、寮に移せ…って言われた時は、もうどうしようかと。
俺はDQNを装って、分かりません知りません、確定申告は自分でしますんで、の一点張り。
ま、諦めてくれましたけど。スリリングな人生でした、あの一年間。逃亡者。


苑では24時間介護のシフトを組んでいて、かなりハードな仕事でした。週休2日でも、寮に篭って、小さな窓からボーっと空を眺めていたりして。周りはパチンコでいくら負けたとか騒いでいたけど、俺は淡々と仕事をこなしてた。

痴呆のお年寄のオムツ交換、食事介護、シーツ・ベッドの交換、入浴介助、掃除…それで14万とはちょっとねー。ちょっとした強制収容所です。と言うか俺もよく耐えた。

そんな所で。本当は車もあったんで、もっと遠くへ行きたかったんだけど、あんま金もないし、ガソリン代もちょっとケチって、そんな時、日曜日の新聞に折り込まれている求人広告を思い出して…あ、仕事しようと。

すまん、俺は盗みました。人様のお宅のポストに入ってた新聞から、求人広告を抜きました。ゴメンなさい…。

でもねー千葉と神奈川だもん。近いって言えば近いよなw 何度か、もう帰ろう、と思ったよ。
根が屁タレなんで。でも、彼女に格好悪い姿は見せたくなくて、俺的にはかなり格好いい消え方だと思った。

かなり馬鹿でしたけどね。でも、家出って思ったよりも簡単だなーと言う事は分かった。



相手が来ちゃったんです…。興信所頼むなよ。

親父とお袋には電話で心配するなって散々言い聞かせてあって。
初めは捜索願出す!とか言ってた親父も、まあしばらく頭冷やして来いと。
理由は何も言ってなくて。もちろん彼女の事とかも。ひたすら『家出したくなった』を繰り返してた。

彼女の父親には電話で、実は好きな人が出来ました。婚約は解消させて下さい、と。
ヤケクソでした。他にいい嘘が思いつかなくて。
どうして?何で?って彼女の母親から問い詰められると、本当に辛い。何か喋らないと、なんて、変な気を使うのは俺の悪い所かな。

『馬鹿野郎!ふざけるな!俺はテメェを一生許さねぇからな!!!』

…凄い迫力でした。とにかく、好きな人が出来た…今、その子と暮らしてる、って。嘘付きました。
しばらく携帯が止まらなくて、速攻解約ですよ。彼女からも着信入るけど、話せなくて。


後々、親父から『お前駆け落ちしたのか』とツッコミが。違う違う、あれ嘘…って言っちゃいました。
親ってのはありがたいもので、何となく察してくれたみたい。見えない所で彼女の家と、俺の間に立ってくれてたらしい。

一番世話になったのは仲人さんでした。会社に謝りの電話をしたんです。
彼女が出たらどうしよう…なんて恐怖もあったんですけど、取り合えずケジメはつけないと。

俺は声色を変えて電話しました。馬鹿だな俺…。幸い別の人が出てくれたんですが。
課長様に代わって下さい…で、繋がりました。本当は、この人にも適当に嘘を付くつもりだったんだけど。

『彼女に代わるから待っててくれ』『いや、代わらなくて結構です』『どうして?』『いや、あの…』
『何があった?』…こんな感じで、つい色々と喋っちゃって。でも、彼女が浮気とか、そんな事は言わなかった。

やっぱり嘘を付いたんだけど、自分自身に不安がある、少し間をおきたい、すいません…って。

『そうか…ま、仕方ないよな、待ってるよ』 その一言に、ポロポロ泣いてました。兄貴肌のいい人です。


俺は働きながら、もしかして俺は早とちりしたのかな、鬱だったのかな、妄想だったのかな…と、色々考える様になっていて。今までの、と言うか、あの出来事全てが夢の様な気がして来て。

全く違う世界に放り込まれた、そのショックで、健忘症にかかったのかも。
全部、本当に遠くの出来事の様な錯覚がして。アクアラインを跨げばすぐの距離なのにね。

彼女の誕生日が近くなって、元気かな…なんて感傷に浸る余裕もない日々。日々是決戦、
ウンコとの格闘の毎日です。でも、カレーは食えました。ウンコいじった後にカレーが食えなくなるってのは俗説、迷信ですねアレ。
ウンコの話題で申し訳ない。

アナウンスで珍しく、俺の名前を呼んでます。お客様がお見えです…と。
殆ど入居者のご家族しか来ない、この苑に。親父かな、と一瞬嫌な気分になりました。
住所は教えて無かったんで、調べて来やがったか馬鹿が…と。



