妊娠を望む妻と、私の苦しみ 1
私と妻は高校の同級生で、二十歳の時に海で偶然再会し、妻の水着姿を見て高校の時には気付かなかった大きな胸と、海には不釣合いな白い肌に目が眩んで交際を申し込みました。
同級生だったと言ってもクラスが一緒になった事は無く、隣のクラスに可愛い娘がいると思っていた程度で、性格については何も知らなかったので、結局は可愛い顔からは想像出来ないようなセクシーな身体に惹かれて交際を始めた事になるのですが、いざ付き合ってみると凄く優しくて、性格も可愛い女だったので私が離れられなくなり、大学在学中にプロポーズして、就職するとすぐに結婚しました。
妻は昔から子供が大好きで、短大を出ると幼い頃からの夢だった保育師をしていましたが、皮肉にも私達にはいつまで経っても授かりません。
結婚して2年目には妻はその事を酷く気にするようになっていて、3年目には検査を受けて自分に異常が無い事が分かると私にも検査を勧めましたが、私は恥ずかしさもあって「その内出来るさ」と言って逃げていました。
しかし妻は検査を受けて欲しいと頭を下げ続けるので、自宅で採取出来る事が分かった事もあって、私はようやく重い腰を上げます。
「自分で出すの?どうやって出したら良いのか分からないから、香代がやってよ」
「うそー。出来るでしょ?」
私は妻に出してもらうのは初めてで、この時は検査結果など軽く考えていたので、私のオチンチンを丁寧に拭いてくれる妻を見ているだけで興奮していました。
「どうせなら口でしてよ」
「唾液から雑菌が入る可能性があるから、口では駄目だって書いてあったわ」
「そんな事まで書いてあるの?」
「私も恥ずかしいんだから、余計な事を言っていないで早く出してよ」
私の横に身を寄せて、一生懸命手を動かす妻の大きく軟らかい乳房を揉みながら、私はセックスとはまた違った興奮を覚えて、意外とすんなり出してしまいます。
しかし私が馬鹿な事を言っていられたのも、検査結果が出るまででした。
精液量 0.6ml(2ml以上、多い人で5ml)
精子濃度 1ml中100万匹(2000万匹)
運動率 10%(50%以上)
高速運動率 0%(25%)
即ち精液の排出量も足りず、その中にいる精子の数も極端に少なく、動いている数も少ない上に、元気良く動き回っているのは一匹もいないのです。
「無精子症ではないし、その時の体調にもよるらしいから、きっと大丈夫よ」
妻は落ち込む私を慰めてくれましたが、体調を整えて翌月臨んだ検査でも、結果は似たようなものでした。
「ごめんね。検査なんて勧めなければ良かった」
自分の子孫を残せないという事など考えた事も無く、今までは気にもしなかった私はオスとしての自信を無くし、妻はそのような私を励まし続けていてくれましたが、後から結婚した妻の兄や妹に子供が生まれると、鬱とまではいかないまでも流石に妻も落ち込む日が増えていきます。
当時は体外受精など一般的ではなかったので、何度か人工授精は試してもらいましたが、流石に私の数値では出来ません。
毎日他所の子供達を見ているのも辛いと思って、保育園を辞めるようにも言いましたが私が原因では強くも言えず、私も次第に子供の話題は避けるようになっていきました。
そして結婚して10年経った33歳の時、妻が深刻な顔をして相談があると言います。
「私やっぱり子供が欲しい」
「ごめん」
「違うの。あなたを責めているんじゃないの。私こそごめんね」
妻からの提案は、人工授精で子供を儲けようというものでした。
「いいけど、それは何度か・・・・・・・」
しかし言い辛そうに小声で話す妻の内容は、私にとって可也ショックなものでした。
「怒らないで聞いて。実はある人から、精子を提供してもらおうと思って」
「何!提供者は誰だ!」
「それは言えないの。あなたにも自分の子供として育てて欲しいから、父親が誰か分からない方が良いと思うの」
当然私は即答など出来ませんでした。
「勿論あなたが嫌だったらやめる。あなたが自分の子供として育ててくれる自信が無いのなら、きっぱりと諦めるから正直に言って」
返事も出来ずに二週間が過ぎると、たまたまつけていたテレビでアメリカ人のご夫婦が、親が死んで孤児になってしまったベトナムの子供を、3人も引き取って育てているのを見ました。
