知りたくなくて失踪した 4
アパートの場所も知ってたと言うか、何と言うか、親よ…軽々しく他人に教えるなと。
お風呂入れてくてたけど、入らなかった。ご飯作るね、ってのも遠慮。
『何時に帰るの?』『帰ってほしいの?』『いや…』そんな会話。彼女のペースだったと思う。
まさか彼女も泊まるつもりではなかったと思う。でも、雰囲気と言うか、帰る時間を逃したら、泊まってくかも、なんて。
実は、帰り道は結構気分が良かった。でも、ドアのチャイムを鳴らして、彼女の声を聞いた瞬間、夢から醒めたんだと思う。何やってんだ…俺、って。
とにかく送るから、って事で部屋を一緒に出た。本当は、狭い空間に二人きりでいる事に、耐えられないだけ。想像と現実の差は激しくて、思う様には行かないって事かな。
新幹線の時間が迫るまでの1時間が、異様に長かったのを覚えてる。彼女の嬉しそうな声が、俺には苦痛だった。そして、そんな彼女に波長を合わせようとしている俺自身に幻滅させられて。偽善者か。
結局、三日後の木曜日に、改めて会う約束をしてしまった。新幹線の改札を見送りながら、ホッとしている自分。
嬉しい気持ちと、悲しい気持ちと、何と言うか…躁鬱が一緒に来る状態。とにかく疲れた。
寝て起きて、会社に行く頃には、昨日の一日自体が夢だったんじゃないかって。でも、台所の、飲み残したコップ、うっすらと残っていた彼女の口紅の後を見て、本当に来てたんだな…なんて、しみじみ思ったり。
それからの三日間は、よく覚えていない。まだ先月の事なんだけど、例えば今日、朝何食べた?レベルで、憂鬱なのか期待なのか、よく分からない感情だったからかも知れないけど、とにかく木曜日をひたすら待った。
約束の時間に駅で待つ。彼女は来た。何を話そう、何を言おう、何を、何を…何も浮かばない。用意する言葉がない。
挨拶ぐらいしか俺には用意出来なくて。実際、彼女が何で来るのか、と言う根本的な事すら飲み込めていない。
来るから仕方なく応対している…事にしたい自分がいる。反面、何かを期待している自分もいる。もう、どうしようもない。
『ゴメンね、待った?』『いや…』 そんな、軽く流している普通の会話の中にも、懐かしさを感じてしまう。ただ、素直に喜べない自分が苦痛だった。
恋人と言う過去がなければ、もっと彼女の事を受け入れられるのに。
どうしても、少しだけ、余所余所しい部分、丁度いい隙間を残しておきたかった。
ケジメと言うか、何と言うか。その日、かなり長い時間、俺は彼女と中田島砂丘で話し合った。
一緒にいる時間が長くなればなる程、彼女が本当に、恋人としての彼女に、婚約中だった頃の彼女に見えて来て、俺を苦しめる。海を見ながら、とぼとぼと行きつ戻りつ、フラフラ歩いて、立ち止まって。定まらない方向へ歩きながら、色々な話をした気がする。
本当は、街中を歩いたり、もっと他に行くべき場所、連れて行くべき場所はあったのかも知れないけど、どうしても、俺の部屋だけは避けたくて。でも、避けていると言う事を知られたくなくて。
四日前、久々に彼女と会った瞬間から、矛盾した思いをずっと抱えさせられている。疲れた…と思いながら、その疲れさえ心地良いと思ってしまう。煮え切らない自分を見つめる自分と言うのは、あまり気持ちのいい物ではない。
余談だけど、凧揚げ祭りの博物館は面白くない。退屈だし。
浜松って言えばウナギ、ってイメージあるけど、実はウナギ屋が多いだけ。
値段高いし。美味しい事は美味しいけどね。つうか結局部屋に行った訳ですよ。
中田島で何する訳でもないんですけど、五味八珍でラーメン食って、あちこちドライブしたら、もう夕方。