彼女でした。

「久し振り」

ちょっと笑ってました。

「急にいなくなってビックリしたよー」

やっぱりこの子、可愛いです。

「ゴメンな…」

俺、謝っちゃいました。


『元気だった?』『まあまあ』『ふーん・・・』何か、どうでもいい会話でした。
あまり覚えてません。お互い、言葉が見つからなくて、特に彼女は多分、俺との言葉を繋ぐのに必死だったのかも。

俺はもう、好きとか嫌いとかじゃなくて、って、好きでした、やっぱり。どうしようもなく。長過ぎたんですね、一緒にいる時間が。
俺が家出した、失踪したこの一年の何倍も長く居たんだと言う事。

ただ、俺には気がかりな事、と言うか、人が。

「お父さんは?」
「会社だよ」

ちょっと安心しました。居所がバレたらきっと俺、殺されます。と言うか殺されてましたね。
武闘派じゃないけど、やっぱり「彼女のお父さん」ってのは怖いです…。


「何で分かったの?」
「調べてもらったから…」

探偵さん、もう少し俺をホッといてほしかった。でも、不思議と彼女に対して、怒りとか、そう言う負の感情は湧かなかった。俺、この子と昔、付き合ってたんだな…そんな感じ。
彼女もごく自然に、あの頃と同じ感じで話し掛けてくれる。それが嬉しかった。

「ゴメン、そろそろ戻るよ」
「うん、待ってる」

そんな会話だったと思う。戻ると…女の職場ってのは怖いですね、ホント。
介護職員は8割女性なんですけど、このお姉様方が何と言うか…
お前等全員、毎週欠かさず女性セブン買ってるだろ!みたいな、濃い方々で。

『ねえ彼女?彼女?』『へー彼女いたんだァー』『結構可愛いよねー』

…うるせぇよババァ共、口に糞詰めッぞ。
と、心にもない事をそっと心の中に仕舞いましたとさ。


スマソ、上げてしまった…


その日は日勤で、午後4時で上がれました。
でもその間、3時間ぐらい待たせちゃって。仕事が手につかないですよ。気兼ねして。

老人ホームは山の中、と言うかド田舎です。そんな場所へ、彼女はバスとタクシーで来てくれた。
アクアラインを越えて来てくれた。最初は戸惑ったけど、普通に話せました。自分でも驚くぐらい。

来てくれたのは嬉しいけど、寮には泊められないから、結局日帰りです。
送ってくよ…って事で、タクシー呼んで、アクアラインのバス亭まで乗せてもらって…


金谷だったか金田だったか、あのバスターミナル、何も無いんだよねホント。
その周辺を暗くなるまでブラブラしながら、色々と話しをした。当り障りの無い話だったけどね。

あんなに悩んで、別れたつもりだったのに、いい雰囲気になってたと思う。別れ…って言っても、俺が勝手に消えただけだったのかも知れないけど。

最後にバスに乗り込む直前、
『また来るね』『いや、俺、そろそろ帰るかも』『ホント?』…そんな会話を交わして、バスが見えなくなるまで見送りました。

その後、急に泣けてきて。もう、このまま苑辞めて帰ろうかな、なんて。
あのバス、走ったら追いついて乗せてくれるかな、とか。彼女と一緒に帰りたくなった。
今まで抑えていたホームシックが一気に来たんだと思う。


結局、それからしばらくして俺は帰りました。
理事長先生にもお礼を言って、何故か励まされたけど。ちょっとした更正施設と言うか、貴重な一年だったと思う。俺が言うのも何だけど、自分自身をかなり磨けた気がする。

今まで、何でも中途半端で、上手く言えないけど、ダメだなーって感じだったけど、愛の貧乏脱出大作戦…あんな感じの一年でした。そんなに為になったかは分からないけど。

家に帰るとおかえりー…普通の応対でした。親子の感動の再会、なんてものはなく、
『車は?』『あー』『あー、じゃなくてよ』『ゴメン…』

俺の車は1月の大雪の日、田舎の風俗店の前でスリップして、駐車していたワゴン車にドーン。

…逃げました。で、廃車に。幸い、俺の車は追突した後も走ってくれて。かなりヤバかった。

こんな所で懺悔するなって感じだけど、必死で山道を逃げました。ワゴン車は…前がグチャっと。
俺は今でも信じてます、あれは、あのワゴンは元々ガードレールに追突して止まっていたんだと。
その後、俺がオカマ掘っちゃったんだと。そう信じてます。俺は無罪…。

<続く>

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