それを見た私は感動し、他の男の精子でもまだ私達の場合は愛する妻の血が半分は入っているので、私の子どもとして育てられると思ってしまいます。
「この間の話しだけれど、精子の提供者は誰だ?俺の知っている奴か?」
「いいの!」
「ああ」
自分でも信じられないような返事をしてしまったのは、妻を可哀想に思っていた事もありますが、決してそれだけではありません。
実は私も友人と会うと子供の話が中心になってきていて寂しい思いをしていて、その事で何処に出掛けても子供連ればかりが目に付いてしまうようになっていたのです。
「ありがとう。でもそれなら尚更、変な先入観も持ってほしくないから、提供者は知らない方が良いと思うの。相手の彼はあなたの知らない人だけれど、頭も良くて運動神経もいいし、温厚で性格も申し分ない人だから心配しないで。何よりあなたと血液型も同じで背格好も似ているし、顔もどこか似ているところがあるから、私達さえこの事をお墓の中まで持っていけば、絶対に誰にも気付かれる事も無いわ」
「その男は信用出来るのか?」
「ええ。信頼出来る方よ」
「そんな人と、どこで知り合った?そんなに親しいのか?」
「あなたに黙って相談に乗ってもらっていたけれど、変な仲ではないから勘違いしないで。彼に対して恋愛感情なんて一切無いし、彼も奥様を凄く愛しているわ。私は今までもあなたを愛していたし、これからもあなただけを愛していくから私を信用して欲しいの」
このような事を頼めるのですから親しいには違い無いのですが、妻の浮気は疑っていませんでした。
ただ妻の職場には男はおらず、知り合えるとすれば出入業者か園児の父親ぐらいしか無いのですが、今までそのような人間の話は聞いた事が無く、提供者が誰だか私には皆目見当もつかない事が少し不安でした。
「その人には元気なお子さんがいて、今も2人目が奥様のお腹の中で元気に育っているそうだから、精子に異常は無いと思う。私の夫にあなたに成りすましてもらって、精子だけもらってあなたとの子供として届けるから、あなたにも自分の子供だと思って欲しいの。当然私も彼の事は全て忘れる」
しかし一週間後、私が帰ると妻は暗い顔をして待っていました。
私の顔を見た妻は目に涙を溜めながら、縋る様な目で何かを訴え掛けていました。
「どうした?」
「今日彼と話し合ってきました。そうしたら彼に断られたの」
「精子を提供してもらう話はついていたのだろ?・・・・・・・でも無理もないか。
自分の分身がもう一人、この世に存在する事になるのだから」
「違うの。その事は納得してくれているの」
「それなら何が?」
妻はしばらく黙ってしまいましたが、一度大きく深呼吸すると、彼が話した内容を話し始めました。
「彼は奥様に内緒で提供してくれるの。奥様のショックを考えたら、絶対に知られたくないって」
「だから俺に成りすますって・・・・・」
「ええ。でもよく考えたら、そんな事が上手く行くはず無いと思えてきたようで、真面目な人だから、これは犯罪だからやめておこうって」
「それならちゃんと届けて、正式に提供してもらったらどうだ?」
「私も考えました。彼にも相談してみました。でも彼は、そうなれば色々な検査も有るだろうし、手続きも簡単では無いと言って・・・・・・・」
妻の目から涙が毀れます。
「それに届ければ、彼の子供だと何処かに残ってしまうし、第一このような事が許されるかどうかも分からないって」
「諦めよう。俺が不甲斐無いばかりに、辛い思いをさせてしまったな」
しかし妻はまだ何か言いたそうで、私の目を見詰めています。
「どうした?諦め切れないか?」
「彼が言うの。あなたさえ理解してくれれば、誰にも知られずに、違法にならない方法が一つだけあるって」
「どのような?」
「つまり・・・・・・直接・・・精子をもらう・・・・」
「よく分からないが?」
「彼が私の中に、直接精子を入れる方法が・・・・・」
私は耳を疑いました。
「言っている意味が分かっているのか!駄目に決まっているだろ!」
「私も断わりました・・・・・・・もう・・この話は忘れて下さい」
妻はこれで子供が出来るものだと思っていて、妊婦の読む雑誌を買ってきたりしてここ数日舞い上がっていただけに落ち込みようは可也のもので、私にその原因があるので声も掛けられません。
そして次の日、私が帰ると電気もつけずに、妻は真っ暗な中で泣いていました。