仕方ないから部屋戻るか…って。何か、たった一日二日会ってただけで、元通りになてる気がしてる自分が怖い。
千葉の一年間は何だったの?って感じ。
彼女が浮気してようがどうでもいいよもう、みたいな。
すごく楽しかったし、素直に、何も考えずに付き合ってると、それなりに楽しくて。馬が会うって言うか、幼馴染と言うか家族ですね、ホント。案ずるより産むが易し、なんて言葉があるけど、その通りだな、って。
でも、聞かないといけない事を全然聞けないでいたんだよ、どうして来たの?って一言なんだけど。
その一言が聞けなくて。タイミングと言うか、初日、四日前に聞けば良かったと思う。ただ、何しに来たの?とか、その聞き方も難しくて。さり気なく聞く方法ってのを探ると言うか。
部屋でくつろいでテレビなんか見てて、やっぱり静岡はチャンネル違うねー、なんて、妙な感動をしてました、彼女。
「ずっとコッチにいるつもり?」
「うーん…分かんないな。考えてない。」
「私も来ようかな」
「えー、コッチに?」
「うん」
こんな感じです。俺はもう、どんな顔をしていいのか分からない。拒否していいのか、受け入れていいのか。
意地悪はしたくないし、拗ねるなんて格好悪い事はしたくないし、とにかくフランクに相手したい。
恨みとか怒りとか、そんな物は千葉の一年間、散々味わったから。ある意味、俺は抜け殻かも知れない。
「悪いけどさ、コッチには来ないで」
「どうしてー???」
「いや、会いたくないから」
「…」
さりげなく言えてないです俺。直球繰り出してます。って言うか、会っておいて、会いたくないって一体。
『ずっと会いたかったよ』『いきなりまた他所へ行っちゃって』『寂しかった』…俺は明確に拒否をしたはずなのに、彼女の言葉が俺をドキドキさせる。どちらがタフかって、彼女の方が遥かにタフだね、きっと。
俺は言い返そうとするけど、流されそうになって、いや、半分流されてました。
「元に戻りたいよ…お願い」
その一言はかなり効きました。もう、水に流そう…って、その瞬間は本気で思いました。
でも、何も言えなかったです。俺は俯いてて。彼女を見たら、多分泣いてしまうから、必死に涙よ収まれ、涙腺閉じろ、と。半泣きって格好悪い…。俺はただもう、ゴメン、ゴメンとしか言えなかった。
「来週、また来るね」
「もう来るなよ」
俺の中では修羅場です。もう、来てもいいけどいちいち了解取るなと。勝手に来て、勝手に帰ってくれ。
予想外だったのは、そこまで言っても彼女は引き下がらないと言うか、負けないと言うか。
俺が負けました。泣いたしね。何で泣かないといけないのか分からない。最後の切り札って言うか、喉まで浮気の事は出掛かったけど、そんなのを我慢してたから弱かったのかも。
俺は浮気の話題は避けよう避けようとしていました。それを言ってしまったら、全て終わってしまう。
別にもう、ヨリを戻そうとか、そう言う気持ちじゃない。ただ、彼女を傷つけずに、しかも俺の心の整理も付いて、上手く離れられる方法…。
本当は離れる必要なんてなくて、実は俺が流せば全ていいのかも知れないって、最近思い始めてるんだけど、これって洗脳かな。俺は間違ってて、そんな事でいちいちウダウダ悩んでる男って気持ち悪い…のかも。
彼女から、好き…って何度も言われると、俺も彼女の事が好きになって来る。言葉って怖い。
「好きだよ、ホントに好きだから」
「ゴメン…」
馬鹿ップルな会話をしていたと思うと鬱。でも大体こんな感じ。
その場になると、気の効いた嘘も付けない。他に好きな人が出来た、とか、そんな類の嘘。
俺はマトモに受け答えしてしまって、本音を暴露しまくりです。
「俺も恵理の事、好きだよ」
「…じゃあ、何で…」
俺が責められてます。何か申し訳なくなってきて、彼女に。って言うか、何か思い出すと鬱なんですけどコレ。
会話省いて事実だけ書いて逃げたくなって来たよ、もう。
『ゴメン』『もう少し時間がほしい』…そんな言葉で逃げました。ひたすら逃げたよ。
逃げたんだけどね、逃げたんですけど…
「好きじゃなくてもいいから、一緒にいたいよ…」
「Hだけでもいいから」
…
「馬鹿じゃねぇの?」
俺の口癖って言うか、怒った時、『馬鹿じゃねぇの?』って、よく言うんです。
Hって何だよ。好きでもない相手として言い訳ないだろ。お前何言ってんの?…とか何とか、かなり強い口調でキレた気がします。
結局、泣かせてしまいました。
かなり気まずい雰囲気で別れました、って、一方的に俺が怒っただけかも知れないけど。
彼女はひたすら『ゴメンなさい…』って。俺も、さすがに駅まで見送る頃には、怒りも収まってました。
とにかくもう、何て言っていいか分からなくて。とにかく、ひたすら気まずかったです。
…なんですけど、携帯番号を教えたり、今度合鍵をあげる約束してたり、よく分かりません。実際、三月末に来た時にあげたんですけど、合鍵。優しいと言うより、自分でも救い難いなと。嫌いになれないんです…。
でも、以前みたいな好き、って訳でもなくて。もう、上手く説明出来ない。ところで、浮気の話とか、書くべきですか?
今までが長過ぎで申し訳ないです。
彼女を見送り、俺は少し安心していた。ここは浜松、そんなに頻繁に顔を合わせる事もない。
ただ、ここ数日、なぜ急に彼女が会いに来たのか、俺にはまだ理解出来ないでいる。
俺の中では既に、彼女との事は、五年前で終わっていた。
一方的な幕引き、と言われれば、そうかも知れない。あの別れ方が、本当は彼女を守りたいのか、自分を守りたいのか、それもよく分からない。ただ、俺には逃げる事しか出来なかったから、そうしただけの事。
五年前は、彼女に真実を問い正そうなんて思いもしなかった。勿論、被害者ぶるつもりもない。
もし、彼女を問い正したとして、それが白だったとしたら、それはそれで終わっていたと思う。
つまり、彼女の事を信じていなかった、と言う点で。大体、何をどう切り出せばいいのか。
考えれば切りはなくて。しかも一度疑うと、過去に遡って疑いが広がって。
例えば、初めて…のはずなのに、血が出でなかった事とか、疑えば切りがない、本当に。
実際、血が出るとか出ないとか、下らないし恥ずかしい話題を考えた時点で、俺は終わってる。
でも、その当時は疑いの一つとして、俺の頭の中から離れなくて。…男としては処女崇拝は避けたい話題。
乳首の色が黒いけど、女性は皆こうだから…昔、彼女にこう説明された事がある、真顔で。
AVの人は化粧をしているんだ、と。乳首にファンデーションを塗っているから、男の人は絶対、乳首はピンクだと言う妄想を抱いている…彼女は俺を半ば責める様に言っていた。
俺自身は、彼女に対してそんな話題は振った事がない。多分彼女は気にしていたんだろうけど。
でも、なぜあんなにムキになって説明していたのか…なんて、疑えば切りがない。
そんな事をイチイチ口にするのも馬鹿馬鹿しいし、考えている事自体、俺って一体…みたいな自己嫌悪で。
それが五年前、逃げ出すまでの僅かな間に考えていた事。実に下らないと思う。俺自身が下らない。
夜寝ようとしても、天井がグルグル回る感覚がして…眠れない程悩むのは、救い難いと言うか何と言うか。
彼女は神奈川へと帰った。でも、俺の周りの世界は動き始めた。正確には、追い込み。
親父とお袋から交互に電話。『何があったか知らないけど、そろそろヨリを戻したら…』なんて話。