「今日彼に、正式にお断りしてきました」
「駄目になったのだから、もう相手を教えてもらえるか?」
しかし妻は相手の男の話はせずに、その彼に言われた事を一方的に話します。
<続く>
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妻は昔から子供が大好きで、短大を出ると幼い頃からの夢だった保育師をしていましたが、皮肉にも私達にはいつまで経っても授かりません。
結婚して2年目には妻はその事を酷く気にするようになっていて、3年目には検査を受けて自分に異常が無い事が分かると私にも検査を勧めましたが、私は恥ずかしさもあって「その内出来るさ」と言って逃げていました。
しかし妻は検査を受けて欲しいと頭を下げ続けるので、自宅で採取出来る事が分かった事もあって、私はようやく重い腰を上げます。
「自分で出すの?どうやって出したら良いのか分からないから、香代がやってよ」
「うそー。出来るでしょ?」
私は妻に出してもらうのは初めてで、この時は検査結果など軽く考えていたので、私のオチンチンを丁寧に拭いてくれる妻を見ているだけで興奮していました。
「どうせなら口でしてよ」
「唾液から雑菌が入る可能性があるから、口では駄目だって書いてあったわ」
「そんな事まで書いてあるの?」
「私も恥ずかしいんだから、余計な事を言っていないで早く出してよ」
私の横に身を寄せて、一生懸命手を動かす妻の大きく軟らかい乳房を揉みながら、私はセックスとはまた違った興奮を覚えて、意外とすんなり出してしまいます。
しかし私が馬鹿な事を言っていられたのも、検査結果が出るまででした。
精液量 0.6ml(2ml以上、多い人で5ml)
精子濃度 1ml中100万匹(2000万匹)
運動率 10%(50%以上)
高速運動率 0%(25%)
即ち精液の排出量も足りず、その中にいる精子の数も極端に少なく、動いている数も少ない上に、元気良く動き回っているのは一匹もいないのです。
「無精子症ではないし、その時の体調にもよるらしいから、きっと大丈夫よ」
妻は落ち込む私を慰めてくれましたが、体調を整えて翌月臨んだ検査でも、結果は似たようなものでした。
「ごめんね。検査なんて勧めなければ良かった」
自分の子孫を残せないという事など考えた事も無く、今までは気にもしなかった私はオスとしての自信を無くし、妻はそのような私を励まし続けていてくれましたが、後から結婚した妻の兄や妹に子供が生まれると、鬱とまではいかないまでも流石に妻も落ち込む日が増えていきます。
当時は体外受精など一般的ではなかったので、何度か人工授精は試してもらいましたが、流石に私の数値では出来ません。
毎日他所の子供達を見ているのも辛いと思って、保育園を辞めるようにも言いましたが私が原因では強くも言えず、私も次第に子供の話題は避けるようになっていきました。
そして結婚して10年経った33歳の時、妻が深刻な顔をして相談があると言います。
「私やっぱり子供が欲しい」
「ごめん」
「違うの。あなたを責めているんじゃないの。私こそごめんね」
妻からの提案は、人工授精で子供を儲けようというものでした。
「いいけど、それは何度か・・・・・・・」
しかし言い辛そうに小声で話す妻の内容は、私にとって可也ショックなものでした。
「怒らないで聞いて。実はある人から、精子を提供してもらおうと思って」
「何!提供者は誰だ!」
「それは言えないの。あなたにも自分の子供として育てて欲しいから、父親が誰か分からない方が良いと思うの」
当然私は即答など出来ませんでした。
「勿論あなたが嫌だったらやめる。あなたが自分の子供として育ててくれる自信が無いのなら、きっぱりと諦めるから正直に言って」
返事も出来ずに二週間が過ぎると、たまたまつけていたテレビでアメリカ人のご夫婦が、親が死んで孤児になってしまったベトナムの子供を、3人も引き取って育てているのを見ました。
それを見た私は感動し、他の男の精子でもまだ私達の場合は愛する妻の血が半分は入っているので、私の子どもとして育てられると思ってしまいます。
「この間の話しだけれど、精子の提供者は誰だ?俺の知っている奴か?」
「いいの!」
「ああ」
自分でも信じられないような返事をしてしまったのは、妻を可哀想に思っていた事もありますが、決してそれだけではありません。