事情も知らない外野のクセに、全く。電話線外しとくか…なんて思ってたら、今度は母親、勿論彼女の。
仕事で疲れてるのに、夜来られると心臓に悪い。二時間もいられないのに、わざわざ来られても困る。
『恵理…寝ながら、貴志ゴメン…って、よく泣いてて…』…アンタ一体何が言いたいのかと。
俺はそんな話を聞かされて罪悪感一杯ですよ。『何があったの?』って、娘さんに聞いて下さい、そんな事。
もう勘弁して。
でも、帰れなんて言えないし。スイマセン…時間を下さい、とかなんとか。誤魔化してばかりです。
疲れます。父親は電話で『恵理の事、そんなに嫌いなのか…』いや、ショックそうな声は聞きたくない、ホント。
鬱を移すなと。
そもそもお父さん、アンタあの時、俺が玄関先で土下座してた時、無視して奥へ引っ込んだよな…
男なら無視を貫いてくれ。電話取った瞬間、アンタの声を聞いて心臓止まる程ビビッてしまった俺は相当の屁タレです。
スイマセン、もう、そっとしておいて下さい…。
結局、俺も含めて、西村がどうとか、浮気がどうとか、真実は誰も知りません。
聞こうとも思わないけど、タイミングはとっくに逃してるし、まさか今まで引きずってるの?なんて、あからさまに思われるのは嫌。
実際少しは引き摺ってますが、でも、もう忘れた…と言えば忘れてる。
じゃあ、何で…って言われても、意地とかメンツとかではなくて、よく分かりません。
とにかく、馬鹿親達から追い込み喰らって、彼女からは日に三度、携帯電話頂いて、さすがにキレそうで、携帯、auのインフォバーに替えたんですけど、ez-webですか、入ってません。メール出来ません。
おかげで電話ですよ。『おはよー』『今何してるの?』『ちょっと声聞きたくて…ゴメンね』…ああもう。
俺は怒っていいのか喜んでいいのか、って少し喜んでる俺に鬱。しかも、電話待ってる自分がいて。
引っ張るつもりはなかった。ただ、思い出すとどうしてもダラダラ長くなってしまって。
スレッドの趣旨から離れてしまって申し訳ない。大分精神的に楽になって、
文体も変わってしまったらしいけど。本当にすみません。
俺は休みの日に神奈川に戻りまして、彼女とお互いの家族で話し合う場を設けました。
で、『ヨリを戻すつもりもないし、結婚するつもりもない』と、はっきり言いました。
でも、別に憎みあってる訳でもないし、なんて話になって、友達として、仲良くしたい…と。
今は友達と言うか、もう親戚みたいな感じです。何か、流されてる気もしますけど。
長々と続けてすみません。
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実は、帰り道は結構気分が良かった。でも、ドアのチャイムを鳴らして、彼女の声を聞いた瞬間、夢から醒めたんだと思う。何やってんだ…俺、って。
とにかく送るから、って事で部屋を一緒に出た。本当は、狭い空間に二人きりでいる事に、耐えられないだけ。想像と現実の差は激しくて、思う様には行かないって事かな。
新幹線の時間が迫るまでの1時間が、異様に長かったのを覚えてる。彼女の嬉しそうな声が、俺には苦痛だった。そして、そんな彼女に波長を合わせようとしている俺自身に幻滅させられて。偽善者か。
結局、三日後の木曜日に、改めて会う約束をしてしまった。新幹線の改札を見送りながら、ホッとしている自分。
嬉しい気持ちと、悲しい気持ちと、何と言うか…躁鬱が一緒に来る状態。とにかく疲れた。
寝て起きて、会社に行く頃には、昨日の一日自体が夢だったんじゃないかって。でも、台所の、飲み残したコップ、うっすらと残っていた彼女の口紅の後を見て、本当に来てたんだな…なんて、しみじみ思ったり。