実は私も友人と会うと子供の話が中心になってきていて寂しい思いをしていて、その事で何処に出掛けても子供連ればかりが目に付いてしまうようになっていたのです。
「ありがとう。でもそれなら尚更、変な先入観も持ってほしくないから、提供者は知らない方が良いと思うの。相手の彼はあなたの知らない人だけれど、頭も良くて運動神経もいいし、温厚で性格も申し分ない人だから心配しないで。何よりあなたと血液型も同じで背格好も似ているし、顔もどこか似ているところがあるから、私達さえこの事をお墓の中まで持っていけば、絶対に誰にも気付かれる事も無いわ」
「その男は信用出来るのか?」
「ええ。信頼出来る方よ」
「そんな人と、どこで知り合った?そんなに親しいのか?」
「あなたに黙って相談に乗ってもらっていたけれど、変な仲ではないから勘違いしないで。彼に対して恋愛感情なんて一切無いし、彼も奥様を凄く愛しているわ。私は今までもあなたを愛していたし、これからもあなただけを愛していくから私を信用して欲しいの」
このような事を頼めるのですから親しいには違い無いのですが、妻の浮気は疑っていませんでした。
ただ妻の職場には男はおらず、知り合えるとすれば出入業者か園児の父親ぐらいしか無いのですが、今までそのような人間の話は聞いた事が無く、提供者が誰だか私には皆目見当もつかない事が少し不安でした。
「その人には元気なお子さんがいて、今も2人目が奥様のお腹の中で元気に育っているそうだから、精子に異常は無いと思う。私の夫にあなたに成りすましてもらって、精子だけもらってあなたとの子供として届けるから、あなたにも自分の子供だと思って欲しいの。当然私も彼の事は全て忘れる」
しかし一週間後、私が帰ると妻は暗い顔をして待っていました。
私の顔を見た妻は目に涙を溜めながら、縋る様な目で何かを訴え掛けていました。
「どうした?」
「今日彼と話し合ってきました。そうしたら彼に断られたの」
「精子を提供してもらう話はついていたのだろ?・・・・・・・でも無理もないか。
自分の分身がもう一人、この世に存在する事になるのだから」
「違うの。その事は納得してくれているの」
「それなら何が?」
妻はしばらく黙ってしまいましたが、一度大きく深呼吸すると、彼が話した内容を話し始めました。
「彼は奥様に内緒で提供してくれるの。奥様のショックを考えたら、絶対に知られたくないって」
「だから俺に成りすますって・・・・・」
「ええ。でもよく考えたら、そんな事が上手く行くはず無いと思えてきたようで、真面目な人だから、これは犯罪だからやめておこうって」
「それならちゃんと届けて、正式に提供してもらったらどうだ?」
「私も考えました。彼にも相談してみました。でも彼は、そうなれば色々な検査も有るだろうし、手続きも簡単では無いと言って・・・・・・・」
妻の目から涙が毀れます。
「それに届ければ、彼の子供だと何処かに残ってしまうし、第一このような事が許されるかどうかも分からないって」
「諦めよう。俺が不甲斐無いばかりに、辛い思いをさせてしまったな」
しかし妻はまだ何か言いたそうで、私の目を見詰めています。
「どうした?諦め切れないか?」
「彼が言うの。あなたさえ理解してくれれば、誰にも知られずに、違法にならない方法が一つだけあるって」
「どのような?」
「つまり・・・・・・直接・・・精子をもらう・・・・」
「よく分からないが?」
「彼が私の中に、直接精子を入れる方法が・・・・・」
私は耳を疑いました。
「言っている意味が分かっているのか!駄目に決まっているだろ!」
「私も断わりました・・・・・・・もう・・この話は忘れて下さい」
妻はこれで子供が出来るものだと思っていて、妊婦の読む雑誌を買ってきたりしてここ数日舞い上がっていただけに落ち込みようは可也のもので、私にその原因があるので声も掛けられません。
そして次の日、私が帰ると電気もつけずに、妻は真っ暗な中で泣いていました。
「今日彼に、正式にお断りしてきました」
「駄目になったのだから、もう相手を教えてもらえるか?」
しかし妻は相手の男の話はせずに、その彼に言われた事を一方的に話します。
<続く>
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