それからの三日間は、よく覚えていない。まだ先月の事なんだけど、例えば今日、朝何食べた?レベルで、憂鬱なのか期待なのか、よく分からない感情だったからかも知れないけど、とにかく木曜日をひたすら待った。
約束の時間に駅で待つ。彼女は来た。何を話そう、何を言おう、何を、何を…何も浮かばない。用意する言葉がない。
挨拶ぐらいしか俺には用意出来なくて。実際、彼女が何で来るのか、と言う根本的な事すら飲み込めていない。
来るから仕方なく応対している…事にしたい自分がいる。反面、何かを期待している自分もいる。もう、どうしようもない。
『ゴメンね、待った?』『いや…』 そんな、軽く流している普通の会話の中にも、懐かしさを感じてしまう。ただ、素直に喜べない自分が苦痛だった。
恋人と言う過去がなければ、もっと彼女の事を受け入れられるのに。
どうしても、少しだけ、余所余所しい部分、丁度いい隙間を残しておきたかった。
ケジメと言うか、何と言うか。その日、かなり長い時間、俺は彼女と中田島砂丘で話し合った。
一緒にいる時間が長くなればなる程、彼女が本当に、恋人としての彼女に、婚約中だった頃の彼女に見えて来て、俺を苦しめる。海を見ながら、とぼとぼと行きつ戻りつ、フラフラ歩いて、立ち止まって。定まらない方向へ歩きながら、色々な話をした気がする。
本当は、街中を歩いたり、もっと他に行くべき場所、連れて行くべき場所はあったのかも知れないけど、どうしても、俺の部屋だけは避けたくて。でも、避けていると言う事を知られたくなくて。
四日前、久々に彼女と会った瞬間から、矛盾した思いをずっと抱えさせられている。疲れた…と思いながら、その疲れさえ心地良いと思ってしまう。煮え切らない自分を見つめる自分と言うのは、あまり気持ちのいい物ではない。
余談だけど、凧揚げ祭りの博物館は面白くない。退屈だし。
浜松って言えばウナギ、ってイメージあるけど、実はウナギ屋が多いだけ。
値段高いし。美味しい事は美味しいけどね。つうか結局部屋に行った訳ですよ。
中田島で何する訳でもないんですけど、五味八珍でラーメン食って、あちこちドライブしたら、もう夕方。
仕方ないから部屋戻るか…って。何か、たった一日二日会ってただけで、元通りになてる気がしてる自分が怖い。
千葉の一年間は何だったの?って感じ。
彼女が浮気してようがどうでもいいよもう、みたいな。
すごく楽しかったし、素直に、何も考えずに付き合ってると、それなりに楽しくて。馬が会うって言うか、幼馴染と言うか家族ですね、ホント。案ずるより産むが易し、なんて言葉があるけど、その通りだな、って。
でも、聞かないといけない事を全然聞けないでいたんだよ、どうして来たの?って一言なんだけど。
その一言が聞けなくて。タイミングと言うか、初日、四日前に聞けば良かったと思う。ただ、何しに来たの?とか、その聞き方も難しくて。さり気なく聞く方法ってのを探ると言うか。
部屋でくつろいでテレビなんか見てて、やっぱり静岡はチャンネル違うねー、なんて、妙な感動をしてました、彼女。
「ずっとコッチにいるつもり?」
「うーん…分かんないな。考えてない。」
「私も来ようかな」
「えー、コッチに?」
「うん」
こんな感じです。俺はもう、どんな顔をしていいのか分からない。拒否していいのか、受け入れていいのか。
意地悪はしたくないし、拗ねるなんて格好悪い事はしたくないし、とにかくフランクに相手したい。
恨みとか怒りとか、そんな物は千葉の一年間、散々味わったから。ある意味、俺は抜け殻かも知れない。
「悪いけどさ、コッチには来ないで」
「どうしてー???」
「いや、会いたくないから」
「…」
さりげなく言えてないです俺。直球繰り出してます。って言うか、会っておいて、会いたくないって一体。
『ずっと会いたかったよ』『いきなりまた他所へ行っちゃって』『寂しかった』…俺は明確に拒否をしたはずなのに、彼女の言葉が俺をドキドキさせる。どちらがタフかって、彼女の方が遥かにタフだね、きっと。
俺は言い返そうとするけど、流されそうになって、いや、半分流されてました。
「元に戻りたいよ…お願い」
その一言はかなり効きました。もう、水に流そう…って、その瞬間は本気で思いました。
でも、何も言えなかったです。俺は俯いてて。彼女を見たら、多分泣いてしまうから、必死に涙よ収まれ、涙腺閉じろ、と。半泣きって格好悪い…。俺はただもう、ゴメン、ゴメンとしか言えなかった。
「来週、また来るね」
「もう来るなよ」
俺の中では修羅場です。もう、来てもいいけどいちいち了解取るなと。勝手に来て、勝手に帰ってくれ。
予想外だったのは、そこまで言っても彼女は引き下がらないと言うか、負けないと言うか。
俺が負けました。泣いたしね。何で泣かないといけないのか分からない。最後の切り札って言うか、喉まで浮気の事は出掛かったけど、そんなのを我慢してたから弱かったのかも。
俺は浮気の話題は避けよう避けようとしていました。それを言ってしまったら、全て終わってしまう。
別にもう、ヨリを戻そうとか、そう言う気持ちじゃない。ただ、彼女を傷つけずに、しかも俺の心の整理も付いて、上手く離れられる方法…。
本当は離れる必要なんてなくて、実は俺が流せば全ていいのかも知れないって、最近思い始めてるんだけど、これって洗脳かな。俺は間違ってて、そんな事でいちいちウダウダ悩んでる男って気持ち悪い…のかも。
彼女から、好き…って何度も言われると、俺も彼女の事が好きになって来る。言葉って怖い。
「好きだよ、ホントに好きだから」
「ゴメン…」
馬鹿ップルな会話をしていたと思うと鬱。でも大体こんな感じ。
その場になると、気の効いた嘘も付けない。他に好きな人が出来た、とか、そんな類の嘘。
俺はマトモに受け答えしてしまって、本音を暴露しまくりです。
「俺も恵理の事、好きだよ」
「…じゃあ、何で…」
俺が責められてます。何か申し訳なくなってきて、彼女に。って言うか、何か思い出すと鬱なんですけどコレ。
会話省いて事実だけ書いて逃げたくなって来たよ、もう。
『ゴメン』『もう少し時間がほしい』…そんな言葉で逃げました。ひたすら逃げたよ。
逃げたんだけどね、逃げたんですけど…
「好きじゃなくてもいいから、一緒にいたいよ…」
「Hだけでもいいから」
…
「馬鹿じゃねぇの?」
俺の口癖って言うか、怒った時、『馬鹿じゃねぇの?』って、よく言うんです。
Hって何だよ。好きでもない相手として言い訳ないだろ。お前何言ってんの?…とか何とか、かなり強い口調でキレた気がします。
結局、泣かせてしまいました。
かなり気まずい雰囲気で別れました、って、一方的に俺が怒っただけかも知れないけど。
彼女はひたすら『ゴメンなさい…』って。俺も、さすがに駅まで見送る頃には、怒りも収まってました。
とにかくもう、何て言っていいか分からなくて。とにかく、ひたすら気まずかったです。
…なんですけど、携帯番号を教えたり、今度合鍵をあげる約束してたり、よく分かりません。実際、三月末に来た時にあげたんですけど、合鍵。優しいと言うより、自分でも救い難いなと。嫌いになれないんです…。
でも、以前みたいな好き、って訳でもなくて。もう、上手く説明出来ない。ところで、浮気の話とか、書くべきですか?
今までが長過ぎで申し訳ないです。
彼女を見送り、俺は少し安心していた。ここは浜松、そんなに頻繁に顔を合わせる事もない。
ただ、ここ数日、なぜ急に彼女が会いに来たのか、俺にはまだ理解出来ないでいる。
俺の中では既に、彼女との事は、五年前で終わっていた。
一方的な幕引き、と言われれば、そうかも知れない。あの別れ方が、本当は彼女を守りたいのか、自分を守りたいのか、それもよく分からない。ただ、俺には逃げる事しか出来なかったから、そうしただけの事。
五年前は、彼女に真実を問い正そうなんて思いもしなかった。勿論、被害者ぶるつもりもない。
もし、彼女を問い正したとして、それが白だったとしたら、それはそれで終わっていたと思う。
つまり、彼女の事を信じていなかった、と言う点で。大体、何をどう切り出せばいいのか。
考えれば切りはなくて。しかも一度疑うと、過去に遡って疑いが広がって。
例えば、初めて…のはずなのに、血が出でなかった事とか、疑えば切りがない、本当に。
実際、血が出るとか出ないとか、下らないし恥ずかしい話題を考えた時点で、俺は終わってる。
でも、その当時は疑いの一つとして、俺の頭の中から離れなくて。…男としては処女崇拝は避けたい話題。
乳首の色が黒いけど、女性は皆こうだから…昔、彼女にこう説明された事がある、真顔で。
AVの人は化粧をしているんだ、と。乳首にファンデーションを塗っているから、男の人は絶対、乳首はピンクだと言う妄想を抱いている…彼女は俺を半ば責める様に言っていた。
俺自身は、彼女に対してそんな話題は振った事がない。多分彼女は気にしていたんだろうけど。
でも、なぜあんなにムキになって説明していたのか…なんて、疑えば切りがない。
そんな事をイチイチ口にするのも馬鹿馬鹿しいし、考えている事自体、俺って一体…みたいな自己嫌悪で。
それが五年前、逃げ出すまでの僅かな間に考えていた事。実に下らないと思う。俺自身が下らない。
夜寝ようとしても、天井がグルグル回る感覚がして…眠れない程悩むのは、救い難いと言うか何と言うか。
彼女は神奈川へと帰った。でも、俺の周りの世界は動き始めた。正確には、追い込み。
親父とお袋から交互に電話。『何があったか知らないけど、そろそろヨリを戻したら…』なんて話。
事情も知らない外野のクセに、全く。電話線外しとくか…なんて思ってたら、今度は母親、勿論彼女の。
仕事で疲れてるのに、夜来られると心臓に悪い。二時間もいられないのに、わざわざ来られても困る。
『恵理…寝ながら、貴志ゴメン…って、よく泣いてて…』…アンタ一体何が言いたいのかと。
俺はそんな話を聞かされて罪悪感一杯ですよ。『何があったの?』って、娘さんに聞いて下さい、そんな事。
もう勘弁して。
でも、帰れなんて言えないし。スイマセン…時間を下さい、とかなんとか。誤魔化してばかりです。
疲れます。父親は電話で『恵理の事、そんなに嫌いなのか…』いや、ショックそうな声は聞きたくない、ホント。
鬱を移すなと。
そもそもお父さん、アンタあの時、俺が玄関先で土下座してた時、無視して奥へ引っ込んだよな…
男なら無視を貫いてくれ。電話取った瞬間、アンタの声を聞いて心臓止まる程ビビッてしまった俺は相当の屁タレです。
スイマセン、もう、そっとしておいて下さい…。
結局、俺も含めて、西村がどうとか、浮気がどうとか、真実は誰も知りません。
聞こうとも思わないけど、タイミングはとっくに逃してるし、まさか今まで引きずってるの?なんて、あからさまに思われるのは嫌。
実際少しは引き摺ってますが、でも、もう忘れた…と言えば忘れてる。
じゃあ、何で…って言われても、意地とかメンツとかではなくて、よく分かりません。
とにかく、馬鹿親達から追い込み喰らって、彼女からは日に三度、携帯電話頂いて、さすがにキレそうで、携帯、auのインフォバーに替えたんですけど、ez-webですか、入ってません。メール出来ません。
おかげで電話ですよ。『おはよー』『今何してるの?』『ちょっと声聞きたくて…ゴメンね』…ああもう。
俺は怒っていいのか喜んでいいのか、って少し喜んでる俺に鬱。しかも、電話待ってる自分がいて。
引っ張るつもりはなかった。ただ、思い出すとどうしてもダラダラ長くなってしまって。
スレッドの趣旨から離れてしまって申し訳ない。大分精神的に楽になって、
文体も変わってしまったらしいけど。本当にすみません。
俺は休みの日に神奈川に戻りまして、彼女とお互いの家族で話し合う場を設けました。
で、『ヨリを戻すつもりもないし、結婚するつもりもない』と、はっきり言いました。
でも、別に憎みあってる訳でもないし、なんて話になって、友達として、仲良くしたい…と。
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長々と続けてすみません。
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